幼少期から楽器を弾いていて、テクニック的に困難がなさそうな人や
少しの練習で弾ける人達を羨ましいと思うことは良くあります。
いわゆる「天才」「才能がある」と言いたくなる方々なのですが、
意図的に意識をコントロールすることによって
可能な限り「天才」に近い状態に近づくことが出来ると考えています。
それは「セルフハンディキャップ」を打ち破ることです。
この記事でその方法を考えてみます。
セルフハンディキャップとは
全力でやってみてダメだった、私には能力がない
と思いたくないので、人は「言い訳・保険」を用意します。
それが「セルフハンディキャップ」です。
「上達すること」よりも「自分が傷つかないこと」を無意識に優先します。
下記の例は全て「セルフハンディキャップ」に該当します。
- まだ初心者だから、年数が浅いから
- 技術がないから
- 曲を始めて間もないから
- 通し練習で疲れているから
- 曲を覚えていないから
- 忙しくて練習出来ないから
- 手が小さいから
- 高齢で上達が遅いから
- 既に上達しきっているから
ケーススタディ
①まだ初心者だから、経験年数が浅いから
いつまでも自分が初心者だと考えていると、
出来ないことが出来るようになるまでに時間がかかり、
既に出来ることの質も上がりにくいです。
②技術がないから
頻繁に「まだ技術が未熟だから」と聞きます。
「出来ること」と「出来ないこと」の区別を避けているように感じます。
自分が出来ないことから目を背けるのは、
臭いものに蓋をするのと同じで、上達から遠ざかります。
③曲を弾き始めて間もないから
この考え方も「出来ること」「出来ないこと」の区別を曖昧にし、
「出来ること」の質を下げ、
「出来ないこと」の解消を先延ばしにします。
今の技術でも本当は既に出来ることがある筈です。
「出来ない部分を明確にして工夫して練習する」という、
頭を使うことを避けています。
④通し練習で疲れているから
長い曲や複数の曲を通して弾いて、疲れるのは当然だと思います。
ただ、必要以上に「疲れの影響」を意識しすぎていないでしょうか。
本来は、疲れていても弾ける限界の領域を広げていかなければなりませんが、
疲れているからこんなもんだろう、という逃げ道を用意してしまいます。
⑤まだ曲を暗譜していないから
曲を覚えていないのは、事実かもしれません。
しかし、暗譜をするための努力はしているでしょうか。
部分的に暗譜をしている部分は分かるでしょうか。
暗譜が出来ている部分が分かれば、
暗譜出来ていない部分が分かります。
そういった努力を避けていないでしょうか。
⑥忙しくて練習出来ないから
忙しくて練習時間が少ないのは、事実かもしれません。
しかし、それを言い訳にして少ない練習時間すら捨てていないでしょうか。
また、「忙しい=人に作業をさせられている」ではなく
「夢中になる=自分で何をするか選んで行動している」と思うことで
疲労を軽減し、何をするにしても効率を上げることが出来ます。
⑦手が小さいから
手が小さいことも事実でしょう。
しかし、出来ないからずっと弾けないままで終わるのではなく、
ストレッチ等の努力をしたり、別の運指を考えるべきです。
物理的に困難な場合は、その曲を諦めて別の曲に労力を割くのも
正しい努力(頭を使った結果)だと思います。
⑧高齢で上達が遅いから
高齢で上達が遅いから、という声を良く聞きますが、
そういった方は実際の年齢以上に上達が遅いです。
この記事で書いたように、自分で考えることが出来る大人は
自分で「セルフハンディキャップ」を破ることが出来ます。
それが出来ない子供に比べて大幅に上達が遅いとは思いません。
⑨既に上達しきっているから
何年も楽器を弾いているから、自分のポテンシャルはこんなものだ
と考えていないでしょうか。
現状維持は、居心地が良いかもしれません。
まずは「何が出来ないのか」をはっきりさせるべきだと思います。
(私は右手の限界速度が遅い!です)
自称「天才」と今回の方法の違いについて
色々と書きましたが、
「セルフハンディキャップ」を打ち破るのは
「自分は才能がある、天才だ」と思い込むこととは違います。
必要なのは「自分の出来ること・出来ないこと」
つまり、事実と向き合うことです。
「やればできる」とただ思っているだけでは、工夫が伴いません。
生まれつき天才でないからこそ、困難を克服する方法を
後天的に、意図的に考え、思いつくことが出来ます。
(凡人で良かった!)
幼少期は、自分で意識まではコントロールしにくいので、
「超えられそうだな」と思うように段階的に目標が設定されています。
停滞をいち早く感じ取ることが大事
これだけ「セルフハンディキャップ」を打ち破ることについて
書いておきながら、どうしても囚われてしまう期間が生まれます。
人は完璧でないので、ミスを犯すのですが、それを自分の力で打破することが出来ます。
(だからこそ尊い)
停滞を敏感に感じ取って、考える癖を付けましょう。
今回の記事は以上になります。
「セルフハンディキャップの打破」は、人に求めてはいけません。
親しい人には出来るようになって欲しいと思うのですが、
出来ない人は出来ないままで、本人が「才能」と決めつけている間はそのままです。
(人間関係は大事に!)
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。