M.カルカッシのエチュード7番(Op.60-7)の使い方を考える。

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M.カルカッシのエチュード7番(Op.60-7)は右手の練習曲として素晴らしい教材です。
詳細な曲の内容に関しては、Marcin Dylla氏のレッスンビデオがありますので、そちらを御覧ください。

難しいのですが、ズダダダ、ズダダダと重くなるよりも、
ディラのように流れを重視して各声部が良く歌うように弾きたいものです。

今回の記事では、この曲の右手の技術練習としてのメリットと使い方を解説します。

この記事でわかること

M.カルカッシのエチュード7番のメリット

音楽的に豊かである

古典派のエチュードとして、技術面で必要な内容を盛り込んでいながら、
高い音楽性を保っていることが言えます。
これはカルカッシの他のエチュードにも当てはまることです。
毎日弾く練習曲として使用するには大変有り難いことです。

他には、ヴィラ・ロボスの練習曲も素晴らしい内容なのですが、
私は古典的な楽曲の方が好きなので、
こういったエチュードを残してくれたM.カルカッシには感謝しています。

音楽的に豊かであるにも関わらず、左手の運指は比較的簡単なので、
右手に焦点を絞って練習しやすいです。

様々な右手のパターンが登場する

特定の右手のパターンが続くのではなく、場面ごとに奏法が切り替わります。
これは同じパターンが曲を通して続く場合に比べて大きなメリットです。

苦手な部分があぶり出される

右手のパターンが変わるメリットは、得意なパターンの後に苦手なパターンが来ると
テンポや音質の乱れによってはっきりと分かることです。

これによって、
「遅い、苦手な箇所を得意な箇所のクオリティに合わせて底上げしたい」という
音楽的な欲求が発生します。

メトロノームを使った練習のメリット・デメリットの記事でも書きましたが、
メトロノームを使って強制的に速度を上げると、
音楽的に速く弾きたいという欲求がなければ元の速度に戻ってしまうことがあるでしょう。
(そうでない人もいるでしょうが)

「苦手な箇所の質を上げたい」と思わせてくれるのはこの曲の大きなメリットです。

M.カルカッシのエチュード7番のデメリット?

登場しない右手のパターンがある

デメリットとは言えないのですが、この曲では登場しない右手のパターンがあります。

以前紹介したM.ジュリアーニの「120のエチュード」等で対応すれば良いのですが、
M.カルカッシのエチュード7番は非常に使い勝手が良く、1曲で対応できる練習範囲を拡大できないかと考えました。

音形や右手のパターンを変えてみる

M.カルカッシのエチュード7番の右手の練習領域を拡大するために、
音形や右手のパターンを変えてみましょう。

「ami」の運指を「imi」に変更する

これは一般的に良く言われている運指の変更です。
アナ・ヴィドヴィチ氏のようにトレモロもこの運指で弾く人もいます。

「imi」に変更することで、同一弦の連打とアルペジオを同じ運指で弾くことが出来ますので、
実際に演奏で使用するメリットが大きいです。

「ami」の運指を「mim」に、
「imi」の音形を「mim」に変更する

この部分がこの記事で最もお伝えしたいことです。
下記の通り、同音連弾(トレモロ)の運指とアルペジオの音形を変更します。

通常とは違うパターンへの変更ですので、慣れるのに時間がかかるかもしれません。
プロであれば練習なしで通常のパターンに近い速度で弾けると思います。

この変更をするなら「このパターンが入った違う曲を弾けば良いのでは」と
思う方もいると思うのですが、M.カルカッシのエチュード7番の場合は
変更前の通常の運指で演奏するテンポが記憶に残っているので、
運指を変更してもオリジナルのテンポを目指して練習しやすいのです。

「ami」を「ima」に変更する

トレモロの練習でよく使う方法ですが、
「ami」を「ima」に変更します。

私は、「トレモロの練習としてこれをわざわざやらなくても」と思っていたのですが、
技術のしっかりした方はこのパターンも弾けるので、克服しておくべきと
今は考えています。

色々なパターンの間にこの運指が少しだけ出てくるので、
単純なトレモロの連続とは違った切り替えの練習になって良い効果が得られます。

追記、更に練習効果をUPさせるために

この記事を書いたあとに練習していて気がついたのですが、
以下の練習方法も効果が高そうです。

  • 1小節ごとに運指を切り替えて弾く
  • 各小節に対して、運指を変えて2回弾き、次の小節に進む

「ami」と「ima」を切り替えるパターンと
「imi」と「mim」を切り替えるパターンを
1小節単位で行うと良いでしょう。

今回の記事は以上となります。
M.カルカッシのエチュード7番は、今回の記事にあるような使い方をすると
様々な技術をカバーでき、本当に重宝します。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。

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この記事でわかること