【ジャズの練習法】コードトーン(R357)とスケール切り替えの練習を、クラシックギター弾きにすすめる理由

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ライブハウスでウッドベースを弾く演奏者

私は長くクラシックギターを弾いていまして、今は近所のジャズギター教室に通っています。
この記事で紹介する2つの練習は、そこで教わったジャズ向けのトレーニングです。
ジャズ向けと言いつつも、クラシックギターしか弾かない人にも役立つと思っており、この記事はクラシックギター弾き向けに書いています。

ジャズのアドリブでは、曲のコード進行に合わせて音を選び続けます。
コードトーンと、コードに適したスケールが弾ければ、少なくとも演奏中に止まる(ロストする)ことはありません。
今回紹介する練習方法は、その2点を磨く訓練です。

クラシックギター弾きにとっての効能は、和音の種類や移り変わりに敏感になることです。
私も続けているうちに、他の人の演奏を聴いてコードの変化が分かるようになってきました。
先日、クラシックギター仲間にこの練習をすすめた際、内容を整理したくなり、記事にしています。

先に書いておきますが、この練習はかなり頭を使います。

この記事でわかること

練習① コードトーン(R357)だけで弾く

コード進行に合わせて、そのコードの構成音(4和音のR・3・5・7度)だけで単音を弾き続ける練習です。

コードトーン練習のルール

  1. 1つのコードにつき4音弾く(R、3、5、7)
    ※変更可能です。最初は8音等、多めが良いかも
  2. ルート以外で開始してもOK
  3. コードの中では、構成音を順番に進む。
    1弦や6弦など弾きにくい場所にくるまでは、一方向に向かう
    (上がり始めたら、折り返すまでずっと上がる、逆も同じ)
  4. コードが変わるときは、直前の音から最も近い次のコードの構成音へ移る。
    同じ音を続けて弾くのはNG。必ず移動する
  5. 最後は主和音(7thなし)のルートで終わる。
    この際、音数は4つより少なくてよい

実際の演奏では、折り返し等のルールに厳密に従う必要はありません。
あくまで練習としての縛りを設定しています。

クラシックギター弾きは「R35」の定番フォームだけを覚えているため、毎回ルートから始まるアルペジオを弾きがちです。
これでは応用が利きません。

コードトーンの場所は、コードの形からイメージする

R・3・5・7の場所は、音名ではなくコードフォーム(押さえる形)からイメージします。
例えばCM7のフォームを押さえたとき、押さえている音がそのままR・3・5・7です。
フォームを思い浮かべ、その周りにある構成音を拾っていくと、指板上のどこにコードトーンがあるか見えてきます。
最終的には「ルート音が何弦にあるか」によって、コードのマップが頭に浮かぶようになります。

CM7の構成音(R・3・5・7)を指板全体に並べ、A型・G型・E型のフォームを囲んだ図

図はCM7の構成音を指板全体に並べたものです。
A型・G型・E型のフォームが隣り合い、音を共有してつながっています。
連続してコードトーンを弾く際には、異なるフォームを跨ぐことがあります。

コード進行の例

キーCで、次の進行を使います。

コードR・3・5・7
CM7ド・ミ・ソ・シ
Am7ラ・ド・ミ・ソ
Dm7レ・ファ・ラ・ド
G7ソ・シ・レ・ファ

6弦8フレットのド(2の指)から始めると、例えば以下のようなラインになります。

練習① コードトーン キーC
スクロールできます
コード弾く音フォーム解説
CM7ド・ミ・ソ・シ6弦ルート、E型ルートから順に上がる
Am7ド・ミ・ソ・ラ2弦ルート、Dm型シの隣のドへ移り、そのまま上がる
Dm7ド・レ・ド・ラ1弦ルート、Gm型の上部分ラに一番近いDm7の音はド。1弦のレまで来たので折り返す
G7ソ・ファ・レ・シ2弦ルート、C型ラの隣のソへ移り、下がる
Cソ・ミ・ド—下がり続け、始めと同じ6弦8フレットのドで終わる。主和音なので3音でよい

これを繰り返すと、M7・7・m7それぞれの響きの違いが分かるようになります。
(曲によっては、Ⅶの和音で♭5thのハーフディミニッシュが出てきます)
弾きやすいポジションを例にしたのですが、これを指板上のあらゆる場所で弾けるようにしてください。
(暗記が目的ではなく、即興で作れることが重要)

次は、♭系のキーE♭版です。
(同じ進行です)
弾きやすいからとCM調ばかり弾かずに、早い段階でこちらにも取り組んでください。

コードR・3・5・7
E♭M7ミ♭・ソ・シ♭・レ
Cm7ド・ミ♭・ソ・シ♭
Fm7ファ・ラ♭・ド・ミ♭
B♭7シ♭・レ・ファ・ラ♭

5弦6フレットのミ♭(2の指)から始めます。

練習① コードトーン キーE♭
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コード弾く音フォーム解説
E♭M7ミ♭・ソ・シ♭・レ5弦ルート、A型ルートから順に上がる
Cm7ミ♭・ソ・シ♭・ド1弦ルート、Gm型の上部分レの隣のミ♭へ移り、そのまま上がる
Fm7ラ♭・ファ・ミ♭・ド2弦ルート、Cm型1弦のドまで来たので折り返し、ラ♭から下がる。ハイフレットへは上がらない
B♭7シ♭・ラ♭・ファ・レ4弦ルート、E型の下部分ドの隣のシ♭へ移り、下がる
E♭シ♭・ソ・シ♭・ミ♭—5・3・5・1の順。6弦のソまで下がって折り返し、シ♭を経て、始めと同じ5弦6フレットのミ♭で終わる

ポジションは変わりますが、コードフォームに対するR・3・5・7の位置関係はキーCと同じです。

練習② コードごとにスケールを切り替える

コードトーンに慣れたら、次はコードが変わるたびに、そのコードのスケールへ移調して弾き続ける練習です。
CM7ならCメジャースケール(=Aマイナー・スケール)、Dm7ならDマイナースケール、G7ならGメジャースケール、というように移調します。

ルールは練習①と同じです。
4音ごとにコードが変わり、次のスケールの音のうち、直前の音から最も近い音へ移ります。

コード進行の例

練習①と同じ進行です。

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コード弾くスケール構成音
CM7Cメジャード・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
Am7Aマイナーラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ
Dm7Dマイナーレ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ♭・ド
G7Gメジャーソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯

6弦8フレットのド(2の指)から始めた例です。

練習② スケール切り替え キーC
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コード弾く音移動ドで読むと解説
CM7ド・レ・ミ・ファCをドとして、ドレミファCメジャースケールを上がる
Am7ソ・ラ・シ・ドAをラとして、ソラシドファの隣のソへ移り、上がる
Dm7レ・ミ・ファ・ソDをラとして、ラシドレドの隣のレへ移り、上がる
G7ラ・シ・ド・レGをドとして、レミファソソの隣のラへ移り、1弦まで上がる
Cド—1弦のレで折り返し、隣のド(1弦8)ですぐ終わる

今回の例では出てこなかったのですが、ポジションやスタートの音を変えると、シ♭やファ♯のように、キーCにない音が出てきます。
この「音が変わる瞬間」を指と耳で捉えるのが、この練習の肝です。

キーE♭版です。

スクロールできます
コード弾くスケール構成音
E♭M7E♭メジャーミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド・レ
Cm7Cマイナード・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭
Fm7Fマイナーファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド・レ♭・ミ♭
B♭7B♭メジャーシ♭・ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ

5弦6フレットのミ♭(2の指)から始めた例です。

練習② スケール切り替え キーE♭
スクロールできます
コード弾く音移動ドで読むと解説
E♭M7ミ♭・ファ・ソ・ラ♭E♭をドとして、ドレミファE♭メジャースケールを上がる
Cm7シ♭・ド・レ・ミ♭Cをラとして、ソラシドラ♭の隣のシ♭へ移り、上がる
Fm7ファ・ソ・ラ♭・シ♭Fをラとして、ラシドレミ♭の隣のファへ移り、上がる
B♭7ド・レ・ミ♭・レB♭をドとして、レミファミシ♭の隣のドへ移り、1弦のミ♭で折り返す
E♭ド・シ♭・ラ♭・ソ・ファ・ミ♭E♭をドとして、ラソファミレドE♭メジャースケールを下がってミ♭で終わる。シ♭は2弦11フレットを4の指で取り、ポジションを下げない

パターンによって切り替えが噛み合うと、半音階が3つ並ぶ瞬間が生まれます。
ジャズ的にはおいしい部分です。

練習する調は?:Cの次はB♭、E♭、A♭

練習する調を変える際、C → G → D → A のように順番を守って進めない方が良いです。
Cができたら、すぐにB♭、E♭、A♭の♭系に取り組んでください。

理由は、音名で覚えるのを防ぐためです。
C、G、D、Aは慣れた調なので、「ド・ミ・ソ・シ」と音名で追いながら弾けてしまいます。
しかし音名で覚えると、12の調すべてで覚え直しになります。

覚えるべきは音名ではなく、指板上のマップです。
コードフォームに対してR・3・5・7がどこにあるか、という位置関係です。
マップで覚えれば、調が変わっても指板上を平行移動するだけで済みます。

B♭やE♭は不慣れで音名で追いにくいため、早めに練習に取り入れることで、マップで覚えるしかなくなります。
(この記事の表は説明のために音名で書いていますが、練習では音名を追わないでください)

楽譜は「7thまで書かれたコード譜」を使う

この練習には、コードが4和音(7thまで)で書かれた楽譜が必要です。

クラシックギターの楽譜にはコードが書かれていません。
ポップスのコード譜は「C」「Am」など3和音で書かれていることが多く、「このCはCM7なのかC7なのか」を自分で判断する必要があります。
それでは練習になる前に止まってしまいます。

私が使っているのは、ジャズの定番曲集である「ジャズ・スタンダード・バイブル」、通称黒本です。
全曲メロディと4和音のコード進行が書かれており、ジャズセッションの標準譜として使われています。

1曲丸ごと弾く必要はなく、最初の8小節だけで十分練習になります。
飽きたら別の曲、別の部分に移れば良いので、曲数が多い黒本は練習素材として非常に便利です。

クラシックギター弾きがやる理由

「アドリブをしないクラシックギター弾きに、なぜコードやスケールの練習が必要なのか」と思われるかもしれません。

クラシックギターは楽譜通りに弾く文化のため、和声や調を意識しなくても曲が弾けてしまいます。
指板上の音を「押さえる形」で覚えていて、それが曲の中でどんな和音の役割を持つのか、あまり考えていない人が多いと思います。
私自身、長年そうでした。

しかし、良い演奏をするには和声や調の理解が欠かせません。

  • 弾いた和音の響きから、コードの種類を判別できる
  • 他の人の演奏を聴いて、コードの変化が分かる
  • 指板上のどこにコードトーンがあるか、すぐ分かる
  • フレーズのどこで緊張し、どこで解決するのかが分かる
  • 強弱や音色を変える場所に根拠が持てる
  • 和声で覚えると暗譜が崩れにくい
  • 和声が知識ではなく、自分の感覚の一部になる

実際、クラシックギターの曲を弾いていても、この練習で登場したコードトーンの形がそのまま出てくることがあります。
「この部分はこのコードのR・3・5・7だ」と気づけると、譜面の見え方が変わってきます。

これらを身に付ける手段として、今回の2つの練習が役立つというのが私の考えです。

よくある「和声分析+和音を弾く」練習との違い

和声の感覚を身に付ける正攻法は、曲をフレーズごとに和声分析して、そのコードを連続で弾いて響きを感じることです。
私も何年も前から、そう言われてきました。

ただ、正直に言うとこれがかなり面倒です。
楽譜を見て和声分析はしても、実際にコードを弾く習慣が付かず、結局やらなくなっていました。
そういった方は多いと思われます。

和声分析+和音の練習は、どうしても「答え合わせ」のような受け身の作業になりがちです。
「この小節はドミナント」と分かっても、それが使える感覚になるまでには、さらに別の努力が必要です。

一方、今回の練習は自分で音を選ばないと1音も弾けません。
コードが変わるたびに「今の音から一番近い次の構成音はどれか」を、自分で作り出す作業になります。
また、合っているかどうかのチェックも、調号が増えると自分の耳を頼りに行います。
このように能動的にやると、和声が明らかに自分の感覚の一部になっていきます。

ぶっちゃけ難しい:「即興ごっこ」くらいの感覚で

ここまで勧めておいて何ですが、この練習はぶっちゃけ難しいです。
殆どの人は途中で挫折すると思います。
私自身も相当時間がかかり、まだ速いテンポでスラスラとは弾けません。

特に我々クラシックギター弾きにとっては、ストレスがすごい練習です。
楽譜通りに弾くことに慣れた頭で、1音ごとに「次はどの音か」と考えるのは、かなり脳の体力を使います。

最初は、速いテンポは不要です。
1音に1分かけてもよいので、間違えないことだけを守ります。
根を詰めすぎず、「即興ごっこ」くらいの感覚で取り組むのが長続きのコツだと思います。

  • まずはキーCの曲の冒頭8小節を、ゆっくり弾く
  • できたらB♭、E♭、A♭の曲へ進む
  • 練習では縛りを守り、実際の演奏では気にしない

地味な練習ですが、続けると演奏の聴こえ方が変わってきます。
興味のある方は、ぜひ試してみてください。

今回の記事は以上となります。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

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