ミスをしない演奏家はいません。
しかし、ミスをした際の対処で聴き手に与える印象は大きく変わります。
ミスで大きく狼狽えるのは、「私、ミスしました!」と高らかに宣言するのと同じです。
ミスをしない自信が無いなら、ミスをしたときの反応を決めておいた方が良いと考えています。
予め、「もし〇〇したら、●●する」という内容を決めておく、if-thenプランニングの考え方です。
私が考えているミスへの対処と、ミス以外の不具合への対処をまとめます。
(新しいパターンを思いついたら、都度追記します)
ミスのパターン
失敗してしまったことは取り返せません。
(覆水盆に返らず)
その後の演奏に悪影響が及ばないように動揺を最小限に押さえ、立て直しの行動を取ります。
左手が原因で音が出ない(かすれた)
左手の音が明瞭に出なかったら、以下の行動を取ります。
- 弦を押さえる力を少し強める
(ミスした指のみ) - フレット上の弦を押さえる位置の確認
ミスは取り返しが付かないものですが、左手の押さえは一度出した音にも影響します。
また、アルペジオ等の繰り返しでもう1度弾くケースがあります。
上記の対処を瞬時に行った上で、音楽の流れを止めないようにしましょう。
(追記)左手の調整は、テンポの遅い曲でしか使えません。
テンポが標準以上の曲では、このタイプのミスも流すしかありません。
NGな行動
- 指を置きなおして弾き直す(同じ音を2回出す)
- 音がビリつくのを恐れて、全ての指の力を強める
右手の指をセットする弦を間違えた
右手の指をセットする弦を間違えたら、以下の行動を取ります。
- 弾く前に、瞬時に指を正しい弦に置きなおす
発音のタイミングは遅れますし、音楽の流れも少し乱れます。
もうこれはしょうがないと思っています。
いかに短い時間でリカバリーするかが重要です。
NGな行動
- 間違いに気がついているのに、誤った音を弾く
それ以外の左手・右手のミス
上記の2つのミスは、ミスした後でもリカバリーが効くミスです。
以下のそれ以外のミスは、ミスしたらもう取り返しが付きません。
- 左手で押さえる弦を間違えた
- 左手で音を出す弦に触れてしまった
- 右手で弾く弦を間違えた
- 右手で音を消してしまった
- 狙った音量・音色・アーティキュレーションが出なかった
これらのミスに対しては、次の音から確実に音楽を取り戻せるように以下の対策を取ります。
あくまで一例です。
自分がもっとも陥りやすい誤った行動を取らない選択肢を設定しましょう。
- 確実に弦を捉える
(奏者しか気が付かない程度の「無音」で立て直す) - 脱力する
(次の弦を捕まえられるよう、感覚を鋭敏にする)
望ましくない状態に陥るパターン
ミス以外でも、演奏中は無意識に望ましくない状態に陥っています。
これにたいしてもif thenプランニングを設定しておき、改善行動を取れるように練習します。
呼吸が止まっている
- 息を吐ききる
- お腹を柔らかく保つ
呼吸を正しい状態に戻すには、息を吸おうとするよりも一旦息を吐ききる状態にしましょう。
そうすると、大きく息を吸うことが出来ます。
また、息が入るようにお腹を柔らかく保ちましょう。
殴られる訳でないので、腹筋に力を入れる必要はありません。
(お腹がぽよぽよでも、ギターで隠れます)
頭を振っている(大きな音量を出す際など)
- 頭を振るのをやめる
音への影響を考えた場合、演奏中に頭を振る意味はありません。
野球やテニスでボールを打つ際、頭を振ったらボールを打つ瞬間がブレてしまいます。
力もうまく伝わりません。
コントロールを放棄する行為です。
トレモロ・スケール・アルペジオで手が暴れる
- 一定の深さで弦に触れ続ける
(弦を目印にする) - 練習中なら、爪を削る
(爪の抵抗を感じたらすぐに)
緊張で手が暴れてしまう場合は、優しく一定の深さで弦に触れ、その位置を感じるようにします。
これにより右手の位置をロストしなくなります。
使わない指を他の弦に置いておくのも良いですが、弾いている指そのもので位置を感じるのが重要と思っています。
(最近の練習中では、ただ置いているだけの指はあまり当てにならないと思うようになりました。)
練習中に爪による引っかかりを感じたら、すぐに爪を削りましょう。
爪の形がベストでない状態でのトレモロ・スケール・アルペジオは練習の効果が薄れます。
左手の動きが忙しくなったら
- 無駄のない動きをする
- ゆっくり動く
- 着地をソフトに
左手の難所に差し掛かった時程、上記の項目を意識して冷静に対処しましょう。
分かっていても難しいのですが、練習でいかに良い癖を付けておくかが大事です。
ミスした際の反応を決めておく、まとめ
ミスをした際の反応を決めておくのは、後出しジャンケンの練習をしているような楽しさがあります。
普段の練習ではミスすると嫌な気持ちになりますが、「ミスしたときの反応の練習」ではミスをポジティブに捉えることが出来ます。
波風立たずにミスをやり過ごした際は、単純な成功とはまた違う快感があります。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。