私が所有している19世紀ギターには元々木ペグが取り付けられていました。
普通のクラシックギターはギア比が1:16のペグが取り付けられています。
ペグを1回転させても、糸巻きの軸は1/16しか動きません。
木ペグは1:1です。
ギアが無いので当然ですが、自分が回した量と同じ分(普通のペグの16倍)音程が変化します。
また、穴に押し込んで摩擦で止めなければいけません。
穴に押し込む時にまたチューニングがズレるわけです。
大まかに合わせる分には困らないのですが、曲の調に応じて僅かに音を調整するのは非常に困難でした。
そのため、ウクレレ用のペグに替えることを決めました。
19世紀ギターはあまり重いものを付けると音に悪影響がありますので、非常に悩みました。
オリジナルへの敬意も大事にしたいのですが、沢山弾いてあげることが楽器のためと思い決断した次第です。
どのペグを採用するか
以下の候補がありました。
全てゴトー製です。
- ギア比1:4のペグ
1つで15gですので、6つ分で90gです。
普通の糸巻きの重さより少し軽いくらいです。 - フリクションペグ
摩擦で止まるようになっており、ギアはありません。
1つで9gですので、6つ分で54gです。 - ステルスキー
1つで11.9gですので、6つ分で71.4gです。
ギア比1:4のタイプは、直前まで候補にあったのですが、重量と見た目の不格好さ(ボリュームがある)で外しました。
ステルスキーは、機能面と重量では申し分ないのですが、ペグがヘッドの横に出る見た目となり、19世紀ギターらしさは薄れます。
アコースティックギターのような外見になります。
また、カタログスペックは良いのですが、お店で触った際にそれ程使い心地が良くなかったというのも除外した理由の1つです。
悩んだ末、ギア比1:1のフリクションペグを選ぶことにしました。
(測ってみると本当に9gでした)
「結局ギア無しのものにするのか」と思うかもしれませんが、押し込んで止める作業が無いだけで大分操作性は向上します。
重量の増加も他に比べて許容範囲でした。
ちなみに木ペグは5gでした。
穴の径に合わせて元の位置に戻せるよう数字をつけたのですが、穴を広げたら無意味であることに後から気が付きました。
交換作業
木ペグがおさまっていた元々の穴の径では新しいペグが入りませんので、リーマーを使い穴を広げます。
このリーマーはスチュワート・マクドナルドで買ったものです。
ごく普通の家庭には無いと思います。
リーマーを木ペグが入っていた穴に入れ、広げていきます。
思いの外切れ味が良く、あっという間に穴は広がってしまいます。
削る量を最小限とするよう、慎重に作業を行いました。
ペグには突起が付いており、これがヘッドに食い込むことで空回りしないようになっています。
30分もかからず全てのペグを取り付け終えました。
使用感
フリクションペグという名前のとおり、摩擦で止まっています。
この摩擦はネジの締め付け具合で調整します。
3弦に使用したペグだけ少し動きやすかったので、他よりは重めに調整しました。
人前で演奏する場合は、摩擦が弱く止まらないことが心配なので、念のためドライバーを持って行った方が良さそうです。
(今のところ緩んで止まらないといったことはないです)
摩擦で止まることから、手を離しても緩んだりせず、最後に押し込む作業もありません。
木ペグで感じていた苦労は激減しました。
今回はギア無しのものを選んだわけですが、他の条件(見た目や重量)が許せばギア有りのものを選んだ方が良いでしょう。
繊細な調整も出来ますが、ギア無しではやはり時間がかかってしまいます。
良く調整された木ペグは何の苦労もなく使える、と言われていますが、正直そんなことは無いと思います。
ギアのある糸巻きの方が圧倒的に楽です。
音への影響
これを1番心配していたのですが、ほとんど影響はありませんでした。
交換前と比べて違いが無いわけでは無いですが、私はそこまで気になりません。
これ以上重いものを選んだ場合には、もう少し顕著に違いが出るでしょうから、このペグにしたのは正解でした。
試しにヘッドにチューナーやカポを付けて重くしてみると、明らかに音は鈍くなるので、自分が求める要素と折り合いを付けながら慎重に決断した方が良いでしょう。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。