(続き⑤)太い音を出す方法について。

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太い音を出す方法を探究し始めてから、約半年が経過しました。
太い音を意識する前の状態に比べると大分進歩したと思うのですが、まだ完成度は6~7割の印象です。

太い音を出す方法その⑤として、途中経過をまとめます。

この記事でわかること

タッチが良い友人の凄さを語る

自分の右手のタッチも以前に比べて多少は良くなった気はします。

しかし、タッチが良い友人が弾くと、弦の感触はもっと柔らかく、音が太く、倍音が豊富です。
友人が弾いた後の楽器は、音色と弦の反応が「ふかしたホクホクのサツマイモ」のようになります。
この状態では、右手の指が弦を捉えやすくなり、軽い音も、最大音量の音もより簡単に出せるようになります。
友人も「このタッチを身に付けた後の状態であれば、速いスケールが昔のように難しくは感じないと思う」と言っておりました。

歴史上のタッチが優れていると言われている奏者達も、皆このような状態になったギターで演奏を行っていたのだと思います。

さつまいも

古楽器とモダンのタッチの違い

リュート

右手のタッチに優れた友人に、私の19世紀ギターを弾いてもらいました。
軽く作られた楽器で、リュートに近い鳴り方が特徴です。
この友人は19世紀ギターは持っていません。
「右手のタッチへのアジャスト」や「1弦と6弦が指板から落ちてしまうこと」に苦労するのでは、と私は予想しました。

友人に19世紀ギターを試奏してもらった結果、そのどちらの問題も起きませんでした。
普段19世紀ギターを弾き慣れている私よりも圧倒的に良い音色を出し、左手においても不慣れさを感じさせませんでした。

私はこれまで、モダンギターと古楽器は異なるタッチで弾くものと考えていましたが、その考え方を改めなくてはいけないと思いました。
ギター、19世紀ギター、リュートを問わず、プランティングで綺麗な振動をさせた方が良いというのは共通と考えています。
また、音色を耳で聴き取って、都度より良い音色が引き出せるように指のアクションを工夫するのも同じです。

モダンギターだから「力強く弾くべき、多少乱暴さが残っても良い」というのは完全に間違いだと思い知らされました。

ギターが弾けない時期に右手を見直した

私の友人が素晴らしいタッチを会得した経緯を聞いてみました。
ギターとは無関係な原因による身体の不調によってギターが弾けない時期があり、それでも右手で弦を弾いて音を出すことが楽しく、その時期に自分の右手のタッチを見つめ直して現在の音に到達したとのことです。

私は友人のギターへの姿勢や演奏内容を心から尊敬しています。
現在でも相当の腕前なのですが、体調不良の影響が無かったとしたら演奏者として並ぶ者がいないかもしれません。

今後の課題「弦の柔らかさと倍音が足りない」

私も以下の方法を意識して、以前よりはまともな音が出せるようになりました。

  • 指の力に頼らない
  • 弦と指・爪の接地面積を大きくする
  • 脱力する
  • 表面板に対して縦の振動を意識する

これらを徹底することで音は太く柔らかくなりました。
更にタッチを改善し、良い音を出すには「弦の感触をどうやって柔らかくするか」「どうやって倍音の量を増やすか」が課題だと思っています。
(音そのものは現時点でそれなりに柔らかいですが)

弦の感触を柔らかくする

「弦の感触を柔らかくする」には、脱力が重要だと思っています。
しかし、現時点でも脱力はかなり徹底しています。

「脱力」のパラメータをこれ以上改善することは難しいと感じています。
もしかすると、「倍音を増やす」ことで音がほぐれてくれ、結果的に弦の感触も柔らかくなるかもしれません。

倍音を増やす

私がやるべきことは「倍音を増やす」ことだと感じています。
しかし、この方法に皆目見当がつきません。

高音弦よりも、低音弦(巻き弦)の弾き方に工夫の余地があるのではと思っています。

爪の影響も大きいと思います。
しかし、友人は伸びた爪で抵抗が大きい状態でも良い音を出していました。
(体調不良でギターがあまり弾けないので爪を整えていなかった、とのことです)
その際は、抵抗が邪魔なので手を上(表面板に対して)に逃していました。
手を上に逃すような技術的にはNGの弾き方でも、良い音の感覚を覚えている人であれば良い音を出すことは可能ということです。

やはり、「耳で倍音や音色をどれくらい捉えられているか」が重要な気がします。
しかし、耳で聴き取れていない音があるのか、重要と思えていない成分がどこなのか、自分では全く分かりません。

一日中練習してみて

個人的に、2週間後に以下のプログラムで人前での演奏を控えています。

  • BWV998 プレリュード、フーガ、アレグロ/J.S.バッハ
  • Op.35-17/F.ソル
  • ブラジル組曲3番より第5楽章/S.アサド
  • グランソロ/F.ソル

久しぶりに1日中練習してみました。
曲の用意をしつつ、タッチの確認をしつつ、です。

リリース速度について

リリース速度は遅い方が音が太くなるはずですが、少し速い方が高い倍音が出てくれるとも感じています。
暗譜した曲を真面目に弾くよりも、初見でサラッと弾いた時の方が倍音の内容が良いような気もします。

リリース速度を速くするのは、擦過によるもののような倍音が付いて悪くない印象です。
私は習っている先生から「指の速度を速く」と指摘されることがあり、先生の観察力の高さを思い知りました。
ただし、完全な太い音にはなりにくいと感じます。

音の芯、残すのか、潰すのか

タッチの良い友人が弾いた際の音は、倍音と音の芯の境目が無くなり、音が大変太く聴こえます。

私が芯を意識しながら弾くと、逆に音の芯の存在感だけが強くなり、倍音が薄くなります。
音に剛直な印象がありますが、これはあまり良い音ではありません。

リリース速度を速くすると、芯を削って倍音に変えているような感覚があります。

「音の芯を残す」のか、「芯をあえて潰すことで倍音を出す」のか、迷うところです。

1日中弾いて、改善の兆しがあった

リリース速度を速くしたことで明るい倍音が増え、「音が柔らかくなるかも」と思いました。
ところが、何故か芯だけが強い音になりました。
またしばらく間を空けて弾くと、楽器の音から腰が抜けてしまいました。

そこから、楽器がもう一度落ち着いた状態で弾いたら、かなり良い音になりました。
タッチにはリニアに反応するのに、余計な抵抗が一切なく音が出る状態です。
楽器が震えているのが良く分かります。
この状態であれば8割ぐらいの達成度と言えそうです。

しかし、「1日中弾かなければベストの音が出ない」というのはおかしいです。
(友人は3分で私の楽器の音を変えていました)
練習で私のタッチが変化した可能性もありえますが、今のところ再現性がありません。

理想のタッチを求める鍛錬は今後も続きます。
昔のように、「完全に楽器を轢き潰してしまう」ことは無くなったのが救いです。

今回の記事は以上となります。
最後までご覧いただき、誠に有難うございました。

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