記事のサムネは、2013年頃の自分の演奏中のフォームです。
赤い矢印で示すように、ギターのネックが身体に近づいてしまっています。
別の言い方をすると、ネックを時計の針としたら、上から見て反時計回りに動いています。
このフォームの崩れについては、いくつか原因があり、演奏に影響を及ぼすネガティブな問題を引き起こします。
私個人の話ですが、2018年の自分の演奏中の写真を見るとまだ僅かに「ネックを引き寄せる」傾向があるのですが、2019年に撮ってもらった写真からはその様子は感じません。
本記事では「ネックを身体に引き寄せてしまうこと」を分析します。
同じ症状をお持ちの方もいると思いますし、私ももう過去のフォームに戻りたくありません。
原因
「ネックを身体に引き寄せること」の原因は以下の3つです。
①左手を見てしまうから
左手で弦を押さえるために「指板を見てしまうから」というのが理由の1つです。
ただ、これは根本的な原因ではないと考えています。
後に述べる根本的な原因の1つである、猫背の要因であるとは思います。
当然ながら、物理的には左側を見ただけではギターは回転しません。
ネックを左側に回転させるモーメントがあるので、今回のフォームの崩れが起きています。
②左手の基本が出来ていないから
一番の原因はここにあると思います。
ネックを引き寄せてしまうのは、左手の重みで弦を押さえるべきところを、左手でネックを引っ張ってしまっているからです。
以下の状態になっている可能性があります。
- 左肘の位置が 高い or 身体より後ろにある
- 左肩が上がっている
- 左手に力みを感じる
③猫背になっているから
私の場合ですが、これもネックを引き寄せる大きな原因だと思います。
背筋が伸びた状態(無理に伸ばすわけでなく)では、適切な方向でネックにかかる力があるとすれば、
猫背になっていく(おじぎする)と、その力は下向きから自分の後ろに向いていきます。
①で述べたように、左手を見るために顔を前に出すのも、私の猫背の原因でした。
背筋を伸ばしているつもりでも、顔を前に出すと肩甲骨が下を向きます。
顔を前に出すというのは、結局は首に力が入っているのを放置しているのだと思います。
個人的に、完全に克服出来ていない課題の1つです。
問題
「ネックを身体に引き寄せること」で、以下の問題が起きます。
右腕でギターを押さえてしまう
ネックを引き寄せることで、ギター本体が回転しようとするため、それを右腕で押さえがちです。
音を出すエネルギーに変わるはずの右腕の重みが、ギターを押さえることに使われてしまいます。
右手が力んでしまうと、音は伸びやかさを失い硬くなります。
また、アルペジオやスケールで細かく弦上の右手の位置を調整する動きもしにくくなります。
左手を正しく使いにくくなる
ネックが身体に近付くことで、更に左手を正しく使いにくくなります。
具体的には、左肘の位置が身体の前でなく横や後ろ方向になりやすいです。
力が入る→ネックの位置が身体に近付く→力が入る→…のループに陥ってしまいます。
各ポジションの身体との位置関係が変わる
演奏中にネックが身体に近づいたとしたら、各ポジションに対する感覚が普段の状態から変わってしまいます。
ハイポジションの位置はあまり変わりませんが、ローポジションが身体に近付きます。
普段の練習から意識して構えることで、ネックと身体の位置を適切に保ちましょう。
ハイポジションとローポジションの感覚的な距離がそれほど変わらないネックの位置がおすすめです。
対策
左手のフォームや動きを点検する
「ネックを身体に引き寄せる」ことに対して、これが一番の対策だと思います。
以下の練習をしましょう。
- テンポを落として弾く
- 音が出るぎりぎりまで脱力してみる
- 無駄な動きが無いか確認する
- 力みを繊細に感じる(左手を硬くしない)
- 力みを感じたときの左肘の位置をチェックする
私の場合、ネックを引き寄せる症状が酷かった時期は、左手の動作の点検や速度を落とす練習をほとんど出来ていなかったと思います。
通常のテンポで弾いて、手の形が崩れていなければそれでOKとしていました。
鏡を見て練習する
猫背対策として、鏡を見て練習するのも非常に有効です。
私も5年位はこの練習を続けていました。
左手の押さえを確認するときも、鏡に写った左手を見て弾くことで身体が左を向くのを防止出来ます。
ただ、この練習は根本的な原因を解決していないので、左手の問題を直さなければ鏡が無くなった状況では元に戻ってしまうでしょう。
(本当に苦労しました)
左を向かない練習
鏡を見て弾く練習の他、以下の2つを行うことで身体が左を向くことを防げます。
この2つは本番でも使える方法なので、演奏中に左を向いていると気がついたらやってみるのも良いでしょう。
- 右手を見る
- 譜面台を右に置く
今回の記事は以上となります。
上達するには、何らかのフィードバックを活かすことが重要です。
今回は「ネックを身体に引き寄せる」という症状でした。
自分で気がついている問題点を放置して人前での演奏するというのは、音楽に真剣に向き合ったと呼べるのでしょうか。
(と、自分に言い聞かせています)
目に見える問題や自覚症状がある場合は、改善点にフォーカスした練習をして効率的に上達しましょう。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。