【考察】クラシックギターで柔らかい音を出そうとすると、むしろ音が硬くなる現象

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柔らかい

過去にこのブログにて、右手のタッチに関する記事を連続して書いています。
現在も楽器を上手く鳴らすためのタッチについて研究中です。

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研究の結果、2022年の秋頃に少し「豊かな音」を出せるようになりました。しかし、今はまた元のタッチに戻ってしまいました。

「筆者の右手のタッチに関する悩み」は、極めて個人的な問題です。
自分語りになりブログで取り扱うにはふさわしくないため、記事にはしないつもりでした。

しかし、「私と同じ状況でタッチに苦しむ人」もきっといると思い、記事にすることを決めました。

「柔らかい・優しい音でギターを弾くと、むしろ音が硬くなる」現象について書きます。

当てはまらない人や既に良い音が出せる人にとっては「なんのこっちゃい」という内容なので、この記事は読まなくてOKです。

この記事でわかること

弦の張り・音を柔らかく保つ方法

私は「柔らかい音を出そうとして音が硬くなる」ことに悩んでいました。

タッチの基本は身に付いているという方で、柔らかい音で弾いているのに「弦のテンションが硬く感じる」「音が硬い・細い」ケースに心当たりがある方は、私と同じ症状かもしれません。

当たり前ですが、弦の張りが硬くなってしまうと、硬い音しか出なくなります。

「張りが硬くなってしまう原因」より先に、弦の張りを柔らかくする方法を2つ紹介します。

注意点として「テンションの弱い弦を選ぶ」ことは、タッチが悪くて音が硬くなる人にとって逆効果になることがあります。この理由は後述します。

張りと音を柔らかくする方法①「倍音を豊かに鳴らす」

弦の張りと音を柔らかくする方法は「楽器をうまく鳴らす」ことです。音で楽器がほぐれていきます。

より詳しくいうと、「倍音を豊かに鳴らす」ことが求められます。これが出来なくて私は困っています。

単に音量を大きく出すだけでは駄目です。(フォルテで弾くだけで良いなら、私もできます)

ここでいう「倍音」は、ギター界で言われる倍音ではなく、科学的な意味での倍音です。
倍音と言われてイメージする「音の芯の周りまとっている成分」のことではありません。

以下に、歌を解説するサイトの「倍音の説明」を張ります。
私はこの解説が正しいと思いますし、ギターにも同じこと当てはまると考えています。

倍音とは簡単に言えば『音の成分』のことです。

例えば、ピアノ・ギター・リコーダー・木琴で同じ『ド』の音を鳴らすとすると、ほとんどの人が楽器の音色を判別できると思います。

これは『倍音の差』があるから同じ音階でも楽器の違いを判別できるのですね。つまり、倍音が音色の”性質”を決めているということです。

そして、この倍音が声の魅力を作っています。

例えば、よくYOUTUBEやインスタライブなどでシンガーが普通に話していて急に歌い出した時、歌い出したその瞬間に話し声とは全然違う美しい音色を作り出し、それを魅力的に感じたりすることがあると思います。

これはある意味『心地よい倍音が多い声』に変化させていると言えるわけです。

つまり、声の楽器化には倍音が大事ということになります。

この倍音成分が多ければ多いほどに、もしくは質が良ければ良いほどに声自体の音色が豊かになるので人の耳に心地よく届きやすいです。結果的に人の心を惹きつける・魅力的に感じるのですね。

基本的には良い倍音とは誰しもにとって心地よいものと考えていいと思います。

ピアノの音とギターの音の好みの差はあれども、それが美しい音色であれば嫌いと感じる人はほとんどいないように。自然界の癒される音なども倍音が多いと言われています。

逆に倍音が少ない音、例えば電子音やサイレンなど(基音に近い音、ただし完全な基音ではない)はあまり心地良いと感じませんね。

素晴らしい歌唱力を持っていると言われるような偉大なシンガーのほとんどの人は倍音成分が非常に多いです。つまり、倍音を増やそうとすることは魅力的な歌声になる上で最も大事なものの一つと言えるでしょう。

歌唱技術向上のためのブログ【ミュートレグ】より引用

「倍音が豊かな音」を繰り返し出すことで、ギターの張りは柔らかくなり、音も太くなります。

この「倍音を出すコツ」を掴んだ人が、私の定義での「タッチが良い」人です。(調子が良いときのセゴビアなど)
聴いていて明らかにリッチな音がします。

これができる人は、テンションが高いギター・弦でも張りが強いと感じません。張りが弱い弦ではむしろ「弱すぎ」になります。

誤解がないように重ねて書きますが「ギター界で使う意味での倍音が強くて、芯が弱い音を出せ」という意味ではないです。倍音が多い音はむしろ芯があり、鋭く感じる場合もあります。

2013年に亡くなったギタリスト稲垣稔 氏は、「1弦の張りがキツい楽器を好む」とメディアカームの放談か何かで読みました。
無意識でしょうが、稲垣稔氏は硬い楽器の音をほぐすことが出来る人物だったのだろうと思います。

「倍音を出す」感覚は、弦が太い方がやりやすいと感じます。(私は)
テンションがキツいのは嫌だからといって細い弦を張ると、うまく楽器を鳴らせずにむしろ張りが硬く感じることがあるでしょう。

張りと音を柔らかくする方法②「脱力する」

もう1つのギターの張りと音を柔らかくする方法が「脱力する」ことです。

残念ながら「脱力」に関しては、守り(予防)の効果しかないと考えています。(直接的には)

「倍音を鳴らす」場合は積極的に弦を柔らかくするように働きかけることができます。

「脱力」では、あくまで現状の弦のテンションを保つことしかできない印象です。

私はタッチ改善のためにやれることはほとんどやってきました。人一倍脱力している自信があります。

テンポが遅い曲でタッチを確認しながら弾く範囲では、弦の張りは硬くならなりません。しかし、フォルテが多い曲では、弦の張りが硬くなっていきます。
フォルテで加えた力の分だけ、弦の硬さが増す印象です。

「フォルテの多い曲においても、もっと脱力しては?」と思うでしょうが、もはや脱力で対処できる範疇ではないと感じています。

弦の張りと音を柔らかくするには、「倍音を出す」ことがもっとも重要です。

あまり「脱力」していなくても、倍音さえ出ていれば楽器は適度に鳴らしやすい張りになります。

改めて本題「柔らかい音を出そうとしているのに、音が硬くなる」

「硬い音しか出ないんです」という人は、初心者でなければすでに何かしらの柔らかい音を出す工夫をしているはずです。
それでもギターの音が硬いことで多くの人が悩みます。

結論として「柔らかい音」を出しているつもりでも、倍音が少ない音であれば、弦の張り・音は硬くなっていきます。

倍音さえ出せれば、ギターの張りは柔らかくなり、「良く鳴る・弾きやすい」という印象になります。

残念ながら、私も「倍音をだすタッチ」のコツが未だに掴めません。

音に敏感すぎると、倍音が減る?

私(筆者)は、耳からの情報に少し神経質なところがあります。
例えば以下のような音を嫌います。

  • 足音や話し声
  • 車や電車などのノイズ
  • キンキンした声

当初は「みんな、こんなもんだろう」と思っていました。

しかし、私は日常生活で「歩く際に足音がしないので、いつ近くに来たか分からない」と言われることがあります。
少なからず音に対して「気にし過ぎ」な面があるようです。

私のように「キツい音」を嫌がる人や「柔らかい音ばかりにこだわる」タイプは、倍音が減って音が硬くなっている場合があるかもしれません。

「柔らかい音」よりも「豊かな音」を目指すことで、本来目指している柔らかい音も出しやすくなります。

「演奏者の感性・好みで音が決まる」は本当に正しいのか?

上に書いたように、硬い音・キツい音を避ける人は倍音の少ない柔らかい音を使いがちかもしれません。

しかし、音色は「演奏者の個性・感性・好みで決まる(決まってしまう)」という主張を、私は完全には信じていません。

「演奏者が出したいと望んだ音が楽器から出ている」のは間違いないです。

しかし、音色が演奏者の感性で決まってしまうなら、タッチを改善することが極めて難しくなります。
また、私は調子が悪いときの自分の音色が全く好みではないです。

「今出したい音」よりも「楽器が良い変化をする音」を出す

今回の「柔らかい音で弾くと、むしろ音が硬くなる」の例で言えば、以下の状況が起きています。

  • 練習開始時点のギターは、時間が経過し、音がリセットされている
  • 弾き始めは、柔らかい音を出すタッチで柔らかい音が出る
  • 倍音が少ない音を出していると、うまく楽器が鳴らない
  • 楽器が鳴らないので、張りも柔らかくならない
  • 力んだ分、弦の張りが硬くなっていく
  • 練習開始時と同じ「柔らかい音」が出るタッチで弾いているのにも関わらず、しばらく弾くと硬い音しかでない
  • 実はこの状態の「硬い音」は、芯が細く、芯を包む音の成分が多い「柔らかい音」である(筆者の体験)

上記の変化をふまえると、「今出したい音」を出すのではなく、「タッチで楽器の音色がどう変化していくか」からどんな音を出すのかを逆算するのが良いと考えます。

単純に「硬い音・鋭い音を出す」のも違う

この記事を準備しながら、セゴビアが常用している硬い音を出せば私もギターを鳴らせるのではと思い、「硬い音」でギターを弾く実験をしました。

結局、ただ単に強く弾いて「硬い音」を出すだけでは楽器が鳴るようにはなりませんでした。

やはり鍵を握るのは「倍音」だと考えています。

良くわからない内容の記事だが、良いところまで来ている

今回の記事は、「柔らかい音で弾くと、逆に張りが硬くなる」「鍵を握るのは倍音」という結論です。

私自身が良いタッチを求めて迷っています。
それによって、記事が良く分からない内容になっているかと思います。

もう少しでセゴビアのような「豊かな音」が出るタッチに辿り着けると感じていますので、もう少しだけお付き合い下さい。

今回の記事は以上となります。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

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