足台を使ってクラシックギターを構える際、ギターが滑って演奏に集中できないことがあります。
ギターが滑ると、右腕でボディを押さえなければなりません。右腕はギターの上に乗せるだけの状態が理想です。右腕でギターを押さえる意識があると、右手が力んでしまい柔らかく太い音を出すことができません。
ギターが滑ってしまう場合はギターと太ももの間に滑り止めを敷くことを推奨します。この記事では、ギター演奏での滑り止めの使用について、詳細に解説しています。
ちなみに私は、しばらく前に滑り止めを使うのをやめました。「ギターが滑る」は、フォームと身体感覚のチェックに使えるためです。
私はやめましたが、一般的には滑り止めを使うべきです。現代の日本のクラシックギター界では「プロも初心者も」ほとんどの人が滑り止めを使っています。
クラシックギターは「両足と胸」の3点で支える
クラシックギターは本来、「両足と胸」の3点で支えます。右手で押さえるのはあくまで補助です。
ギタリストの福田進一氏は、右手を使わずともギターが滑らないことを実演していました。(残念ながら画像が見つからず)
私の知り合いにも、右手なしでギターが滑らない人がいます。右手を使わずにギターを乗せられるのは身体の大きい人に多い印象です。
「両手と胸」だけではギターが滑る人は、右手の腕の重みを乗せてギターを止めます。右手はあくまで乗せるだけで、力を入れて楽器を押さえると力みの原因になります。私も右手なしではギターが滑りますし、両手と胸だけはギターが動く人の方が多いです。
右手を使わないギターの支持ができる人でも、滑ることが不安であれば滑り止めを使います。
海外よりも日本のギタリストの方が滑り止めの使用率が高いです。体格の差もあるかもしれません。
滑り止め、右足に置くか?左足に置くか?
滑り止めを使用する際、「右足と左足」のどちらに滑り止めを使うか、もしくは両方なのかという問題があります。これは結構もめる話題です。
私は滑り止めは右足に使います。
安定を重視するのであれば、両足に使っても全く問題ないです。両足に使っても、そこまでデメリットはありません。
左足に滑り止めを使う理由
左足に滑り止めを使う理由は「太ももとギターの接地面積が大きく安定するから」です。
「滑りたくない」を一番の目的とするなら、左足に使えば良いと思います。
右足に滑り止めを使う理由
右足に滑り止めを使う理由は「左足はちょっとギターが滑ってほしいときもある」からです。
私がサークルでギターを始めた頃、部室に古い「現代ギター」がありました。その中で「ジュリアン・ブリームはハイポジションを弾く際に左足を上げ、演奏性を向上させる」という説明がありました。つま先立ちに近い状態にして、ハイポジションを上に寄せるということです。
こういった弾き方をするなら、左足はむしろ滑ってもらわないと困ります。ここまでのことはしないにせよ、少し前かがみになってハイポジションを弾く際は左足でギターが滑った方が都合が良いです。
特殊な弾き方をしないにせよ、左足に滑り止めを使うと左足でギターが回ってしまうこともあります。(位置は滑らないが、左足の接点を軸に回る)
これらの理由で私は右足にしか滑り止めを使いません。
滑り止めを使うとギターの音が悪くなる?
滑り止めはPVC(ポリ塩化ビニル)が原材料です。ギターと接触すると音を吸収します。
私は滑り止めでそこまで音が悪くなるという印象はないです。あまり気にしなくて良いと思います。
高級ギターを試奏する際には背面と上を覆うカバーをギターに被せますが、そこまでギターを布で覆ってしまうとかなり音が悪くなります。
足台を使わないギター支持具は身体との接地面積が減るので音が良くなると言われることもありますが、楽器と一体化することでギター本体の重量が増え、音が変わります。
ギター支持具を使う変化に比べれば、滑り止めによる音への悪影響は小さいです。
私は滑り止めをやめました
私は、ギター演奏時に滑り止めを使うのをやめました。
もともとかなりギターが滑るタイプでしたし、滑り止めをやめてから本番の演奏でギターが滑ったこともあります。そのときは椅子の高さが普段より高かったことが原因でした。
ハードモードで遊びたい方は、私と一緒に滑り止めをやめましょう。
フォームや動きが正しければ、ギターは滑らない
演奏時に無理な動きやフォームになっていなければ、ギターは滑りません。
- 左手に過剰に力が入っている
- 演奏時のアクションが大きすぎる
- 姿勢が悪い(猫背、左手を覗きすぎ)
「ギターが滑る」ことを動きやフォームのチェックに使おうと思い、滑り止めを使うのをやめました。
ギターが滑る状況では、すでに右手・左手に力みが出て演奏に悪影響が出ています。僅かにギターが滑ったと気が付いた時点で修正すれば、いち早く演奏を修正できます。
「ギターをふつうに弾く」のはわりと難しい
私の場合、ギターが滑っていたのは「力み」と「猫背」が原因でした。この要素が顔を出すと、容赦なくギターは不安定になります。
力みなどの少しの要素でギターは滑るので、ふつうにギターを弾くのは案外難しいです。(元から姿勢が良く、自然に弾いている人にとってはなんともないのですが)
私は「悪いところは全部治してしまいたい」と思って滑り止めをやめましたが、ハードルは高いです。「困ったら滑り止めを使う」は正しいです。
プロ奏者も大多数が滑り止めを使っています。ステージ演奏やコンクールなどのどうしても失敗できない場面では滑り止めを使いましょう。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。