アルミ製のゴトーの糸巻き「510AM」について。

PR〈景品表示法に基づく表記〉

アントニオ・マリン用にゴトーの糸巻き「510AM」を購入致しました。
アルミ製の軽量なタイプです。
この糸巻きは所有するホセ・ヤコピにも同じものを取り付けています。

あくまで実験的な購入であり、相性が悪ければロジャースを買うつもりです。
(510AMは他のギターに転用出来るので、損はしないと思い購入してます)

アルミ製の糸巻き「510AM」に関する印象をまとめます。

この記事でわかること

必要十分な巻き心地・機能(訂正あり)


510AMは機能上全く不便を感じない巻き心地と反応を持っています。

巻き心地の良さだけで言えば、上位機種の510FA(桜井・河野ギターの上位機種に付いているタイプ)やKO-GAの方が良いです。

私はそこまでシビアに巻き心地を求めていないので、510AMの巻き心地で充分満足しています。

2023年5月追記:機能もあまり良くないかもしれない

ゴトーの糸巻きについて、長期使用した感想を追記します。

巻き心地は、はっきりとアレッシーやロジャースなどに比べると劣ります。
「ギアや軸のポジションがどこにあるか」で巻き上げる感覚が一定ではない印象です。
この指先の感触は誰が使っても分かるので、批判の対象になりやすいです。
私は機能が良ければライシェルのような重い糸巻きも好きなので、巻き心地を糸巻きを評価する要素として重要だと思っていません。

機能も、正直いまいちかもしれません。

けっこうな幅で糸巻きを回しても、音程が変化しない部分があると感じました。
「糸巻きのギアのどの部分を使っているかどうか」で不具合が起きるかどうかは変わりますので、当初は気が付きませんでした。
ナット側で弦が引っかかっている可能性もあるので、全てが糸巻きの責任とは言い切れません。

「ゴトーの糸巻きは機能・精度においては優れている」と言われており、私もこれをおおむね信じてきました。
悪い糸巻きではないのですが、ギタリスト・楽器店のマーケティングによるセールストークの要素も大きいと感じます。
「パナソニックが最高」のようなメイドインジャパン信仰もありそうです。
過去に習ったギタリストの先生もゴトーを褒めており、私も先生が言うことを素直に聞いていましたが、「費用対効果を考えると」というニュアンスが隠されていたかもしれません。

「ゴトーの糸巻きが特別に悪い」というわけではなくて、私はほとんどの糸巻きを「良くない・・・」と思いながら使っています。
オクターブ・5度・曲の中で目立つ3度がなるべく美しく響くように調弦するとなると、ほとんどの糸巻きは機能面でストレスを感じます。
(あまり細かくやっても演奏中に調弦がずれるので、意味はないのかもしれませんが)
チューナーでしか合わせない奏者であれば、あまり問題はないでしょう。
過去に使った糸巻きで言えば、音程調整の機能はライシェルが良かった(ロジャースよりも)と思います。

ゴトーも本気を出せば、完璧な糸巻きを作れるだろうと予想しています。
しかし、エレキ・アコースティックギターの糸巻きを作った方が収益性が高いので、クラシックギターの糸巻き部門にコストをかけてくれる可能性は低そうです。

私のようにゴトーの糸巻きに不満を持っている人はネット上に多い印象ですが、実際に「製品が改良されたら文句を言っていた人が糸巻きを買うのか」と問われると、買わない人の方が多いでしょう。
これはiPhone miniが販売終了になった話と似ています。
ネット上の声が多くとも、製品をよく考える人達は購買行動にも慎重です。勢いで買い物はしません。
その層に訴求しても大して商品は売れません。

糸巻きが購入されるのは、以下のタイミングです。

  • 新しいギターに取り付ける
  • 故障した糸巻きとの取替
  • 糸巻きのグレードアップ

グレードアップで糸巻きを購入するのはマニアの層だけで、全体に大しての数は少ないのではと推定しています。
新しいギターに取り付けする糸巻きを選ぶのは、オーダーでない限りは製作家です。
国内製作家に関しては、機能・見た目・値段のバランスで糸巻きを選ぶ印象です。
ギターが売れるために糸巻きの見た目は重要ですが、ギター本体の価格に跳ね返ってくることを考慮するとオーバースペックな機能は求められていません。

話が長くなりましたが、ゴトーの糸巻きに関して、見た目の改善はあっても、機能の改善が行われる可能性は低いと予想しています。
機能の改善を評価して購入の可否を決める割合が少ないからです。

非常に軽い

510AMはプレートがアルミ製であるため、片側55.2gと非常に軽量です。
アルミは柔らかい金属ですが、組成を調整したハードアルミニウム(スーパージュラルミン)が採用されてます。
他のゴトーの糸巻きより20~24g軽くなっています。
(両側ならその2倍)

ブーシェやフレタ等のネック太めの楽器や現代の重量のある楽器を除けば、重量が軽くなることにはメリットがあると私は考えています。
楽器そのものや材料ごとの音色の個性が引き出されやすいです。

軽量という点においては、ロジャースでなくゴトーを選ぶことに意味があると思います。
ロジャースの糸巻きは「良い音」になるのですが、私はそこまで好きな傾向ではないです。

510AMの重さ55.2gはカーボンのプレートを採用したKO-GAと同じ重さです。
巻き心地はKO-GAが上ですが、同じ重さであればわざわざデザインの悪いKO-GAを選ぶ理由は無いと思います。
(車のカスタムパーツのカーボンを思い浮かべます)
https://g-gotoh.com/product/kg01-ca/

高い

510AMは素の状態(オプション無し)で4万円位します。
他のゴトーの糸巻きに比べて高いです。
楽器店で510AMを付けたという会話をしたら、「あれは高くないですか?」と言われたことがあります。
業界でも「ゴトーの中でも高いもの」という認識があるのかもしれません。
私は下記サイトで購入しました。
*GOTOH Classic Guitar Peg* ゴトー クラシックギターペグ 510AM 受注オーダー

KO-GAは売れ行きが悪いのか、ネット上で3万円位に値下がりしているのを見かけます。

オプションの黒プラスチックペグで追加料金がある


私が購入したサイトでは、ペグを白から黒のプラスチックにすると3,700円の追加料金が発生します。

同じプラスチックで色を替えただけで、これだけ値上がりするのはちょっとしんどいです。
製造原価が変わるか、白プラスチックがレギュラー品の扱いなので、特注(手間賃)として値上がりするのだと思います。
オプション料金を設定しているのが販売店なのか、ゴトー側なのかは不明です。

ペグを黒プラスチックでオーダーする価格が、エボニーでオーダーするのと同じなので、私はいつもエボニーでオーダーしています。
プラスチックより黒檀の方が満足感があります。
(松、竹、梅のグレードで竹を売るパターンかもしれませんね)

無難なデザイン

510AMはデザインの面でも非常に無難です。
一部のゴトーの糸巻きのように違和感のある外見ではありません。

今回選んだ際も、ベストマッチとは言えませんが充分合うと思って選びました。

ゴトーへの要望

特殊モデルをカタログ落ちさせないで欲しい

「ブーシェモデル」や「アルカンヘルモデル」、「リラ」等のモデルもホームページのモデル一覧に記載して欲しいです。

(画像はオークションサイトより転載)

記載しない理由はよく分かりません。
他のモデルに比べて加工の手間が多くても価格をそれ程上げられないのであまり売りたくないのかもしれません。
他の糸巻きの模倣品をレギュラーモデルとして掲載したくないのかもしれません。

海外の高級糸巻きメーカーは伝統的なデザインに準拠したモデル(模倣)のラインナップが沢山あります。
カタログにオリジナルのデザインが多いのは、歴史や伝統への敬意が足りないように見えてしまいます。
ジャンルとして「クラシック」ギターに取り付けられるものなので、独自のデザインよりも伝統やルーツを感じさせるレプリカが増えて欲しいです。

プレーンなデザインが欲しい

ロジャースのようにプレーンなデザインのラインナップがあったら良いなと思っています。
以下、ロジャースのHPより引用

国内の糸巻きでハウザー(ライシェル)のようなプレーンデザインがあれば、かなり売れそうです。
(既存の510QCは両端のネジ穴周りの形状が良くないように思います)

ロジャースのプレーンのように無地で真四角なものがあったら良いですが、同じく四角い510AMがその立ち位置に該当するかもしれません。

ゴトーのアルミの糸巻きまとめ

軽量であることに非常に価値があると考えて、510AMを購入しました。
ゴトーは価格は安いですが、価値で考えると海外製の高級糸巻きに比べて割安とは言えないように思います。

ロジャースの彫刻は手彫りですし、ギアの噛み合わせの良さによる音色の変化の評判は非常に良いです。
ロジャースは白蝶貝、黒蝶貝のペグを選んでも価格が変わりません。
(元値に含んでいるだけですが)
ゴトーでは、白蝶貝は23,900円、黒蝶貝25,700円追加です。
ロジャースの公式サイトでの価格と、ゴトーの糸巻きに蝶貝を選んだ価格はイメージするよりも開きが無いです。(円安により、ロジャースは割高感があります)

ゴトーは糸巻きとしての機能はかなり優れていると思います。(追記:機能はあまり良くなかったです)
既存の伝統的な糸巻きを模倣してラインナップのデザインを修正することで世界的に売上が増えるのではないでしょうか。
挑戦を批判したくはないのですが、市場に対して需要の無いデザインのKO-GAをリリースしたことを考えると、会社としての先行きが不安になります。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。

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