アコースティックギターとクラシックギターの違いをまとめる。

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この記事ではアコースティックギタークラシックギターの違いについて解説します。
記事を読むことで、2種類のギターに関する以下の内容が分かります。

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  • 2つのギターの外観や構造の違い
  • 音色の違い
  • どんなジャンルで使われる?
  • 2つのギターの弱点
  • どんな人におすすめ?[/st-mybox]

    筆者はこれまでクラシックギターを15年以上弾いてきました。
    長い間、飽きずに弾ける魅力のある楽器です。
    しかし、クラシックギターを知り尽くしたが故に分かっている弱点もあります。
    (愛着ある楽器だからといって贔屓はしません)

    また、長いギター歴の中で、アコースティックギターを借りて弾いたこともあります。
    正直なところ、現代においてメリットが多いのがアコースティックギターです。
    しかし、私はこの楽器を選びませんでした。

    筆者の長い音楽経験を踏まえて、2つのギターを語り尽くします。

    この記事でわかること

    アコースティックギター・クラシックギターの外観・構造

    アコースティックギターとクラシックギターの違いについて、外観・構造を解説します。

    アコースティックとクラシックの「弦の違い」

    アコースティックギターとクラシックギターの最大の違いは使用している弦です。

    ギターの弦
    ギターの弦

    アコースティックギタースチール弦を張ります。
    (ナイロン弦を使うこともあります)

    クラシックギターナイロン弦を使用します。
    低音側は金属製に見えますが、ナイロンの芯線の周りに金属を巻いています。

    ナイロン弦
    ナイロン弦

    弦に使用する素材が違うことで、テンション(張りの強さ)も変わってきます。
    スチール弦は約70kgナイロン弦は約40kgです。
    ちなみに、エレキギターのライトテンション弦も40kg程度です。

    ナイロン弦か、スチール弦かによって音は大きく変わります。
    また、ギターにかかるテンションの差により、ボディの構造や剛性も異なります。

    [st-mybox title=”余談「アコースティックの言葉の定義」” webicon=”st-svg-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]

    アコースティックギターという言葉は、本来は「生音で演奏するギター」の全てを指します。
    フォークギター、クラシックギター、フラメンコギター等がアコースティックギターの定義に含まれます。

    スチール弦を張るアコースティックギター元々フォークギターと呼ばれ、歌の伴奏に使われています。
    時代の流れにより、主要な音楽がフォークから多様なジャンルへと変化しました。
    スチール弦のアコースティックギターをフォークギターと呼ばなくなったのは、流行が過ぎた特定のカテゴリーの名称を楽器の名前として使いたくなかったのだろうと推測します。[/st-mybox]

    アコースティック・クラシックの「ヘッド・チューナー(ペグ)」

    ギターの頭(ヘッド)見てみましょう。
    音程を変えるためのギア付きのつまみが付いています。

    このチューニング(調弦)する機械のことを、
    アコースティックギターではペグ、
    クラシックギターではチューナーと呼んでいます。

    クラシックギターのヘッド
    クラシックギターのヘッド

    クラシックギターの場合、チューナーを取り付けするための溝が掘られています。
    これをスロッテッドヘッドと呼びます。(スロット=細長い穴・溝)

    クラシックギターの場合は、チューニングで操作するツマミが全て同じ向き(ヘッドに対して下)に付いています。
    そのため、演奏中に音がずれた場合であってもチューニングがしやすいです。

    アコースティックギターのヘッド
    アコースティックギターのヘッド

    アコースティックギターの場合は、ヘッドはくり抜かれていません。
    ヘッドに対して垂直に弦を巻く軸(シャフト)が立っています。
    こちらをソリッドヘッドと呼びます。

    アコースティックギターのペグにも、音の点でメリットがあります。
    ヘッド下の弦が乗っている白い部分(牛の骨が多い)をナットと呼びます。
    アコースティックギターは、ナットからペグの軸にかけての弦の曲がり角度が少ないです。
    この角度が緩いことで、感じられる弦の張りが弱くなり、伸びやかな音になります。
    (反対に角度がきついと、張りは出ますが鋭い音になります)

    ナットでの弦の角度の違い
    ナットでの弦の角度の違い(左の角度がきつい)

    アコースティック・クラシックの「ネック」

    左手で握るギターの竿(さお)の部分をネックと呼びます。

    ギターのネック
    ギターのネック

    2つのギターでは、ネックの太さが1cm近く異なります。
    アコースティックギターは42〜43mm、
    クラシックギターは51〜52mmが多いです。

    ネックの太さが違う理由は、音楽の内容の違いによるものです。

    アコースティックギターコード(和音)をメインに演奏します。
    決まった左手の形で弾くことが多く、ネックの太さが細くなっています。
    6弦を親指で触って、音をミュートする(消す)こともあります。

    クラシックギターは、1本のギターの上で、合唱や弦楽四重奏のようにソプラノ・アルト・テノール・バスを再現します。
    それぞれのパートが独立して動くため、複雑な動きが求められます。
    コード弾きでは、和音のうち1つの音が出ていなくても気づきにくいです。
    しかし、クラシックの楽曲において左手が弦に触れて音が消えてしまうと、メロディや響きの意味が変わってしまいます。
    そのため、ネックが太くなっています。

    弦楽四重奏
    弦楽四重奏

    ネックの太さについては慣れが重要であり、「太い=弾きにくい」ではありません。

    アコースティック・クラシックの「ブリッジ(弦を取り付ける部分)」

    ギターの表面板に接着している、弦を取り付ける部分をブリッジと呼びます。

    アコースティックギターのブリッジ
    アコースティックギターのブリッジ

    アコースティックギターは、ブリッジピンと呼ばれるピンで弦を止めます。
    アコースティックギターの礎であるC.F.マーチンは、1800年代のギター製作家ヨハン・ゲオルク・シュタウファーの工房に所属した人物でした。
    ブリッジピンは1800年代のシュタウファーの頃から採用されている歴史ある弦の固定方法です。

    クラシックギターのブリッジ

    クラシックギターは、ブリッジに弦を巻きつけることで弦を固定します。
    歴史上、構造が変わっていく際に、ブリッジピンを選ぶことも出来たはずです。
    よりニュアンスに富んだ柔らかい音を求めて弦を巻きつける方式になったのでしょう。

    ボディ(ギター本体)

    ギター本体であるボディの部分を見てみましょう。

    アコースティックギターのボディ
    アコースティックギターのボディ

    アコースティックギターのボディは、ドレッドノートや000シェイプといった種類があります。
    クラシックギターと比べて大きいものが多いです。
    歴史の中で、音量を求めて大型化していきました。
    スチール弦の強いテンションに耐えるため、堅牢な構造となっています。
    塗装もクラシックギターに比べるとしっかりしています。
    ピックがボディに当たる傷を防ぐため、ピックガードが付いているものもあります。

    Gerhard J Oldige
    クラシックギターのボディ

    クラシックギターのボディも両手の指に収まらない数のモデルがあります。
    優れた音と認められた過去の楽器を模範として新しい楽器が作られます。
    バイオリンの世界での、ストラディバリウスやガルネリウスをコピーした作品を作るのと同じです。
    振動して音を出す表面板は、弦の振動や音色の変化を確保するため、より柔軟さを持った作りとなっています。
    塗装も極めて薄いものが選ばれます。

    アコースティックギターは、ハイポジションを弾くためのカッタウェイ、ピックガード、塗装の色などで楽器ごとの違いが分かりやすいです。
    見た目での楽器選びの楽しさや所有する満足感があるでしょう。
    クラシックギターは、見慣れない方にとってはどれも同じ楽器に見えてしまうのではないでしょうか。
    振動の邪魔になる要素をなるべく無くすようになっているため、ヘッドの形とサウンドホールの周りの模様で判別することが多いです。

    Hugo Cuvilliez
    サウンドホールの模様

    音色の違い

    アコースティックギタークラシックギターの音色の違いは、弦の種類によるところが大きいです。
    スチール弦ナイロン弦の性質とテンションの違いによって音色が異なります。

    アコースティックギターの音色

    アコースティックギターの音色は、スチール弦(金属)によるきらびやか・華やかさが特徴です。
    明るく芯のある音がするため、周囲が多少うるさくても埋もれることなく音が抜けます。
    弱く弾いても音色の粒立ちが良いことから、弾き語りの場面においても一定の存在感を保ってくれます。
    ピック・指弾きのどちらにおいてもアコースティックギターは使われます。

    クラシックギターの音色

    クラシックギターの音色は、ナイロン弦による柔らかさ・温もりが特徴です。

    張りが弱めであるため、指・爪による細かいタッチに繊細に反応します。
    太い弦でビブラートをかけると音が良く歌います。
    和音も出せるので、チェロとピアノの中間の使い方が可能です。
    しかし、音色の成分は暗い・柔らかいので、周囲の音に埋もれやすいです。

    どんなジャンルに向いている?

    ギターは、ピアノと並んで最も身近に普及した楽器です。
    アコースティックギターもクラシックギターも、概ねどんなジャンルであっても弾けてしまいます。

    ギターが手元にあるので、「なんでもギターで弾いてみよう」と思う人が多かったということです。
    この良い意味でのジャンルに対する節操の無さがギターそのものの魅力と思います。

    選り好みせずに何でも弾いてしまうギターですが、強いて両者の被らないジャンルは以下の通りです。
    アコースティックギターでは、ブルースやソウル、ロックのテイストの表現(ピック弾き)に向いています。
    クラシックギターでは、ボサノバやタンゴにて使用されます。

    2つのギターの弱点

    2つのギターは、両者の長所を別の面から見ると弱点となります。
    あえてマイナス面に注目して、2つのギターの弱点について語ります。
    (筆者の意見で一般論ではありませんので、ご勘弁を。)

    クラシックギターの弱点

    大編成(オケ・バンド)には合わない

    クラシックギターは、編成の大きいバンドやオーケストラには合わないと感じます。
    歴史の中でギターとオーケストラで編成された楽曲もありますが、ギターファンであっても手放しに褒めることはできません。

    音色が暗く、抜けが悪いため、音が埋もれてしまいます。
    音色も変化・ニュアンスに富んでおり、大編成の中にいてもギター一人で音楽が完結しているように聴こえます。
    人間に例えると「声が小さいのに、意味ありげなことを一人で呟いている」ような印象です。

    また、楽曲に合うよう楽器選びをする際に、編成にクラシックギターの音色を求められることも少ないです。
    美しく広がりがある音であれば、より音量と伸びのあるハープが採用されるでしょう。
    スペイン的な描写においても、音色のアタック感が強いフラメンコギターが選ばれます。

    音色の変化が付きすぎる

    クラシックギターの魅力は、右手のタッチの変化に繊細に反応するところです。
    これは裏を返すとデメリットになります。

    弾き語りに使う場合、ギターの音は歌声に対しての脇役・引き立て役でなければいけません。
    緊張した場面において右手がこわばってしまうと、クラシックギターの場合は明確に音が硬くなります。
    些細なミスタッチも分かりやすいです。
    そのため、音を出す際は音色・音量をコントロールする意識を常に持ち続けなければなりません。
    歌を支えるはずの伴奏にマイナスのニュアンスが出てしまう可能性があるため、反応の良さ・繊細さはデメリットにもなります。

    下記にクラシックギター(ナイロン弦)での弾き語りの例を張ります。
    このように、ギターの音色・音量をコントロールし、複数の声部(パートの異なる旋律)を演奏した場合、クラシックギターは強力な武器になります。
    (とても難しい)

    Dr.キャピタル氏のギターはコルドバというメーカーのものです。
    マイクが内蔵されており、ライブ会場でも音の増幅が可能です。

    アコースティックギターの弱点

    音色・ニュアンスの変化に欠ける

    アコースティックギターは、クラシックギターに比べると音色・ニュアンスの変化に欠けます。

    歌の伴奏に特化して進化したアコースティックギターは、タッチへの鋭敏さと引き換えに安定した輝かしい音色を獲得しています。
    ギターにかかるテンションが倍近く違う(40kgと70kg)のも、変化が付きにくい理由の1つです。
    良くも悪くも、安定した輝かしい音色が出てしまうのがアコースティックギターの弱点だと考えています。

    この音色によって、バンドなどの編成においてもアコースティックギターは重要なポジションを持っています。
    もちろん弾き語りに使用するには最高です。
    現代の音楽シーンを踏まえ、人前で演奏する機会が多い方にはベストな楽器でしょう。

    音色が安定していることによって、ソロギターの際の音色の幅はクラシックギターに劣ります。
    しかし、スチール弦の音色の良さを活かした演奏は非常に魅力的です。

    アコースティックギターでソロギターをメインとする場合は、ピックガードのないソロ演奏を想定したギターをおすすめします。
    上の動画にて、作曲・編曲・演奏家の南澤大介氏はモーリスのギターを使用しています。

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    また、マイケル・ヘッジス氏や押尾コータロー氏は、ストロークやタッピング、パーカッション奏法などをふんだんに取り入れることで音楽の幅を広げています。
    音色の幅は広くないアコースティックギターですが、表現力は非常に高いです。
    このような奏法は、個人的に以下のポイントが気になっています。

    • 同じ奏法が連続することで、曲の表情に欠ける・飽きる
    • ギターが作られた際の想定と異なる弾き方があり、習得が難しい
      (曲の表現に使えるレベルで弾ける人は珍しい)
    • タッピングとストロークの音量差があり、マイクの使用が前提となる

    どんな人に向いている?

    これまでの説明を踏まえ、どんな人にアコースティックギター・クラシックギターが向いているかをまとめます。

    使用用途で考える

    歌の伴奏に使うのであれば、アコースティックギターの方がおすすめです。
    ピック弾きやストロークがメインであれば、音が華やかで安定しているため有利です。
    ナイロン弦の音色が好きであればクラシックギターも良いでしょう。
    伴奏を工夫して、ギターの音に役割を持たせる使い方がGOODです。

    バンドなどの編成で使う場合も、アコースティックギターの方がおすすめです。
    音の抜けが良く、響きを加えてくれます。
    クラシックギターでは、音が埋もれて聴こえない可能性があります。

    ソロギターで使うのであれば、クラシックギターをおすすめします。
    指先の動きに対しての楽器の反応が良く、簡単な曲を弾いていても楽器と通じている感覚が楽しいです。
    ギターとしては1800年頃からの歴史があり、技術が成熟しています。
    スチール弦の音色が好きであれば、アコースティックギターも良いでしょう。
    多様な奏法が研究・開発されています。

    最後にまとめ

    まとめとして、2つのギターがどんな人におすすめかをまとめます。
    著者としては、どちらのギターでも良いので音楽を楽しむ仲間が増えれば良いと思いこの記事を書きました。

    アコースティックギター、こんな方におすすめ

    • スチール弦の華やかな明るい音色が好きな人
    • バンドや弾き語りの用途でギターを弾く人
    • 外に持ち出してギターを弾く人
    • ストロークが好きな人

    クラシックギター、こんな方におすすめ

    • ナイロン弦の太く暖かい音色が好きな人
    • ソロギターがメインの人
    • 弾いている指先の感覚の気持ちよさを求める人(家だけでしか弾かない人も)
    • 複雑な音の動きを表現したい

    今回の記事は以上となります。
    著者がアコースティックギターを弾いていないのは、自宅で歌うことやストローク奏法がメインの練習を続けられなかったからです。
    また、クラシックギターの指先の感覚と音のリンクが楽しく、そちらばかり弾いていました。

    皆様の良いギターライフを祈っております。
    最後までご覧いただき、誠に有難うございました。

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