演奏者

山本采和氏の演奏が素晴らしいです。

メディアカーム様がアップされていた山本采和氏の演奏が非常に響きに優れておりました。
この記事を書いた時点では、恐らくまだ中学生なのではないかと思います。
(個人情報に配慮して、ここには細かく書きません)

動画内に書かれておりましたプロフィールは以下の通りです。
数多くのコンクールで受賞なさっています。
単にコンクールで入賞する奏者は他にも沢山いるのですが、音楽的な深さと立体感を感じさせる点が魅力だと思います。
(タッチがとても良いのだと、研究した結果、理解出来ました)

【山本采和プロフィール】 山本采和(やまもと さわ)
東京都生まれ。4 歳よりギターを始め、村治昇、 坂場圭介両氏に師事。
第 39 回ジュニア・ギター・コンクール小学校高学年の部金賞
第 41 回 GLC 学生ギターコンクール小学校高学年の部第 1 位
第 42 回ジュニア・ギター・コンクール中学生の部金賞
第 43 回ジュニア・ギター・コンクール最優秀賞
第46回GLC 学生ギターコンクール中学生の部第 1 位
これまでに、マルコ・ムッソ、齋藤優貴、益田正洋、岡本拓也、小暮浩史、大萩康司、各氏のレッスンを 受講。趣味は読書と写真。

確かなことは分かりませんが、幼少期に海外で育った等の情報はありません。
1つ前の記事で「海外留学したギタリストは響きが違う」という話を書きましたが、山本采和氏の演奏が良いので記事を削除する必要があると感じています。
クラシックギターでの海外留学について。|クラシックギターの世界

演奏を聴く前に、響きとは?

私が響きと感じる要素そのものや、そう聴こえる演奏の特徴を書きます。

  • 音楽的な立体感がある(音程が縦に並ぶ以上の奥行き)
  • 音のテクスチャが感じ取れる
  • テクスチャという海の底が見えるからこそ、音楽の深さが分かる
  • 音の余韻を長く感じる
  • 音量が無いはずの弱音でも、耳の注意を引き続ける

E.グラナドス / オリエンタル (スペイン舞曲より第2番)/ギター:ケヴィン・アラム(2021年)

最初に聴いた山本采和氏の演奏はイギリスの製作家であるケヴィン・アラムのギターで弾いたE.グラナドスのオリエンタルでした。
奏者の響きの感覚が良いので、冒頭のアルペジオの音の重ね方で一気に曲に引き込まれます。
冒頭の段階で充分な深さがあるのに、少しフレーズが進むともっと響きが良くなっていくのが分かります。
録音でここまで分かるということは、生演奏はもっと凄いでしょう。
和音にアルペジオをかける回数は少し多いように思いますが、好みの問題ですし、生演奏であれば推進力に繋がると思います。

2弦間のトレモロの鮮やかさで分かるように、技術的にも非常に優れています。
音楽は情熱的なのに、動きがクールなところが個人的に高評価です。

ケヴィン・アラムの木質的な音がオリエンタルの曲調に良く合っています。
エキゾチックという意味では、透明感のある楽器の方が良いのかもしれません。
こういった響きがある奏者が出す音は、音の模様まで聴こえてくるので飽きません。

裸の島 / 林光 (映画「裸の島」より)/ギター:中村玄太 2021年

鈴木大介氏の名編曲を使用した、素晴らしい演奏です。

動画を聴いて、当初は2つの動画で録音や音響効果を変えたのかなと思いました。
違いは恐らく、単純にギターを持ち替えたことによる差だと思います。

ケヴィン・アラムのギターは木質的ですが、やはりイギリスの楽器だというのを感じます。
響きの面では中村玄太氏のギターで弾いているこちらの動画の方がより一層深みがあるように思います。
ふくよかさもありつつ、音色の表情がクリアに聴こえます。
(追記で書いていますが、段違いです)

メディアカームの動画の音質はやはり素晴らしいです。
良い再生環境であれば、エコーやリバーブはもう少し薄くしたいところですが、スマホ等で再生されることを考えると丁度よい塩梅かと思いました。

理性の眠りは怪物を生む/M.C=テデスコ

こちらはジュニアギターコンクールでの録音審査?の演奏です。
難曲を見事に弾きこなしています。
スタジオなのか、ホームレコーディングか分かりませんが、録音も良いと思います。
ギターはオーストラリアの製作家であるキム・リサラグに見えます。
(違うかもしれません)

私個人の好みでは、オーストラリア系のギターは録音では音質が耳に刺さり、聴くのが辛いです。
リサラグは独特ですので、広いホールで是非聴いてみたいですね。
上に貼ったグラナドスのオリエンタルよりも大分前に、この動画は聴いていたと思うのですが、私の音色の好みによりそれほど印象に残っていませんでした。

追記の考察

今回貼った3つの動画の中では、圧倒的に中村玄太氏のギターで弾いた「裸の島」に響きの美しさを感じます。
当初は「オリエンタル」で凄いと思ったのですが、明確に「裸の島」の方が上です。
この理由は以下の通りだと考えています。

  • ケヴィン・アラムはイギリスのギターであり、和音よりも単音の美しさにパラメータが振られている
  • オリエンタルよりも裸の島の方が難易度が低い

順に、イギリスのギターは単音が美しいのですが、響きや立体感には少し欠けます。
ケヴィン・アラムはイギリスのギターの中ではイギリスらしくない部類なのですが、それでもイギリスの個性を持ったギターであると感じました。
中村玄太氏のギターが凄いため、比較すると分が悪かったということもありえます。
私は東京を離れてしばらく経つため、残念ながら中村玄太氏のギターはまだ弾いていません。

次に、曲の難易度の件についてです。
私は過去の東京国際コンクールでパク・ジヒョン氏の演奏を聴きました。
休憩時間に足台や椅子、響きを確かめるために登場してバッハのパルティータを弾いた際、音楽の立体感が凄まじかったです。
しかし、本番でもかなりのクオリティでしたが、休憩時間の演奏ほどの立体感や響きは感じませんでした。
そういったプレイヤーですら、本番の緊張により音楽のクオリティが変化するということです。
話を戻しますが、「緊張の有無」と同じように「技術的な制約の無さ」で曲を如何に自由にコントロール出来るのかが変わってくるように思います。
曲を思い通りにコントロールすることは、立体感に繋がる要素と考えています。

この追記については、あくまで私個人の意見です。
かなり断定したところがあるので、書くかどうか迷いました。
これだけの演奏を聴かせられると、本音で書かないわけにはいかないですね。

まとめ

クラシック音楽は洋服と同じくヨーロッパの文化が根底にあります。
山本采和氏のように響きを感じさせる演奏は、西洋音楽の本来の魅力を聴くことが出来ます。
日本人ばかりのファッションショーに、急に顔立ちも体型も違う海外モデルが現れたような衝撃があります。

録音でもここまで違いが分かる演奏というのは、現代のクラシックギター業界にとって非常に大きな存在なのではないでしょうか。

追記)2022年8月、下記の動画が上がっておりました。
素晴らしい演奏です。

最後までご覧いただき、誠に有難うございました。

-演奏者