アルミ製のゴトーの糸巻き「510AM」について。

アントニオ・マリン用にゴトーの糸巻き「510AM」を購入致しました。
アルミ製の軽量なタイプです。
この糸巻きは所有するホセ・ヤコピにも同じものを取り付けています。

あくまで実験的な購入であり、相性が悪ければロジャースを買うつもりです。
(510AMは他のギターに転用出来るので、損はしないと思い購入してます)

アルミ製の糸巻き「510AM」に関する印象をまとめます。

この記事でわかること

必要十分な巻き心地


510AMは機能上全く不便を感じない巻き心地と反応を持っています。

巻き心地の良さだけで言えば、上位機種の510FA(桜井・河野ギターの上位機種に付いているタイプ)やKO-GAの方が良いです。

私はそこまでシビアに巻き心地を求めていないので、510AMの巻き心地で充分満足しています。

非常に軽い

510AMはプレートがアルミ製であるため、片側55.2gと非常に軽量です。
アルミは柔らかい金属ですが、組成を調整したハードアルミニウム(スーパージュラルミン)が採用されてます。
他のゴトーの糸巻きより20~24g軽くなっています。
(両側ならその2倍)

ブーシェやフレタ等のネック太めの楽器や現代の重量のある楽器を除けば、重量が軽くなることにはメリットがあると私は考えています。
楽器そのものや材料ごとの音色の個性が引き出されやすいです。

軽量という点においては、ロジャースでなくゴトーを選ぶことに意味があると思います。

510AMの重さ55.2gはカーボンのプレートを採用したKO-GAと同じ重さです。
巻き心地はKO-GAが上ですが、同じ重さであればわざわざデザインの悪いKO-GAを選ぶ理由は無いと思います。
(車のカスタムパーツのカーボンを思い浮かべます)
https://g-gotoh.com/product/kg01-ca/

高い

510AMは素の状態(オプション無し)で4万円位します。
他のゴトーの糸巻きに比べて高いです。
楽器店で510AMを付けたという会話をしたら、「あれは高くないですか?」と言われたことがあります。
業界でも「ゴトーの中でも高いもの」という認識があるのかもしれません。
私は下記サイトで購入しました。
*GOTOH Classic Guitar Peg* ゴトー クラシックギターペグ 510AM 受注オーダー

KO-GAは売れ行きが悪いのか、ネット上で3万円位に値下がりしているのを見かけます。

オプションの黒プラスチックペグで追加料金がある


私が購入したサイトでは、ペグを白から黒のプラスチックにすると3,700円の追加料金が発生します。

同じプラスチックで色を替えただけで、これだけ値上がりするのはちょっとしんどいです。
製造原価が変わるか、白プラスチックがレギュラー品の扱いなので、特注(手間賃)として値上がりするのだと思います。
オプション料金を設定しているのが販売店なのか、ゴトー側なのかは不明です。

ペグを黒プラスチックでオーダーする価格が、エボニーでオーダーするのと同じなので、私はいつもエボニーでオーダーしています。
プラスチックより黒檀の方が満足感があります。
(松、竹、梅のグレードで竹を売るパターンかもしれませんね)

無難なデザイン

510AMはデザインの面でも非常に無難です。
一部のゴトーの糸巻きのように違和感のある外見ではありません。

今回選んだ際も、ベストマッチとは言えませんが充分合うと思って選びました。

ゴトーへの要望

特殊モデルをカタログ落ちさせないで欲しい

「ブーシェモデル」や「アルカンヘルモデル」、「リラ」等のモデルもホームページのモデル一覧に記載して欲しいです。

(画像はオークションサイトより転載)

記載しない理由はよく分かりません。
他のモデルに比べて加工の手間が多くても価格をそれ程上げられないのであまり売りたくないのかもしれません。
他の糸巻きの模倣品をレギュラーモデルとして掲載したくないのかもしれません。

海外の高級糸巻きメーカーは伝統的なデザインに準拠したモデル(模倣)のラインナップが沢山あります。
カタログにオリジナルのデザインが多いのは、歴史や伝統への敬意が足りないように見えてしまいます。
ジャンルとして「クラシック」ギターに取り付けられるものなので、独自のデザインよりも伝統やルーツを感じさせるレプリカが増えて欲しいです。

プレーンなデザインが欲しい

ロジャースのようにプレーンなデザインのラインナップがあったら良いなと思っています。
以下、ロジャースのHPより引用

国内の糸巻きでハウザー(ライシェル)のようなプレーンデザインがあれば、かなり売れそうです。
(既存の510QCは両端のネジ穴周りの形状が良くないように思います)

ロジャースのプレーンのように無地で真四角なものがあったら良いですが、同じく四角い510AMがその立ち位置に該当するかもしれません。

ゴトーのアルミの糸巻きまとめ

軽量であることに非常に価値があると考えて、510AMを購入しました。
ゴトーは価格は安いですが、価値で考えると海外製の高級糸巻きに比べて割安とは言えないように思います。

ロジャースの彫刻は手彫りですし、ギアの噛み合わせの良さによる音色の変化の評判は非常に良いです。
ロジャースは白蝶貝、黒蝶貝のペグを選んでも価格が変わりません。
(元値に含んでいるだけですが)
ゴトーでは、白蝶貝は23,900円、黒蝶貝25,700円追加です。
ロジャースの公式サイトでの価格と、ゴトーの糸巻きに蝶貝を選んだ価格はイメージするよりも開きが無いです。

ゴトーは糸巻きとしての機能はかなり優れていると思います。
既存の伝統的な糸巻きを模倣してラインナップのデザインを修正することで世界的に売上が増えるのではないでしょうか。
(売れすぎると会社規模が大きくなって経営が大変なのかもしれません)
挑戦を批判したくはないのですが、市場に対して需要の無いデザインのKO-GAをリリースしたことを考えると、会社としての先行きが不安になります。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。

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