この記事では、クラシックギターの名曲18選を紹介します。
今回のセレクトは「音質」と「ギターの魅力」に徹底的にこだわりました。
Youtubeは音質の悪い録音に溢れています。
適当に選んで聴くと、全くクラシックギターの魅力が伝わらないでしょう。
著者は10年以上クラシックギターを弾いておりまして、かなり厳しい目線で審査した名曲・名演奏を18曲取り揃えております。
では、お楽しみください。
スペインのクラシックギターの名曲
クラシックギターといえば、スペインを思い浮かべるのではないでしょうか。
代表的な曲をいくつか紹介します。
アストリアス/I.アルベニス
スペインの作曲家・ピアニスト I.アルベニス(1860-1909)が作曲した名曲。
元はピアノ曲ですが、ギターで演奏されることが多いでしょう。
作曲家の脳内にもギターの音色のイメージがあったのではないでしょうか。
天才と呼ばれた伝説の演奏家のジョン・ウィリアムスの演奏を紹介します。
カタルシスのあるアンダルシア地方の音楽の魅力に痺れます。
グラナダ/I.アルベニス
同じくI.アルベニスの作曲による名曲。
M.ラヴェルがピアノによる原曲を超えたと言ったのがこのギター編曲による「グラナダ」だったかと思います。
曲が始まった瞬間に「スペインの景色」に連れて行かれます。
昔は「のんびりした曲」と思っていましたが、凄く濃密な曲です。
クラシックギターの音色が活きる名曲
11月のある日/L.ブローウェル
キューバの作曲家 L.ブローウェル(1939- )が作曲したクラシックギターの名曲。
悲しい過去を打ち明けるかのような旋律から始まります。
中間部では音が波打ち、煌めくような明るさもあります。
ギターの様々な表情を含んだ名曲です。
カヴァティーナ/S.マイヤーズ
1978年の映画「ディア・ハンター」で使用された名曲が「カヴァティーナ」。
優しい雰囲気が曲全体を包んでいます。
その中でも、暗雲が立ち込め始めるかのような暗さを魅せる中間部や、涙が零れ落ちるかのようなクライマックスに思わず息を飲んでしまいます。
テクニカルな技巧が映えるギターの名曲
ムーンタン/A.ヨーク
アメリカのクラシックギタリスト・作曲家のA.ヨーク(1958- )が作曲した技巧的な名曲。
どの演奏を選ぶか、非常に迷いました。
短縮版ですが、木村大氏の演奏が今でも一番良いかと思います。
動きの派手さばかりに目が奪われがちですが、細かいビブラートや音色・音量のコントロールが行われています。
木村大氏のクラシックギタリストとしての音楽性や基礎力の高さが短い動画でも伝わります。
タンゴ・アン・スカイ/R.ディアンス
フランスのギタリスト・作曲家のR.ディアンス(1955-2016)による名曲。
曲名は人工皮革・合皮のタンゴという意味で、フランス人が作った「本物のタンゴ」ではないという皮肉によります。
R.ディアンスがお酒を飲んでいる際に即興で弾いた曲とも言われています。
「フォーコ(炎)」リブラ・ソナチネより/R.ディアンス
同じくR.ディアンスによる技巧的な名曲。
チョーキングやグリッサンド、スラップ奏法が登場するド派手な名曲です。
特殊奏法が目立つ曲ですが、R.ディアンスの高い音楽性が表現されています。
軽快で楽しいクラシックギターの名曲
ワルツ4番/A.バリオス
パラグアイの作曲家A.バリオス(1885-1944)がピアニスト・作曲家であるショパンの作風を模して作ったのがワルツ4番。
南米の作曲家なので、ショパンのような憂いはありません。
技巧的な派手さもあり、踊りだしたくなる名曲です。
ショーロス1番/H.ヴィラロボス
ブラジルの作曲家H.ヴィラロボス(1887-1959)が作曲した名曲。
ブラジルの音楽である 「ショーロ」がルーツとなっており、リズミカルなテンポが特徴。
サウダーデと呼ばれる南米の郷愁があり、明るさの中でも多彩な表情があります。
日本の作曲家のクラシックギターの名曲
「さくら」の主題による変奏曲/横尾幸弘
日本の作曲家 横尾幸弘氏による「さくら」を主題とした変奏曲。
変奏曲とは、元のメロディを題材にして様々な曲が並ぶものです。
ギターの音色と様々な奏法を活かしながら多様な変奏が繰り広げられます。
ギターの音色が「お琴」のように聴こえてくるから、不思議ですね。
虹の彼方に/H.アーレン(武満徹 編曲)
日本の曲ではないのですが、大作曲家 武満徹氏の編曲の「虹の彼方に(オーバー・ザ・レインボウ)」を選びました。
(日本の作曲家による編曲作品として)
ジャズを模した和声が使われていながらも、「情感の表現」に拘っています。
「複雑なのに、エモい」ということです。
宗教的で厳かなクラシックギターの名曲
第3楽章「荘重なアレグロ」 大聖堂より/A.バリオス
パラグアイの作曲家 A.バリオスによる大聖堂 第3楽章より「荘重なアレグロ」。
教会で祈りを捧げていた信者達が喧騒溢れる街中へ戻る様子を表した曲と言われています。
テンポが速く、難易度の高い名曲です。
フランスのギタリスト ガブリエル・ビアンコの演奏は音楽の骨格がハッキリと伝わってきます。
フーガ BWV1000/J.S.バッハ
音楽の父 J.S.バッハ(1685-1750)によるフーガ。
バッハのフーガの中でも最も耳馴染みの良い(聴いたことがある)名曲ではないでしょうか。
少々特殊な編曲による演奏ですが、ギターの音色の魅力を充分に伝えていると思いセレクトしました。
キリスト教における悲劇を思わせるカタルシスのあるクライマックスは必聴です。
シャコンヌ/J.S.バッハ
こちらも音楽の父 J.S.バッハ(1685-1750)による傑作といわれるシャコンヌ。
原曲のヴァイオリンによるドラマティックな演奏も素晴らしいですが、ギターによる無理のないポリフォニーの表現も素晴らしいです。
器楽演奏に馴染みのない方にとっては、ギター演奏の方が聴きやすいのではと思います。
演奏時間が13分半ありますので、お時間がある際にじっくりとお聴きください。
古典(モーツァルトやベートーヴェン)の時代の名曲
大序曲/M.ジュリアーニ
ベートーヴェンの楽団でチェロを弾いたことがあるというイタリアの作曲家 M.ジュリアーニによる名曲。
モーツァルトのような繊細さやベートーヴェンのような悲劇はありませんが、有無を言わさぬ推進力や大団円は流石、イタリアの作曲家です。
ギターの機能や鳴りを活かしきった紛れもない傑作です。
最高の演奏家 J.ブリームによる演奏でお聴きください。
モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲/F.ソル
ギターのベートーヴェンと言われるF.ソルが作曲した名曲です。
(作風は全くベートーヴェンと異なります)
ギター上で表現出来る限りの緻密な音楽を追求した作曲家です。
ギターの神様と呼ばれるA.セゴビアの演奏でお聴きください。
緩急自在なセゴビアのテンポの揺らし方に魅了されます。
ギターの技巧「トレモロ」の名曲
最後のトレモロ(神の愛に免じて施しを)/A.バリオス
パラグアイの作曲家 A.バリオスが作曲したトレモロ奏法による名曲です。
(A.バリオスの登場頻度が高いです)
曲の冒頭の単音のメロディは、物乞いが「何か恵んでください」と家のドアをノックする音と言われています。
韓国のギタリスト パク・キュヒ氏による演奏でお聴きください。
小柄な方で手は小さいと思いますが、極めて高い音楽性とテクニックを持っています。
現代のトレモロの最高峰の1つでしょう。
アルハンブラ宮殿の想い出/F.タレガ
最後に紹介するのは、スペインの作曲家・ギタリスト F.タレガによるトレモロ曲「アルハンブラ宮殿の想い出」です。
この曲のトレモロは、アルハンブラ宮殿の噴水が吹き上がる様子を模写したと言われています。
グラミー賞も受賞した偉大なギタリスト D.ラッセルによる演奏でお聴きください。
先程のしなやかなパク・キュヒ氏のトレモロと比べるとD.ラッセルの演奏は重厚です。
ギターや演奏家による音の違いが大きいのも、クラシックギターの面白さです。
「クラシックギター名曲18選」の裏話
今回、クラシックギターの名曲(名演奏)を18曲選びました。
音質と演奏の良さのバランスが取れているものを探すのが難しかったです。
最近の演奏で良いものは沢山あると思いますが、過去の名演奏ほどは再生されておらず、中々検索で見つけられません。
今回、ギターの魅力が伝わる演奏をバッチリ選んでおりますので、お楽しみ頂けましたら幸いです。
最後までご覧いただき、誠に有難うございました。