難しい曲を練習していて、左手の押さえかえが上手くいかない部分がありました。
かなり練習しても上手くいく気配がありません。
「自分の上達も遂に止まったか!」と思いました。
しかし、工夫して弾いたところ、すぐに弾けるようになりました。
上手くいかない理由を「才能」や「年齢」のせいにしないために、左手の難しい押さえかえのコツをまとめます。
難しいとしても、曲芸ではない
演奏は難しい行為ですが、プロの演奏家は困難を克服して演奏に挑んでいます。
かなり難しい左手の押さえ替えだったとしても、少なくとも8割以上は成功する見込みがあるのではないでしょうか。
(難易度と演奏者により勿論違います。)
成功確率が5割なら、演奏はミスだらけになっているはずです。
つまり、弾けるようになった状態というのは「概ね成功できる」という感覚が得られるということです。
「難しい」という感覚が過剰に残っている場合は、何かが間違っています。
練習量に頼らない
難所を練習した場合に、予備知識がなければ1000回練習して弾けるとします。
コツを掴む(工夫する)ことで、50回や100回の少ない回数で弾けるようになります。
練習回数を減らすメリットは以下の通りです。
- 疲労と怪我の可能性が減る
- 曲に対する苦手意識が芽生えにくくなる
- 弾けない状態で何度も練習して、曲のイメージが歪むことがない
(弾けない場合はリズム等が悪くなり、曲に対する理想が下がる) - 他の部分に練習時間を当てることが出来る
天才は少ない練習量で技術を会得出来ます。
頭を使うことで練習回数を減らし、擬似的に天才に近づきましょう。
左手の基本の動きを理解する
左手の動きの構成要素を分解します。
ポジションの移動
左手の動きはネック(弦)に平行です。
移動が大きい場合は、肘を先に動かしておく方が良いでしょう。
ただし、肘の移動が大きすぎると次に紹介する手の回転が発生してしまいます。
左手の回転
左手を回転させます。
大きく「指」を動かすよりも、小さく「手」を動かした方が成功確率が高いと考えています。
(意見が分かれる話ですが)
押さえかえする際の状況を考えます。
「指」そのものを動かすなら、「指」の視点では大きな動きが必要です。
「手」を少し動かすと、結果として「指」が大きく動きます。
「手」の視点ではあくまで小さな動きです。
これによりミスが減ります。
指の曲げ伸ばし
移動と回転を使った上で、残りの足りない動きを「指の曲げ伸ばし」で補います。
ギター経験が浅い場合、「指板上の指」に目がいきがちです。
指でなんとかしようとしてしまいます。
ポジションの移動と手の回転でなるべく対処しますので、指で対処するのは最後です。
(先生によって考え方は違うと思います)
ガイドフィンガーの活用
ポジション移動がある際は、ガイドフィンガーを活用します。
① 移動前の音を弾いた指をガイドフィンガーにする
最もオーソドックスなパターンです。
目標の和音で使う音と、前の音の「弦と指が同じ」になるようにします。
その指で弦の上を滑って(ガイドにして)移動します。
移動後の和音で3弦を左手の2の指で押さえるなら、その前の音で、3弦を2の指で押さえます。
② 無関係の指をガイドフィンガーにする
目標の和音で使わない指をガイドフィンガーにすることも出来ます。
目標の和音を左手の234で押さえるとします。
その前の音を1の指で押さえ、ガイドにして移動します。
③ 無かったら作る
ガイドフィンガーが無い場合、無理やり作れるかどうかを考えます。
(私はかなり効率的な先生に習っていたので、良くも悪くもこういった工夫が無いと弾けない状態になっています・・・)
目標の音に移動する前に、何とかして指を置きます。
つまり、ほとんどのケースでガイドフィンガーは作れるのです。
意図的に指をフリーにする
ガイドフィンガーを強引に用意する場合、指を事前にフリーにする必要があります。
ポリフォニーとして機能していない音は、切れても良いかもしれません。
(音楽全体の流れの方が重要です。)
裏拍等、目立たない部分で指を離して音を切ります。
離した指をガイドフィンガーになるように準備します。
ケース・バイ・ケースですが、音楽的に音を切るようにしましょう。
和音の中で難易度の高い指を理解する
左手の動きの基本で書いたとおり、なるべく「回転」と「移動」で対処します。
それを超えて、大きな指の曲げ伸ばしがある部分が「難所」です。
押さえかえの際は、ゴールとなる指板上での指のポジションをイメージします。
大きく曲げ伸ばしする指は早めに準備を
移動距離が長く、曲げ伸ばしの大きい指は早めの準備が必要です。
空中で待機出来る場合は、予め目標の弦の上に移動を済ませておきます。
他の音に指を使っている場合は、妥協して音を切る判断も必要です。
事前に指を自由にすることで余裕を持って準備が可能です。
セーハの深さを変える
「3弦までのセーハ→6弦までのセーハ」を瞬時に変えるのは、労力がいります。
手に力が入った状態では動かしにくく、指の曲がりも大きく変化するからです。
あえてセーハを前もって深く(若しくは浅く)しておくのが良いでしょう。
左手の押さえかえのコツ、まとめ
指を激しく動かす前に、手の回転を使いましょう。
ガイドフィンガーを有効に使いましょう。
押さえかえや移動の前に、音の長さを妥協して指を離せば楽になる場合があります。
「才能」や「年齢」のせいにしなければならない程に難しい押さえは、中々登場しません。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。