クラシックギターを弾いている方であれば、誰もが太く美しい音を出したいと思うのではないでしょうか。
プロでも音が美しくない奏者もいますし、あまり苦労せずに自然に音が綺麗な方もいます。
私は正直、「まあ、これくらいの音が出れば良いか」位の感覚でやってきました。
しかし、遥か上の音の世界があることを知り、現在は試行錯誤中です。
まだ私も完全な太く美しい音を達成出来ていないのですが、判明している音へのアプローチをまとめます。
(新しい知見があれば都度追記します)
太く美しい音とは?
音像が太く明瞭、それでいてツヤのある音が良い音だと考えます。
音の芯があるのに加えて、倍音が鳴っていることも重要です。
感覚的な話なのですが、倍音が鳴っていないと音の太さがある程度以上に拡大しないように思います。
楽器は音を記憶する
楽器はどのような音で弾かれたかを記憶します。
長期的な変化だけでなく、短期的にも変化します。
(理屈は分かりませんし、オカルトに感じるかもしれません。)
私は、鳴りにくくなった自分の楽器を友人に弾いてもらったところ、1曲で楽器が復活したという体験をしました。
以下の項目が楽器に記憶されると考えています。
- 音の太い・細い
- 倍音の多い・少ない
- 弦のテンション(力むと硬くなる)
常用するタッチが貧困だと、急に太い音が必要になった際に良い音が出ないことがありそうです。
セゴビアはどうか
ギターの神様と言われるアンドレス・セゴビアはセゴビアトーンと言われる特有の太い音を持っています。
しかし、このセゴビアトーン以外の音はメタリックな細い音を多用します。
「楽器が音を記憶する」という理屈からすると、セゴビアの音は細いのでしょうか。
もちろん、そうではないと思います。
以下のどちらか、若しくは両方の理由からセゴビアの音は豊かであったと思います。
- 細い音を使用する場合でも、倍音がリッチになっていた
- たまに使用する太い音がとにかく豊かであるため、楽器は良い音を記憶し続けていた
音に影響するギター演奏のパラメータ
以下のパラメータが音に影響すると思います。
- 弦のたわみ量・振幅(音量)
- 指が弦をリリースする際に接している面積
- 指が弦をリリースする際の速度
- 指の硬い・柔らかい(力みの有無や指の固定)
力みが楽器に与える影響は、納得できる説明を持っていません。
(私は)
力んでいると思っても良い音が出ていたりします。
どの状態を境界線として力んでいると判断するのかも分かりません。
しかし、確実に音には影響します。
また、「意図的な指の固定」と「力み」では明確に音が変わりますが、この理由も謎です。
本題「物理的に太い音を出すための方法」
とにかく引っかかりの無い爪に仕上げる
爪の状態が悪く「引っかかり・抵抗がある」場合は良い音は出ません。
指が弦をリリースする際の面積が小さくなるので、太い音を出しているつもりでも音が細くなるためです。
爪の断面は、カドの無いように丸く仕上げましょう。
初心者の場合、弦をしっかり捕まえられる爪が安心するかもしれません。
しかし、弦を引っ掛けてしまう爪では何年弾いても良い音には辿り着けません。
「爪が悪い奏者は良い演奏家になれない」という言葉を痛感しています。
(普通に弾ける人位にはなれるでしょうが)
リリース速度を遅くする
別記事でも書きましたが、太い音を出すにはリリース速度を遅くしましょう。
あくまでリリースの瞬間のみが重要で、それ以外の指の速度は音に影響しません。
リリース速度が速い | 音が細い、クリア、硬質、明瞭 |
---|---|
リリース速度が遅い | 音が太い、ぼけている、鈍い |
耳で聴いて、フィードバックし続ける
上記で挙げた対策を私も実践してみたのですが、中々コンスタントに良い音は出ません。
理想とする音に対して6~7割は再現出来るのですが、残るもう少しが遠いです。
(再現できている人がいるのを見たので、理想は架空ではないです。)
爪の形と技術(指先の動き)だけでは本当に良い音に到達できないかもしれません。
日頃の練習で理想を求める姿勢が重要と思います。
普段から良い音が出るように集中し、音を聴くようにします。
たまに良い音が出た場合にそれを聴き取り、その際の指の動きを記憶します。
繰り返し行っていると、たまにしか出なかった音が狙って出せるようになります。
そうやって成長した後の状態でも、また更に「たまに出る良い音」があるので、それを聴いて技術的に再現出来るように繰り返します。
このように、コツや要点を掴んですぐに出来ることと、鍛錬が必要な部分の両方があるように思います。
もし技術的なブレイクスルーがあれば追記するつもりです。
(続き②)太い音を出す方法について。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。