ギターの演奏において、脱力して演奏したければ「小指側」の重心を意識すべきです。
これを使うことで、右手も左手も脱力して大きな力を発揮できます。
(記事タイトルでは「かもしれない」と書きましたが、確実な事実と思っています。)
「小指側への重心」を利用する理由と、右手と左手でどのような効能が得られるのかを解説します。
前提として「手が力む」とは
下記の手の画像の「親指の根本」に力が入り、手が硬直した状態が力んだ状態です。
「身体そのものには力は入っているが、外へは大きな力を伝えていない」状態で、二の腕に力こぶを作ったのと同じです。
右手について
右手に関する話は、「私は全く右手は力みません」という方は読まなくても良いでしょう。
親指p、人差し指i側を使い過ぎると力む
右手の使い方や基本を完全に会得できていない奏者が「親指p、人差し指i側」を酷使すると右手は力みます。
アナ・ヴィドヴィチ氏のように薬指aを極力使わないギタリストもいます。
技術的に問題がなければ、「親指p、人差し指i側」を酷使しても問題はありません。
逆向きのトレモロ「pima」の難しさと同じ
「何を言っているか、意味が分からない」という方もいるかもしれません。
トレモロの練習方法として行われる逆向きのトレモロ「pima」をやってみて下さい。
普通のトレモロより力みやすい筈です。
逆向きのトレモロ「pima」がやりにくい理由は「親指の力をリリースする瞬間を作りにくく、親指の根元が硬直しやすいから」です。
重心が「親指p、人差し指i側」から離れません。
私はトレモロの練習として逆向きのトレモロ「pima」を取り入れていますが、まだこの方法で練習する意義を見つけられていません。
「難しい動きでも滑らかに力まずに弾くこと」と「薬指aを最後に弾く当てにくさ」の克服でしょうか。
薬指a、人差し指iを多用しよう
私は凡人ですし、当ブログも凡人向けに書いています。
アナ・ヴィドヴィチ氏のようには弾けません。
演奏中に右手が力んでしまうことも多々あるでしょう。
少しでも右手が力みそうな場面では「薬指a、人差し指i」を取り入れてみます。
これを使うことによって、右手の力が入っている重心を「親指p」側から「小指側」へズラすことが出来ます。
これにより、左手が弦を押さえていない瞬間は左手の力をリリース出来るのと同じように、右手に溜まった力みを解放することが出来ます。
右手が動き続けていても力みは取れていくので、かなり有効な手段です。
左手について
左手の方が、右手よりも力みを感じている方が多いと思います。
親指の付け根に力が入っている場合が多く、特に親指が反っている状態で力みは発生しやすいです。
小指側に重心がある状態をスタンダードに
小指側に重心がある状態がスタンダードにしておくことで力み(親指の付け根の硬直)を防ぐことが出来ます。
これは、小指を使わない押さえの場合であっても言えることです。
セーハでも、小指側重心を意識して押さえる
小指を使わない(押さえない)形のセーハでも、小指側へ重心を加えることを意識して押さえます。
すると、力みが発生せずにしっかりと押さえられます。
チェロ風の左手が有利?
左手に関して、大きく分けて2つのフォームが存在します。
指板に対して直角に指を置くチェロ風のフォームと、斜めに指を入れるヴァイオリン風のフォームです。
これは、押さえによって変わるものであり、「どちらが正しい」というものではありませんん。
(ヴァイオリンの逆の角度で指を入れる押さえもあります)
この2つのフォームなら、チェロ風の左手の方が「小指側重心の手」になりやすいです。
ヴァイオリン風の左手においても、小指側に重心を動かすことを忘れなければ良いでしょう。
親指をネックに付けないで押さえる?
親指をネックに付けずに弦を押さえる練習を良く耳にします。
「親指とその他の指でネックを挟まないこと」は大変重要です。
しかし、私はこの練習が重要とは思っていません。
(2021年、今のところ)
親指をネックに付けなかったからといって、親指の根本が力んでしまっては本末転倒だからです。
親指をネックから離すなら、あまり大袈裟には離さない方が良いでしょう。
(なるべく弱く触れるのは良いかもしれません)
「小指側重心を意識」のまとめ
直近で脱力に関する記事を書きました。
「ギターの左手は極限まで脱力する」理由をまとめる。|クラシックギターの世界
しかし、上記リンクの記事だけでは腹落ちしきれていませんでした。
「確実に上手くいく」状態までは到達できていなかったのです。
「小指側重心を意識」することで、左手の困難が完全に消え去りました。
今回の記事はここ最近の技術に関する記事で最も重要かもしれません。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。