ここ数年の間に、ヤフオクで「アグアド」や「アルカンヘル」の明らかな偽物を見かける機会がありました。


「クラシックギターの偽物」について、私の推測・妄想で以下の事項について語ってみます。
- 誰が作ったか
- 誰が悪い?(製作家、販売店、楽器を売りに出した人)
- 偽物は作れる?
- 返品対応は可能?
あくまで「個人的な妄想」の話であって、事実でないことに注意してください。
推定に推定を重ねただけの記事です。
クラシックギターの偽物・贋作は作れるのか?
まず最初に、「偽物・贋作のクラシックギターを作ることが可能なのか」について考えてみます。
私の見解では、「作りやすい銘柄(製作家)のギターなら、ある程度似せることは可能」と思っています。
デザインや特徴に関しては、主に2000年以前に日本の製作家によって作られたギター群を見渡すと、かなりの細部までコピーが可能と言えます。
過去に作られたハウザーやアグアドなどのレプリカは、ラベルを張り替えれば知識がない人を騙せるのではないでしょうか。
質の高いコピーを作るには、ギター製作の高い能力が求められます。
(日本の製作家も素晴らしい腕前です)
作りは似せられるとして、「材料はどうか」という話に移ります。
私の見解では、「材料も見た目だけ似せることは可能」なのではないかと考えています。
ギターに使われる木材の質は、昔の方が良かったはずです。
良い材料は減ってきています。
しかし、現在ストックされている材料でも、「音が悪くても、見た目だけ良く見える材を使って素人を騙すことは可能」というのが私の意見です。
(ただ黒いだけのローズウッドや、単にベアクローが入っただけのスプルースなど)
塗装もアグアドやアルカンヘルのようなオレンジ・イエロー系なら模倣しやすい気がします。
私はギター製作に詳しい訳ではないので、多分に想像が入っています。
出回っていた偽物のギターは、完全なコピーではなかった
ここでヤフオクに偽物として出品されていたギターを振り返ってみます。
これらのギターには明らかに本物のアルカンヘルやアグアドとは違う特徴がありました。
よって、「最初から偽物を生み出す意図で作られた訳ではない」と考えられます。
偽物として作られたなら、分かりやすい間違い探しのような特徴は持たせないはずです。
「特徴のコピーができないような、レベルの低い職人に偽物を作らせた」という可能性もあります。
しかし、アルカンヘルのネックの裏に黒檀が通っていた例を考えると、偽物を作ったにも関わらず、むしろ作業の工数が増えてしまっています。
ヤフオクに出品されていたギターに関して、楽器を作った製作家本人は「自分のギターが偽物とみなされる」とは思っていなかったのではないでしょうか。
本気のコピーはコストが回収できないはず
先ほど、「過去の日本人のコピーモデルは本物とよく似ていた」と書きました。
これらのコピーモデルは、製作家達が人生をかけて作り上げた楽器です。
「本物と似ている」と言われる程のコピーは中途半端な努力では作ることができません。
本物へのリスペクトが必要です。
こういった熱意がある製作家であれば、お金に困って偽物を売るぐらいなら、「自分の最上位機種を作って、少し割高で売る」ような気がします。
「立派に成長した製作家が、生活に困ってダークサイドに落ちた」結果として、「贋作を作るようになった」というのも考えにくいです。
(お金儲けだけしたいなら、楽器製作家を選ばない)
もし、偽物を作るレベルの高い製作家がいたとしても、1本や2本売っただけでは間違いなく採算が合わないでしょう。
人を育てるのにも時間とお金がかかりますし、才能も必要です。
これらを踏まえて、私の予測では「偽物とされるギターを作った製作家に非はない」です。
「中古販売店」と「売りに出した人」 どっちが悪い?
ここまでの予測で「偽物のギター」は、最初から「偽物・贋作」だった訳ではない、となりました。
外見が似ているギターのラベルが張り替えられて、「後から偽物になってしまった」わけです。
(という予想)
「ラベルを張り替えて偽物を生み出した人」に関して、2つの仮説が生まれます。
- 前の所有者がラベルを張り替えて、知識のない中古買取店に売った
- 中古買取販売店が闇の組織で、安い楽器を高額な名器として販売した
この2つの仮説に関しては、真相は全く不明です。
「クラシックギターにあまり詳しくない中古買取ショップが偽物を押し付けられてしまった」のだとしたら、それは店側が可哀想です。
ただ、私は「店側が偽物を押し付けられた」という可能性は低いと想定しています。
オークションの性質上、店側は「売れれば金額がいくらでも良かった」と思っています。
そう考えると、ラベルがいつ貼り替えられたかは別として、「前の所有者からは安値で引き取った」のではないでしょうか。
中古買取販売店が他に出品していた商品を見ますと、オーディオ機器などもありました。
ギターに関しても、「誰かの遺品を回収した」等の理由で安く店が買い取ったのでしょう。
(という妄想ですよ)
中古買取販売店側の対応は「不誠実」に感じる
「中古買取販売が、定期的に偽物を出品する裏社会の集団だった」のかどうかは、全く分かりません。
「店がギターのラベルを貼り替えた」とする証拠はゼロです。
「店が偽物販売の犯人」とは言えませんが、中古買取販売店側の対応は私には不誠実・怪しく見えました。
以下にオークションで実際にあった質問のやり取りを記載します。
質問者
「こういった特徴のアルカンヘルは見たことがないのだが、真贋鑑定は大丈夫か」
出品者
「おっしゃるとおり、非常にレアな商品となっています。
当店にて分かる範囲で確認し真作かと思われますが万が一贋作であれば返品返金させていただきます。」
このやり取り、どう思われますでしょうか。
贋作なら、返金に対応してくれるようです。
クラシックギターの知識がない中古買取販売店なのだとしたら、一見まともな回答に見えます。
ただ、私は「この回答は信用できない」と思っています。
もし「店側が悪くない」と仮定したとして、こういう回答しかできないのも理解できます。
ただ、「誰が見ても分かる本物と違う特徴がある」のに「当店にて分かる範囲で確認し真作と思われます」と書くのは問題があると思っています。
はたして中古買取販売店は、本当に返金に応じてくれるのでしょうか。
メルカリの偽物のロレックスの販売ページで、全く同じ説明を見た
話は、ギターから時計の話へ移ります。
私はメルカリのロレックスの中古販売で「正規店で買った本物です、もし偽物だったら返品対応します」という文章を見たことがあります。
そのロレックスは相場の半額ぐらいの値で売られていました。
「金持ちがショップに持っていくのが面倒で、メルカリで売ったのかな?」とギリギリ思えるものでした。
こういった相場よりかなり安いロレックスの時計が、メルカリで複数出品されていました。
かつての激安な偽物と違い、本物の可能性がありそうな価格です。
出品者のメルカリの取引履歴も、20件ほどあります。
(ダミーかも)
おそらくこのロレックスは偽物だったと思います。
中古買取販売店が、返品を拒否する可能性が高い
話をギターに戻します。
中古買取販売店が悪意がある存在だった場合、返品を拒否する可能性が高いです。
これは大いにありうるパターンだと思っています。
「偽物を売る人がどんな手段で返品を拒否するか」考えてみました。
正直、時計もギターも似たようなパターンだと思ってます。
本物と偽物がすり替えられたと主張する
売った側が「配送した時点では本物で、返品の際に偽物とすり替えられた」と主張する可能性があります。
時計の場合は特にやりやすいのですが、ギターの場合はすり替えを主張するのは難しいかもしれません。
時計は製品がどれも同じで区別が付きませんが、ギターは写真で同一の個体であると分かるからです。
購入者が行った「ギターの鑑定」が不当だと主張する
時計の場合であれば、質屋や正規店などに鑑定士がいます。
そのため、真贋鑑定をしてもらうことは可能です。
ただ、鑑定書を出してもらう等、そういった対応までしてくれるかは怪しいです。
クラシックギターにおいて、「ギターの鑑定士」はいるのでしょうか?
少なくとも私は存在を知りません。
エレキギターなら、鑑定士はいると思っています。
私の何名かの友人たちは、日本でトップクラスにギターに詳しいと思います。
しかし、当然ながら鑑定士ではありません。
偽物騒動に対しても、「ほぼ偽物だろうが、リスクのあることは言えない」というスタンスです。
クラシックギター専門店の店主・店員を考えても、彼らは「鑑定士」ではないと思います。
クラシックギターは「音は絶対に模倣できない」ので、弾いて偽物だと分かれば買い取り拒否するだけです。
他ジャンルの鑑定士のように、見た目の特徴だけで真贋判定しているわけではありません。
(これもあくまで予想です)
購入者が「クラシックギター専門店に持っていったら、偽物だと言われた」と主張したとしても、「鑑定士に聞いたわけじゃないですよね?」と言われておしまいなのではないでしょうか。
ヤフオク・メルカリの側が対応してくれない
上記のような「鑑定士ではない専門店の判断」に対して、ヤフオクやメルカリの運営が対応してくれるかは分かりません。
質問欄で「偽物なら返品する」というやり取りが残っているとしても、これを証拠とするのは難しいのではないでしょうか。
「写真で本物と違うという特徴があるのに、それを分かって買ったんだろう?」と運営側から言われてしまえば、泣き寝入りになりそうです。
(予想ですよ)
相手が「偽物を販売するプロ」である可能性がある
ここまで、「ギターが偽物だったとしても返品に対応してくれない可能性」を考えました。
この他にもいくつか「販売店が返品を拒否する理由」を思いついた人もいるかもしれません。
しかし、もし販売店が悪徳業者だったとしたら、彼らは「偽物を販売するプロ」です。
我々のような素人が思いつくケーススタディは、とっくに終わっているはずです。
どんな問い合わせをしても、彼らが有利になるような回答が用意されているでしょう。
悪事のプロ相手に購入者が勝てる見込みは薄いです。
「偽物だったら返品可能です」の約束が守られることはないと思っています。
名器は信頼できるクラシックギター専門店で買いましょう
クラシックギターの名器は、信頼できる専門店で買うべきです。
評判の良い名器は特に個体差が激しいです。
「弾かずに」「偽物の可能性があるものを」100~200万円で買うのは8~9割負ける博打です。
愚かな行動だとは思うのですが、私も知識がないジャンルで似たようなことをしかけたことがあります。
割安な怪しい商品を買う気持ちも分からないでもありません。
(流石にメルカリ・ヤフオクではないですが)
専門店で販売されている名器について、割高と思えるものもあります。
実際に間違いなく割高なものもあります。
しかし、この記事に書いたような「偽物を掴まされるリスク」を店が負ってくれているわけです。
もし専門店が偽物を買い取ってしまい、販売したら、一発で店の信頼が失われます。
また、私は過去に中古で購入したギターのフレットが浮いていたことがあり、このケースではフレットを打ち替えてくれました。
(これは店によるので、対応の求めすぎはNGです)
店側が商品を販売する際は、こういった「目に見えにくいコスト」を販売価格に上乗せする必要があります。
そうでないと、偽物や不具合の修理で予期せぬ損害が発生した場合、店が潰れます。
(損失引当金を含んだ価格になっている)
インフレで名器の値段は上がっていますし、面倒で勇気がいるのも理解できますが、高い楽器を買う際の試奏は必須です。
今回の記事は以上となります。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。