ギターを演奏する際、「手が小さい」ことを気にする方は多いのではないでしょうか。
また、手が大きい人が楽々演奏しているのを見て羨ましく思うこともあるかもしれません。
この記事ではクラシックギターを弾く上での「手が大きい・小さい」に関するメリット・デメリットをまとめます。
手が小さいケース
左手について
1フレット毎に指を1本並べるのが大変(デメリット)
手が小さい場合に最も苦労するのが、基本のポジション(上画像)を取ることだと思います。
開くことより先に、1つずつ並べられることが重要です。
これが出来るようになると、左手を見なくてもフレットの位置が分かります。
女性や手が小さい方の場合、これが出来ていない例をよく見ます。
私も手はかなり小さいです。
ギターを弾き始めて3年位はこの基本のポジションを取る際に労力が必要だったと思います。
沢山練習時間が取れた大学生の頃で3年なので、全く不便さを感じなくなるまでには5年以上かかりそうです。
初期段階では、手を壊さない範囲で少々強引に開くしかないかもしれません。
基本のフォームを会得すると、「開いている・力で開けている」という感覚がほとんど無くなります。
この「始めは少し力で手を開く」→「全く頑張らずに手を開く」の移行も、演奏への態度が変わるので大変さがあります。
拡張が大変(デメリット)
手が小さい場合、指を開く拡張の運指が大変になります。
下記の画像は⑥弦3フレットのソと①弦7フレットのシを押さえた画像です。
ギターを弾き始めた頃は、この押さえも「しっかり開く」という感覚でした。
今は手を斜めに開いて置くだけになっています。
開くために力が入ってしまうと、ビブラートがかけにくくなります。
下記の画像の押さえも頻繁に登場します。
今度は小指と薬指を開くパターンです。
(小指が伸びてますが、写真撮影の難しさによるものです)
こちらに載せている2つのパターンが押さえられれば、一般的な曲で躓くことは無さそうです。
諦めも大事
A.バリオスの曲などでは、もっと難しい開きが出てきます。
「郷愁のショーロ」は弾けると思います。
「情熱のマズルカ」は弾けないので最初から諦めています。
努力でどうにかなるものとならないものがあります。
ピアノで言うところのラフマニノフのようなものです。
ピアノなら、ペダルを踏んで速いアルペジオをかければ良いのですが、ギターでは諦めた方が良い曲もあります。
AやBのコードで横に並べやすい(メリット)
上記の画像のように、狭い範囲に指を並べるのは手が小さい方が有利です。
右手について
1弦と6弦の距離が遠い(デメリット)
右手に関して、手が小さい場合に地味に問題になるのが「1弦と6弦が遠い」ことです。
薬指(a)を使いこなせれば、この問題は無くなります。
手が大きいケース
左手について
手が開く長さが大きい(メリット)
手が大きいほうが、手を開いた際の物理的な距離は大きくなります。
「開く」という意識・労力が少なくなるので、その点に関しては演奏に有利です。
狭い範囲に指をおさめにくい(デメリット)
手が大きい方は、狭い範囲に指をおさめにくくなります。
この理由で弦長が長い楽器を使っている方もいます。
簡単に弦を押さえられる?
手や身体が大きい方が、弦を簡単に押さえられるという意見があります。
A.セゴビアのビブラートを聴くと、それも納得してしまいます。
これに関して、手や身体の大きさの影響はあると思いますが、それ程大きな違いでは無いのではと思っています。
弦を押さえるのに必要な力(卵2個分)に対して、腕の重さや力は充分に大きいからです。
右手について
音が太くなる(メリット)
身体が大きい人や、太っている人の方が音が太いと良く語られています。
これも概ね事実で良いかと思います。
しかし、A.セゴビアを筆頭として「身体が大きくて音が良い」と思われている奏者はそもそも身体の使い方が上手いパターンが多い印象です。
身体が大きい人の音が太い理由
弦と指の接地面積が大きい
物理的に指と弦の接地面積が大きい場合、音は太くなります。
「そんなことで」と思うかもしれません。
しかし、この点だけは手の小さい人は絶対に獲得出来ません。
リリース速度がゆっくり
身体が大きい人の方が、弦をリリースする速度がゆっくりであるように思います。
(同じ音量で比較して)
身体が小さい人であってもリリース速度をゆっくりにするのは可能ですが、しっかり弾こうと振り切りがちかもしれません。
身体が大きい人の方が、小さい動きでも充分な力が出ると無意識に理解しているように思います。
腕の重みを使う
腕の重さで考えると、女性と大柄な男性では4倍以上重さが違うということもありえます。
弦をたわませるのに必要な力は、腕の重さに比べるとかなり少ないです。
そのため、小柄な人でも充分に重さを使って音を出すことが可能です。
しかし、腕自体に重さがある方がより少ないアクションで音を出すことが可能です。
この点に関しては大柄な方にアドバンテージがあります。
しかし、大柄な方でも腕の重さを使って演奏している人は少ない印象です。
格闘技をしている友人に話を聞いたところ、体格が小さい方が技術に優れていて強い傾向があるとのことでした。
もちろん、同じ技術レベルで比較すれば、体格が大きい方が良いのだと思います。
私も、現実のギターの世界で考えると「身体が大きい人が美音」と思ったことはあまりありません。
(ごく一部の達人のみ、当てはまります)
今回の記事は以上となります。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。