「中古」と「新作」どちらでギターを買うべきか。

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クラシックギターのみならず、楽器を買う際は新作若しくは中古の中から選びます。

今回の記事では「中古」と「新作」にそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるかをまとめます。
実際に購入する際は全て一緒くたに比較して選ぶため、それ程意識しなくても良いかもしれませんが、きっと楽器選びの役に立つでしょう。

この記事でわかること

価格の違い


当然ながら、新作の価格が高く、中古の価格は安いです。
(名器として価値が定着している楽器を除く)

新作の価格に対して5~6割程度の中古価格で売られている楽器が多いように思います。
一部の人気のある楽器なら6割以上の値が付くこともありますが、ごく少数です。

購入した楽器を売ることになったとしても、購入価格に近い価格で店頭に並べることが出来ます。
いくら手元に返ってくるかは売り方次第ですが、中古は購入価格とリセール価格の差は小さいです。
(損しにくい)
価格に関しては中古が圧倒的に有利です。

音の変化の有無


楽器の音は、新作の状態からどのように変化していくかを想像するのが非常に難しいです。
新作の楽器は、特有の若さ(生命力・肉付き)があり、経年によりこの若さが落ち着いてこない限りは本来の姿を判断出来ません。
以下の要素により音は変わっていきます。

  • 楽器の弾き込み
  • 材料の乾燥
  • 膠やセラックの硬化
  • 表面板のドーミングの変化

どのように変化するのかが分からない以上、「音の変化」の面では新作の楽器を購入するのはギャンブルです。
新作では驚くほど堅牢だった楽器でも、15年以上の使用で生命力が無くなってしまったものを見たことがあります。
材質の種類によっても、信じられないほど早く経年変化が進んだ楽器もありました。
「音の変化」においては状態が落ち着いた中古が有利と思います。

傷の有無


新作の楽器は傷がなく、中古の楽器には傷がある可能性があります。

傷に関しては各人の楽器の取扱い方次第になってしまいます。

綺麗な楽器にこだわりがあり、所有した後も綺麗な状態で使い続けられるなら、新作が良いでしょう。

私は演奏でギターを傷を付けることはないです。
スタンドやケースから取り出したり、持ち歩いたりした際にぶつけることは2~3年に1度位の頻度であります。
一番最近の事例ですと、高いところに置いていた本が落下して表面板に当たってしまいました。

割れの有無


新作の楽器に割れはなく、中古の楽器には割れがある可能性があります。
ただし、割れは傷ほど簡単な話ではありません。

海外の楽器は、管理を怠ると結構な割合で割れます。
普通に使っているだけで割れます。

木は、湿度の多い梅雨の時期に膨らみ、湿度の低い冬に縮みます。
楽器は複数の種類の材料を組み合わせて作っています。
材料により湿度による収縮率が違います。
硬くて変化の少ない材料に拘束されて、柔らかい表面板が割れることが多いです。
(壊れないことも大事ですが、楽器は音が良くてなんぼ)

新作の楽器を買い、管理の甘さにより自らギターを割ってお金をかけて直していたら、あまり新作のメリットはありません。
私は、自分の管理の甘さで楽器を割って直す位なら、最初は他人に持ってもらって割れを直してもらった方が良いと思っています。
(適正な修理が行われることも重要です)

一度割れてしまえば、割れの原因となっていた力は一旦解放されると思っています。
(連続して似た割れ方をすることは少ない)
割れに関する考え方は人それぞれです。

ネックの状態


楽器を使い続けるにおいて、ネックの状態は非常に重要です。
中古であれば、既にネックが動ききっているものを選べばリスクを避けることが出来ます。

新品は、ネックが今後どう動くか分かりません。
「きちんと管理していれば大丈夫です」と言いたいところですが、精巧に作られた200万円クラスの楽器でも嫌なネックの動き方をしているのを見たことがあります。

高温の環境(倉庫や車等)に置いておくとネックは反ります。
ネックの反りに関しては、日本人製作家のギターは大変信頼出来ると思います。

中古は状態を確認して買えば問題なし、新品は概ね問題なしだが個体差や環境によりネックが反る可能性有り、です。

消耗部品の状態

ナット・サドルの状態

新品のギターのナット・サドルは完成後の状態で出荷されるため、特に不具合はありません。
(海外のギターでは調整が必要なことが多いですが・・・)
ただし、音がビリつくことが無いように少し弦高が高めになっているかもしれません。
何年か立ち、ネックの状態や表面板のドーミングの変化が落ち着いたら、一度調整した方が良いでしょう。

中古のギターでは、巻き弦との摩擦によってナット・サドルが減っている可能性があります。
作り直すことになると、思わぬ出費です。
自分で判断出来ないのであれば、購入後に信頼できる製作家さんに見てもらうと良いでしょう。
(私は自分でナットを作るので、中古ギターのナット・サドルが問題になることを考えたことが無かったです)

糸巻きの状態


新品のギターでは、糸巻きの状態はほぼ完璧と思います。
(初期不良もまれにあるでしょうが)

中古のギターでは、不具合のある糸巻きが付いている可能性があります。
ギーギーと音がしたり、ギアの動きが飛んで細かい音程の調整が出来ない等です。
正しい音程に合わせられない場合は大問題です。

糸巻きはお金を払えば取替可能です。
(軸間の距離に注意しましょう。)
糸巻きの調子が悪いギターがあった場合は、糸巻きを変えてでも使いたいかどうかを考えてみましょう

フレットの状態

新品のギターでは、フレットの状態は全くすり減りなしです。

中古であれば、いくらかすり減っている可能性があります。
フレットを打ち替えるのは結構な費用がかかるので、その費用を払ってでも買うべきかどうかを考えて購入しましょう。

良い楽器は中々手放さない


基本的には楽器選びは中古が良いと思っています。
車やカメラやその他の家電程には、新品にメリットはありません。
(走行距離とかの概念が無いので)

ただし、忘れてはいけないのが良い楽器はファーストオーナーが中々手放さないということです。
ファーストオーナーでなくとも、本当に良い楽器は長く所有されるので、所有した人の数は減ります。

中古で出回っている楽器は、よくよく見てみると同じ個体がぐるぐる回っています。
「良いと思って購入したが、何かしらの欠点があり長くは持たなかった」というパターンが多いでしょう。
中古ギター市場を頻繁にチェックしていない人にとっては、「割安な中古」はむしろ罠になりかねません。

私のようにギター歴が長い人程、5年、10年のスパンで良い物件を待っています。
在庫事情を理解しているため、中古で失敗する可能性が低いです。
そういった人たちが「中古が良いよ!」というのは当たり前です。
記事の序盤に書いた「一般論としての中古の魅力」を知ってしまっているので、中々新品の良いギターを買うことが出来ません。

誰かに奪われる前に新品で確保する


試奏した楽器が心から素晴らしいと思えたら、新品で買う(ファーストオーナーになる)のは非常に良いことです。

個人的にトップクラスに好きな国内製作家さんがいます。
その方の楽器は、作られている本数に対して中古で販売されている本数がかなり少ないように思います。
本当に良い楽器は飽きずに弾けるので、中々手放さないようです。

話題になった高額な楽器でも、頻繁に中古で売られているものは「欠点があったのか」と思ってしまいます。

オーダーという手段も


下記の条件に当てはまるなら、製作家に楽器をオーダーするのもアリです。
オーダーは完成した楽器の出来が悪くても文句は言えません。
確固たる目的がある場合にオーダーしましょう。

  • ショートスケール等の特殊なスペックの楽器が欲しい
  • 特殊な材料の楽器が欲しい
  • 特殊なモデルの楽器が欲しい
  • そもそも新作が出回っていない製作家である

私は圧倒的に中古派ですが、長期的にオーダーのプランを練っています。

この記事が楽器選びの参考になれば幸いです。

最後までご覧いただき、誠に有難うございました。

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