上級者向けのギターの選び方をまとめる。

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ギター選びの際に、「音量」「バランス」」音色の良さ」「各音の分離」は誰でもチェックするかと思います。
初心者ではこういった項目を確認してギターを選べば、間違いありません。

しかし、上達すると、初心者の頃とはまた違った要素を楽器に求めるようになります。
「この要素」が無いと、高いレベルのパフォーマンスを目指す際に楽器が奏者の足を引っ張ってしまうことがあります。

ワンランク上の奏者を目指す方がチェックすべき楽器の要素を紹介します。

この記事でわかること

音色の変化の幅

初心者、中級者を脱して、曲に表情を付けられるレベルの奏者には「音色の変化の幅」が重要な項目になります。

曲の中で変化が付くと、聴き手は演奏に飽きません。
「次は何が来るのだろう」と期待させることが出来ます。

「音色の変化」は、「音量」や「音色そのもの」のよりも表現において雄弁で効果的に作用します。
「音色の変化」に優れた楽器は、単純な「硬い・柔らかい」を超えた音楽的な表情の幅を持っています。

音色の変化のある楽器、無い楽器

スペインのギターは、「音色そのもの」は素朴であっても「音色の幅」に優れます。
塗装が厚い楽器やイギリスの一部の楽器は音色の幅が狭いです。
音が伸び過ぎる楽器も音色の幅は狭くなる印象です。
「音色の良さ」と「表現の幅」どちらを優先するかは、奏者次第です。

最近弾いた楽器の印象では、矢木聡明氏の楽器が好みでした。
タッチに追従して思い通りに音色が変化します。

初心者の段階では、安定して音が出せる楽器の方が演奏が楽しいかもしれません。
初めは「タッチに鈍感で事故の起きにくい楽器」で良いですが、上達したら違う目線を持ちましょう。

ステージで使用した場合の反応

上級者は、ギターのステージでの使い勝手の良さをチェックしましょう。

これは店頭では分かりません。
スポットライトの下、広い会場で弾いてみて初めて分かる楽器の表情があります。
つまり、買って使ってみないと判断出来ないのです。

具体的には「会場の広さ」「演奏者の緊張」「温度・湿度」「ライトの熱(LEDが主流ですが)」が影響します。
これらの要素が関与したとき、自宅や楽器店で弾いたときと全く異なる楽器になることがあります。

最近、1963年製のマヌエル・ベラスケス(エル・クラシコ)というギターを主に弾いています。
この楽器は、自宅では真面目な音なのですが、ステージに上がると木質的な音で奏者を助けてくれます。
緊張して力んでも破綻しにくいので、タッチに対する懐の深さもあります。

ステージで弾いてお客さんにどう聴こえているかは、私はあまり気にしていません。
店頭で「通る音・伸びる音」を基準に楽器を選んでいれば、ステージで弾いても充分な力強さがあることがほとんどでした。

楽器のコシの強さ

楽器のコシの強さも重要な要素です。
打たれ強さ回復力が存在します。

ただし、奏者のタッチによっても重要度が変わります。

楽器全体を上手く鳴らせる方であれば、楽器の疲労が分散されます。
豊かに楽器が鳴るので倍音があり、楽器が潰れにくいイメージです。
私は一点突破型のタッチなので、楽器のどこかが局所疲労を起こすことがあります。
(感覚的な話です)

奏者とのタッチの相性や条件によっては、弦がヘタるのではなく楽器がヘタるのです。
楽器のコシが強ければ、そもそもへたりにくく、一晩から1日程で回復します。
完全回復するまでに、1週間以上休ませなければならない場合もありました。

開放的に鳴る楽器は、簡単に大きい音が出せます。
しかし、ある程度以上の強いタッチを使うと、それ以降は変化が感じ取れません。

長期スパンのコシの強さも大事

短期的なコシの強さの他に、5年、10年先にどのような変化をするかも重要です。
国内・国外の高名な製作家で、10年で音が大きく変わってしまったケースをいくつか知っています。
伝統的な工法で、良材を使って、堅牢な楽器を作っていても「音がゆるくなりすぎる」ケースがあるのです。

私個人の話になりますが、新しい楽器よりも古い楽器の方を好んで使うのは「コシの強さ」によるところが大きいです。
古い楽器は構造や音に不器用さ、泥臭さ、タフさがあり、今では考えられない材料が使われています。
鈍さとコシの強さのバランスが重要です。

上級者の楽器選び、まとめ

上級者がチェックスべきポイントは下記の3つです。

  • タッチに対する音色の変化の幅
  • ステージで使った際、どんな挙動を見せるのか
  • 楽器にコシがあるか(つぶれにくく、すぐに回復するか)

 

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