【委託販売中】ユーゴ・キュビリエ、ルカ・ワルドナー(クロサワ楽器 ドクターサウンド)

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御茶ノ水のクロサワ楽器 ドクターサウンド3F に、私の所有する2本のクラシックギターを委託販売として預けました。
預けたのは以下の2本です。

委託販売に出した直接の理由は「金策と狭い部屋に引っ越したことによるギターの整理」です。

ブログを読んでいる方には「なぜこの2本を売りに出したの?不満は?」など、気になる部分があると思いますので記事にします。

買わなくても良いので(と言ったらお店に失礼なのですが)、
店頭にギターがあるうちに、実物の楽器がどういったものかを弾いて頂ければ、ブログの内容との答え合わせができてより楽しめると思っています。

この記事でわかること

「ユーゴ・キュビリエ」を売りに出した理由

ユーゴ・キュビリエのギターを売りに出した理由は「伝統的な構造のギターと比べた場合にタッチに対するレスポンスが劣るから」です。
少し前に記事にしたハウザー・フレタ・ロマニリョスのような繊細の極みの楽器と弾き比べると、どうしても太刀打ちできません。

ただ、これはメリットの裏返しでもあって、緊張した場面や多少感情に任せて弾きたいシーンでも大きく破綻しにくい、ということを示しています。 ギターはプレイヤーの精神状態が演奏に現れやすいので、「大船に乗った気持ちで弾ける」というのは強い武器になります。

弦がボケていても明瞭な音が鳴るので、自宅で楽しんで弾きたいときにはほぼ毎回この楽器を手に取っていました。 (70%キュビリエ、20%マリン、残り10%はその他)

「手放そうとしておきながら褒めすぎでは?」と思うかもしれません。
正直なところ、私も未練たらたらの心理状態です。
売りたいのか、売りたくないのか、よく分からなくなっています。
頭がぐちゃぐちゃです。

ヤフオク等でたまに「この値段で売れなければ自分で弾くので、価格交渉には応じません」的な文章を見かけます。
これに対して「正直うっとおしい、売るのか売らないのかどっちなんだ」と思ってしまうのですが、その気持ちが分からないでもないです。

誤解を恐れずに言うと、この個体は日本にあるキュビリエの中で1番音質が優れたものだと思っています。
音質は好みがあるので「1番良い」という表現には異議があるかもしれませんが、普段は銘器と呼ばれるカテゴリーばかり弾く私も楽しんで弾ける音質でした。

私の前のファーストオーナーも、私もナイロン弦(カーボンでなく)を張って弾き込んでいましたので、ラティスブレーシングを感じさせない太い音が鳴ります。

この楽器を購入する前に、私もユーゴ・キュビリエ本人に新作をオーダーしようとしたのですが、問い合わせに対する返信がありませんでした。
このキュビリエがオーダーされた後、直後のタイミングで楽器店も新作をオーダーしたらしいのですが、いろいろと理由を付けて作ってくれなかったようです。
対面とネットの両方で複数のユーゴ・キュビリエの音を聴きましたが、明らかにこの個体がベストだったため、私の注文が通らなかったことはラッキーだったと思っています。

思い出をぐだぐだ書いてしまいましたが、売りに出したことを後悔する楽器になりそうです。

ユーゴ・キュビリエの向き・不向き

完全に伝統的な楽器に特化したタッチ・耳の奏者にとっては、キュビリエのギターは魅力的ではないと思います。
そういった好みの方は、キュビリエを弾いても伝統的なギターとあまり音量が変わらないと感じるので、そもそも選ぶことが無いでしょう。
(不思議なのですが、タッチによってはなぜか普通の楽器と音量が変わらない)

それ以外はほとんどの奏者にマッチする楽器だと思っています。
この個体に限っては、ラティス的な癖はそれほど強くなく、普通のギターに近い感覚で弾けます。

しっかり弦を押し込んだときによく耐えてくれるので、タッチが強い方やステージ演奏が多い方におすすめです。
スプルースの伸びのある音で、音量が必要な場面で重宝していました。

「ルカ・ワルドナー」を売りに出した理由

ルカ・ワルドナーのギターを売りに出した理由は「特定の響き・音楽性が音に付いてくるため、それ以外の音色が使いこなせなかったから」です。
(伊藤さんの演奏を聴くと、楽器の良いところが出ていて本当に売りたくないなと思います)

欠点は後にして、先に褒めます。
ルカ・ワルドナーのギターは、弦楽器製作の伝統のあるイタリアの楽器で、メロディを弾いたときに楽器がよく歌ってくれます。
音楽性のある明るくて深い音です。
トーレスサイズの小さなボディですが、アポヤンドのような深いタッチで弾くと音がとてつもなく伸びていきます。
(立ち上がりの後に伸びるので、音が大きく感じる)
音量があって音の存在感もあるので、「間が持たない」「物足りない」といった状態とは無縁です。
私もコンクールで3位入賞したときに、ルカ・ワルドナーのギターを使っていました。

セミプロレベルの知人が弾いた場合、アントニオ・マリン等の音量が大きい楽器よりも更に迫力がある音がしていました。
「音が太い・大きい・伸びる・音楽性がある」ギターで、ナイロン弦同士ならキュビリエに引けを取らないパワーだと思います。 (フレタ等と同じく、音質は軽いです)

ただ、「響きが豊か」であるが故に、それ以外の音が出しにくいという特徴もありました。

私のタッチは長時間ギターを弾き込むと楽器が硬くなってしまうという性質があり、硬くなったルカ・ワルドナーからは特に多彩な音を引き出せない状況になってしまいました。

ルカ・ワルドナーの音色の特性は理解した上でこの楽器を所有していましたので、自分のタッチの悪さで魅力を引き出しきれなかったことは悔しく思っています。

ルカ・ワルドナーの向き・不向き

このギターは音色にイタリアオペラのような響きが付いてくる楽器です。
充実感があって音楽的なのですが、余計な響きのないプレーンな楽器が好きな方には向きません。

いい音が出る爪やタッチをコントロールする耳を持っていて、楽器をほぐして鳴らしきれるという方は、この楽器の短所があまり気にならないと思います。
楽器全体が充実して鳴るようになっていれば、音色を広く使って演奏可能です。

トーレスボディで構えやすく大きな音が出るので、身体や手が小さいけれど、コンクールで戦える楽器が欲しいという方にもおすすめです。

クロサワ楽器 ドクターサウンドでお店に預けた際、伊藤さんに弾いていただき、あらためてうっとりする音が出ていました。
自分であまり弾けないという方も、伊藤さんの演奏で音を聴いてみると良い体験になると思います。

この2本のお値段は?

以下の値段で委託販売に出しております。

  • ユーゴ・キュビリエ → 140万円(税抜き)
  • ルカ・ワルドナー  →  40万円(税抜き)

お値段に関しては、賛否あるかと思います。
私もべらぼうに安く出そうかとも考えましたが、お店と相談してこの価格にしました。

ドル円が110円ぐらいだったときの値段と同じか、それよりも安くしています。
この記事執筆時点のドル円が148円ですので、円安を踏まえるとお買い得かと思います。

キュビリエに関しては当たり個体ですが、180~200万円などのクレイジーな価格は付けていません。
ダブルトップ・ラティスの良い楽器を探している方にはぜひ弾いてみて欲しいと思っています。

委託先の都合により、弦は選べず

今回、委託で預けた2本のギターについて、個人的には以下の弦が相性が良いと思っています。

  • ユーゴ・キュビリエ → プロアルテ or ハナバッハ
  • ルカ・ワルドナー  → 高音:リーガル、低音:テンションが高すぎないもの

クロサワ楽器 ドクターサウンド さんの都合で、店頭に並べているギターに関しては間違いがないように弦は同じ銘柄に統一しているとのことでした。

ルカ・ワルドナーに関しては張っている弦の種類の影響が大きい楽器なので、この点は残念です。
ベストな弦と比べて多少魅力が削がれていると思って弾いてもらえればと思います。

長い記事を最後まで読んでいただいて、有難うございます。
どちらの楽器も明確な個性があり、試奏して頂ければ「魅力のある楽器とはこんな感じ」というのが伝わるかと思います。

大当たりのハウザーやロマニリョス等はこの2本のような短所はないのでしょうが、今は500万円で済まない値段になっています。
長所に関しては高額な銘器に負けていないと思いますので、2本揃っているうちにぜひ店頭で弾いてみて下さい。
(感想も待っています)
以下、Jギターのページへのリンクです。

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