高額なクラシックギターを購入する際は、楽器店で楽器を試奏して判断します。
クラシックギターの試奏では、マナーや注意点が沢山あります。
これを守っていないと店員さんに「要注意なお客様」として扱われてしまいます。
「この人には楽器を触って欲しくない」ということです。
私は東京都内にあるクラシックギター専門店の7割で楽器を買ったことがあります。
また、友人・知人のギター選びに同行し、1日で4000万円分の楽器を試奏したこともあります。
楽器マニアの私が試奏で注意している点をまとめます。
試奏に関する注意点は、他人の楽器を弾かせて頂く際にも役に立つでしょう。
楽器店に行く前に
予算を決めて買う段階なら、予約をする
「そろそろ高級な楽器が欲しい!予算は100万円!」という方が楽器店に行くのなら、必ず予約しましょう。
楽器店の試奏は、予約した方が優先です。
予約せずに他の方と試奏が被ると、楽器店の迷惑になります。
遠くから楽器を買いに来る方の場合は、確実に時間を確保出来るように予約しましょう。
「良いものがあったらちょっとみたいな。」程度の方であれば、予約は不要かもしれません。
その場合、直近で購入を検討している方と被ってしまったら、試奏を譲りましょう。
他のお客さんが来た際、楽器店の方に「試奏をやめて下さい」と言われる前に身を引くようにします。
店員さんとの信頼関係が大事です。
(結局は予約した方が無難なのです)
「絶対に時間を確保して試奏したい」方は、予約が必須です。
上着やズボンにチャックや金具が無いものを着る
楽器を傷付ける可能性があるので、上着やズボンにチャックや金具が付いているものはNGです。
シャツのボタンでもNGの楽器店もあります。
演奏時に身体の力が抜けていない人は、楽器を身体に押し付けて、裏板に傷を付けるからです。
楽器店で傷が付かないように楽器にカバーを被せてくれる場合もあります。
しかし、楽器を傷付ける可能性がある上着を着ている場合は、試奏前に脱いで「楽器への敬意」を持ったお客様であることを示した方が良いでしょう。
楽器の取り扱いの注意点
汗や雨で服が濡れた状態では楽器に触れない
高級な楽器では、板の振動を邪魔しない極薄の「セラック塗装」が使われています。
セラック塗装は濡れた状態で触れると溶けたり、白濁したりしてしまいます。
夏の暑い時期の汗や雨に濡れた状態で楽器に触れてはいけません。
表面板に触らない
「ギターの表面板はカメラのレンズと同じ」という言葉を聴いたことがあります。
言い得て妙だと思います。
(厳密には違う部分もありますが)
試奏の際は「表面板に全く触れない」方が無難です。
横板を掴まない
ギターを持つ際、横板を掴んではいけません。
私だけかもしれないのですが、ギターの横板を掴んで持つのを見ると鳥肌が立ちます。
指も表面板に触れています。
この持ち方をしている人を見かけたら、自分の楽器には極力触れさせないようにしています。
左手でネックを掴み、右手は横板に添えるだけ
ギターを持つ際の注意点です。
ケースからギターを取り出す際と同じように左手でネックを掴みます。
ネックは握る部分なので、唯一素手で触れることが許されている部分です。
ネックを持つだけではバランスが悪いので、右手を横板に添えて持ちます。
こういった動きを見るだけで、「楽器への知識・敬意の有無」が分かってしまいます。
スタンドにギターを置く際はボディ→ネックの順番
楽器の試奏中は、ギターをギタースタンドに置くことが多いです。
ギタースタンドに楽器を置く際は、ギターのボディの下部をスタンドに置き、その後ネックを倒します。
ボディの下部をスタンドに置く際が危ないので、極めてゆっくり置きましょう。
試奏中の注意点
右手の爪は絶対に表面板に当てない
ギターを持つ際も、弾く際も、表面板に右手の爪を当ててはいけません。
最新の注意を払って取り扱うようにしましょう。
爪の当て傷があるだけで、「新品」から「ちょい傷」の商品になってしまいます。
楽器を叩く曲は弾かない
ギターを叩くような曲は、店頭の楽器では弾いてはいけません。
左手親指の爪を立てない
ギターを試奏する際、左手親指の爪を立ててはいけません。
ネックに傷が付くからです。
楽器店の店主と話をしたことがありますが、ふとした瞬間に、普段やらなそうな方がやってしまうことがあるそうです。
他人の楽器を触らせてもらった際、ネックに傷が付いているのを見かけたら、絶対に楽器を貸してはいけません。
試奏時のギターの取り扱いまとめ
今回書いたギターの取り扱いについては、知識や経験がある方は自然に守っているポイントです。
こういった点が「敷居の高さ」になってはいけないと思い、まとめることにしました。
別の試奏に関する記事も書いておりますので、合わせて御覧ください。
「買わないなら試奏しないで下さい」について。|クラシックギターの世界
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。