楽器を豊かに鳴らすことに長けている友人と長時間話す機会がありました。
会話の中で、楽器を豊かに鳴らすタッチに関するヒントがあったように思います。
また、自分自身のタッチの見直しに関しても気付きがありました。
この記事にまとめます。
(前回の記事の続きです。)
楽器全体が鳴る感覚はあるが、音圧は無い
タッチの良い友人は、過去に極めて遠達性のある楽器を所有していました。
(今も同じ製作家の別の楽器を所有しています)
その楽器を上手く鳴らすことが出来ている際の感覚に関するコメントが以下の通りです。
「楽器全体が鳴る感覚はあるのですが、いわゆる音圧はありません。」
このコメントは大変意味のあるものと思います。
(全ての楽器に共通ではないですが)
私はこれまで、手元で音圧の感じられるタッチで弾いていました。
(いかにも遠くまで届きそうな音)
単に「音圧のある音」は力強く鋭く弾けば出ます。
しかし、この状態は楽器が豊かに鳴っている訳ではないと気付かされました。
(「音圧=豊かな音」ではない)
耳で聴きながら理想の音を模索する上で、この感覚は重大なヒントになると思います。
教科書に載るような銘器を所有して弾かなければ会得出来ないような感覚を、言葉を元に再現出来るとしたら凄いことです。
タッチの良い友人の音は、音圧もありますが、それを目的に音を出していません。
付帯する肉が厚いため、私は当初は音圧に気が付かなかったくらいです。
リリースの瞬間の脱力が重要
脱力の必要性は過去の記事で何度も書いていますが、まだまだ追求の余地があります。
私も脱力を意識して練習しています。
しかし、最も重要なリリースの瞬間の脱力がまだまだ足りないと感じます。
楽器店にて何人かの友人の前で試奏をする機会がありました。
このとき、良いところを見せようとしてフォルテシモで力んでいる感覚に気が付きました。
(フォルテシモで力むのは普通といえば普通なのですが)
ギターの弦はかなり深く押し込んだとしても、それほど大きな力は不要です。
また、楽器が豊かに鳴ってくると、振幅が小さくても音が大きく聴こえます。
リリース速度は後から考える?
当初、この一連の記事は「太い音」を目指すことを目標として書き始めました。
しかし、「太い音=豊かな音」ではないと判明したため、タイトルを変えています。
取り急ぎ楽器を豊かに鳴らすのであれば、リリース速度のことは一旦忘れても良さそうです。
リリース速度を変えようとして力んでしまうと、本末転倒だからです。
一つ前の記事で書いた「テニスで打つときに力む」「野球でボールを投げる際に力む」と球威が落ちるのと同じです。
最初に目指していた「弦に充分大きな力を加えつつ、完全に脱力して、しかもリリース速度がかなり遅い」というタッチは、太い音に関する全ての要素を網羅したかなりレベルの高いものであると思いました。
とはいえ、爪の形状が悪い場合は、リリース速度のコントロールが無意味になってしまいます。
タッチ改造中は、頻繁に(長さの条件が一定になるよう)爪を整える必要があると感じます。
今回の記事は以上となります。
最後までご覧いただき、誠に有難うございました。