フローリアン・デヴィット・ブレヒンガーを弾きました。

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メディア・カーム様にて、「フローリアン・デヴィット・ブレヒンガー」を弾かせて頂きました。


フローリアン・デヴィット・ブレヒンガーは、ギター製作家のみならず演奏家としても活躍しております。
こちらから、彼のホームページへ飛ぶことができます。
こんなに弾ける製作家は中々いないのではないかと思います。

私は、彼の父親の「エドムンド・ブレヒンガー」製作のギターを以前使っていたことがあり、大変素晴らしい作品でした。

guitar salon international より引用

父親は「フリッツ・オベール」と同様の工房で製作をしていた時期もあります。

「エドムンド・ブレヒンガー」に対して、ペペ・ロメロは「世界で最も素晴らしい製作家の一人で、大きなホールの最後列でも音が届く」とコメントしています。
ハウザー・トーレススタイルの楽器を作っており、現代の製作家の中で一番ハウザーに近い音が出る楽器ではないかと思います。
とある別の楽器店にてハウザー1世と弾き比べたことがあるのですが、楽器自体の音の若さ、枯れ方による違いがあるにせよ、とても似ていました。
楽器店の店主も、「ラベルを張り替えたら分からない(人もいる)かも」と言っておりました。

フローリアン・デビット・ブレヒンガーの父親の楽器をよく知っていたこともあり、真っ先にお店に行き、楽器を試奏させてもらいました。

この記事でわかること

外観について

ヘッド

伝統的なトーレス・ハウザースタイルのヘッドです。
突板にはハカランダが貼られております。
糸巻きはドイツ製のシェラーが使用されており、ライシェル等の糸巻きのアクションをイメージしていたら、とても軽く回ることに驚きました。
どこを取ってもシンプルで美しいです。

ネックを後ろから見ると、ハウザーコピーに多いVジョイントは採用されていないように見えました。

フローリアン・デヴィット・ブレヒンガー (6)

ボディ、表面板

ボディシェイプはエドムンド・ブレヒンガーとほとんど同様と感じました。
いかり肩からして、ハウザーモデルと言って差し支えないと思います。
表面板は海外サイトにあるとおり、アルパインスプルース、若しくはジャーマンスプルースであり、父親から良材を分けてもらっているのではと推測されます。
ブリッジの牛骨は装飾が無く、ダブルホールになっていました。
個人的にこの無骨さが好みです。
ロゼッタは、父親が色のないヘリンボーンだったのに対し、中心部に落ち着いた黄色があしらわれています。
後述しますが、この差し色は音色においても同様の印象を感じました。

フローリアン・デヴィット・ブレヒンガー (1)

裏板

一見するとローズウッドに見えるような柾目のハカランダが使用されています。
良材を持っている証拠と思いますし、私のこれまでの経験においても如何にも良い音がしそうな材です。

横板にも同様の木目の材が使われています。

ネック、ヒール周り

ネックは薄すぎず厚すぎず、とても弾きやすい形状でした。
最近のギターであれば、弾きにくいものの方が珍しいかもしれません。
木工品としての美しさをヒールに感じます。

音について

下記のフローリアン・デヴィット・ブレヒンガー本人の自身の楽器による演奏を聴きながら読んでいただければ、より一層伝わるかと思います。

基本的な骨格は、父親のエドムンド・ブレヒンガーととても良くにていました。
つまり、ハウザー1世とも似ているところがあります。
高音は、肉感はさほどありませんが、やや細めでしなやかなどこまでも通る音です。
また、低音はハウザーモデルからしか出ない鐘のような音を持っています。
この低音は全く拡散せず音が飛ぶので、広いステージでは大きな武器になります。
楽器を弾くまでは、この2つのどちらかが無くなってしまっているのではと心配していたので、両方を兼ね備えていることに安心しました。
勿論、音の分離も最上で、ポリフォニーの表現においても最高の楽器と思います。

父親の楽器と異なる点としては、より現代的な音になっていると感じました。
具体的には以下の通りです。

  1. エドムンド・ブレヒンガーよりはやや明るい音
  2. 明るい分、通常のドイツ系の楽器よりはわずかに広がりを感じる
  3. よりしなやかな楽器になっている

誤解の無いように説明させて頂きたいのですが、フローリアン・デヴィット・ブレヒンガーはお店に届いた際は1~3弦にカーボン弦が貼られていたとのことでした。
上記の動画では、かなり現代的な明るい音がします。
この動画においてもカーボン弦が貼られていると思いますが、通常のナイロン弦ではここまでの明るさは感じません。
私が弾いた際は3弦のみカーボン弦でしたが、明るさの要素は楽器全体に対して1割程度に思いました。
通常のナイロン弦を張れば、完全に伝統的なハウザーモデルとしての音がすると思います。
ですが、製作家が明るい音をイメージして作っておりますので、ナイロン弦であっても明るさは残ると思いました。
ロゼッタのデザインに黄色が加えられたように、音色にも明るさという要素がプラスされています。

これまでのドイツ系の楽器は、筋ばったところがあり、楽器の鳴り方の癖や一種のバランスの悪さを感じましたが、より現代的な音を目指すことによってこれを解消しているように思えます。
また、遠達性のある直進的な音のイメージが強い完全なハウザーコピーですが、明るさを加えることにより広がりを感じ取ることが出来ました。

伝統的な音を維持したまま、現代的な良さを加えた楽器、それがフローリアン・デヴィット・ブレヒンガーかと思います。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。

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