ひとつ前の記事で、「エレキギター・ベースを買わない理由」をまとめました。
しかし、「価格の高騰」「材料の枯渇」を理由に、「いずれ買うのであれば今買う」ことを決めました。
エレキギターの購入にあたって、「検討したこと」「買った結果、感じたこと」をまとめます。
エレキギター購入にあたっての検討内容
エレキギターの購入において、どのような検討をしたのかをまとめます。
お店に行っても弾くスキルがないため、ネット上の動画や音源をひたすら聴きました。
(本来は楽器店に行くべきです)
モデルはどれにするか
エレキギターの購入にあたって、まず、どのモデルを購入すべきかを考えました。
あまり奇をてらわずに、メジャーなモデルから選ぶことにしました。
- ストラトキャスター
- テレキャスター
- レスポール
ストラトキャスターがもっとも王道で汎用性が高いようです。
(使いやすく、守備範囲も広い)
裏側にトレモロスプリングと呼ばれるバネが入っています。
余韻・響きのあるエレキギターらしい音がするのですが、それがあまり好きではなく、音も細く感じました。
ソロギターやジャズ等を弾くのであれば、レスポールが良さそうと思い検討しました。
ピックアップ(音を拾う部分)がハムバッカーなので、音が太いです。
しかし、シングルピックアップに比べてナチュラルさに欠ける気がして除外しました。
テレキャスターは、カッティングに向いているジャキジャキの音と言われています。
(メイプルネックで、弦がボディの裏から通っている)
見た目は好みですが、近年の流行りで選ばれやすいらしく、知識がない内は敬遠していました。
しかし、ソロギターに使われている演奏を聴いてみると芯があって太い音で、最も魅力を感じました。
クラシックギタリスト 鈴木大介氏もテレキャスターを所有
メジャーなエレキギターのモデルの中ではテレキャスターが最も好みでした。
そう思うのは私だけではないようで、ギタリストの鈴木大介氏もテレキャスターを所有しています。
ブログで「クラシックギターからすぐに持ち替えられる」と書かれています。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】鈴木大介、世界的クラシックギター奏者のカスタムギターと名機イグナシオ・フレタ、そしてテレキャスター | BARKS
テレキャスターは、エレキギターの各モデルの中でも古い時期に誕生しています。
無駄のないシンプルな構造で、ダイレクトな音が出るところが良いのだと思います。
私はハウザー系の楽器が好きですし、鈴木大介氏は今井勇一氏のギターを使っています。
そういった芯のある木の音が好きな人はテレキャスターを好みそうです。
ちなみに、楽器を購入した店員がクラシックギターを弾く方でした。
「ラミレス」が最も好みだそうで、ストラトキャスターを使っていると言っていました。
ジャンルは違えど、共通する音色の傾向を感じます。
国産が作りと値段のバランスが良さそう
エレキギターを買うとはいえ、私にとってのメイン楽器はクラシックギターです。
あまりお金をかけられません。
当初は10万円程度で検討していました。
フジゲンやモモセ等のメーカーが候補に上がっていました。
「ビンテージ」と「モダン」という概念を知る
当初、コストパフォーマンスの良い国産ギターで10~20万円の範囲で楽器を物色していました。
当初は「フジゲン」にしようかと思っていたのですが、より作りの良い「モモセ」の楽器の演奏を聴いていたときに違和感を感じます。
フジゲンよりもモモセは音量があるのですが、元気過ぎて好きではありませんでした。
この時点で、「ビンテージ」と「モダン」というカテゴリがあることを知ります。
1950~60年代のビンテージサウンドを目指した楽器と、明るくて鳴りが良いモダンな楽器があるようです。
クラシックギターと全く同じだと感じました。
機能面を追求した国産の楽器では「モダン」よりの音しか出ません。
モダンな楽器は一見芯があるように聴こえるのですが、歪ませるとむしろ音の芯が消えるように聴こえました。
(歪ませる気はあまり無いですが)
私はクラシックギターでは古いものが好きなので、「モダン」に属する楽器を買ってしまったら2本目が欲しくなるのは間違いありません。
余談ですが、「モダンが好きな人」であっても、「オリジナルの1950~60年代の当たりのギターは絶賛する」ようです。
この辺もクラシックギターと全く同じだと感じました。
(ラティスやダブルトップが好きな人も、古い楽器を褒める)
けっきょく「フェンダー」が良い説
コストパフォーマンスを求めて「ビンテージ」系のコピーモデルを探していました。
評判の良いメーカーを4~5社ほど調べました。
しかし、考えることは皆同じのようで、中古の在庫がなく、30~50万円する新品ばかりが並んでいます。
(一昔前は中古なら20万円を切っていたようです)
「買えるものがない」事態に陥りました。
選択肢に困り果てて、フェンダーの試奏動画を聴きました。
エレキギターの中では音が暗く、コード弾きの声部が分離して聴こえます。
クラシックギターで名器と呼ぶような音の良さに近い魅力を感じました。
当初は、「フェンダーはメジャー過ぎる」と思って避けていました。
しかし、ビンテージ系の音を追求すると結局はフェンダーやギブソンのような本家の有名メーカーに辿り着いてしまうようです。
結論として、フェンダーの「American Vintage」というシリーズの中古を買いました。
予算オーバーの23万円ですが、リセールや楽器の価値を考えると特別高いとは思っていません。
エレキギターを購入して、気がついたこと、など
ここからは、エレキギターを購入して気がついたこと・所感をまとめます。
アンプが良いものであれば、さすがに「音は良い」
普段クラシックギターを弾いている方であれば、「アンプを通した楽器の音なんて…」とエレキギターを下に見ているのではないでしょうか。
実際にエレキギターを弾いてみて、「アンプが良いものであれば音は良い」と素直に思いました。
ギター本体を買った時点で金銭感覚が破壊されていたので、アンプは10万円ちょっとのものを購入しました。
(私が買ったものが、値上げ前の最後の商品でした)
アンプを通しているとはいえ、タッチに対するダイレクト感もかなりあります。
ろくに使っていないのに、「エレキギターなんて…」と言ってしまうのは愚かだと反省しました。
アコースティックギターはいらない
テレキャスターをクリーントーン(歪ませない)で弾いてみると、アコースティックギター(スチール弦)の音をマイクで拾ったかのような音がします。
エレキギターでアコースティックギター風の音が出るのであれば、張力が強くて環境にシビアなアコースティックギターはいらないのではないかと思ってしまいました。
これはテレキャスターに限定した話のようです。
私のように不要とまでは言わないまでも、「テレキャスターはアコースティックギターに近い音が出る」という意見はネット上で多く見かけました。
エレキギター弾きの共通見解のようです。
メジャーな楽器なので、情報量が多い
エレキギターはメジャーな楽器なので、とにかく情報が多いです。
学習にあたっても、教材に困りません。
指板を使ったコードやスケールの理解は、クラシックギターよりもエレキギターの方が遥かに優れています。
下記で貼っているような書籍も、月額読み放題サービスのKindle Unlimited(Amazon)で手軽に読むことが出来ます。
(良い時代です)
学習教材以外にも、ネット上に沢山の情報が転がっています。
エレキギターを持ってみると、カラーバス効果(意識した情報が入って来やすい)によって、多くの情報が入ってきます。
クラシックギターに比べると歴史の浅い楽器なので、多くの実験が行われ、ネット上に公開されています。
私がこのブログで書いたようなクラシックギターに対する考察も、エレキギター界隈では常識だった場合もありました。
左手が難しい(ミュートやチョーキング)
左手でのミュートやチョーキングなど、クラシックギターであまり使わない技術は非常に難しいと感じました。
簡単そうに見えますが、高度なことが行われています。
3弦の5フレットを1(人差し指)で押弦して、単音のカッティング(ストローク)をするとします。
この際、音が出てほしくない弦を以下の方法でミュートします。
- 左手の親指で6弦、5弦に触れる
- 1(人差し指)の先で4弦に触れる
- 1(人差し指)で2弦、1弦に触れる
- 上記を行ったうえで、3の指は7フレットが押さえられるようにする
求められる左手の動きがクラシックギターとは全く違います。
慣れもあるとは思いますが、「エレキギターの方が簡単」ということは無いです。
顧客の要望による変化は音が悪くなる
楽器購入にあたって、エレキギターの歴史も調べました。
ボディ形状、ブリッジ、塗装、ネックなど、顧客の依頼(クレーム)に対応して楽器が変化すると、音が悪くなるケースが多いようです。
テレキャスターやストラトキャスターなど、楽器(モデル)が誕生した時点で天才による試行錯誤は既に終わっており、ほぼ完成形として評価されています。
(部分的にそうでない箇所もあります)
これはクラシックの楽器も同じだと思います。
優れた耳や技工を持った製作家や演奏家が楽器を開発・進化させていくのですが、一般層・大衆の意見を取り入れると良い結果にならないことを実感します。
パーツのオリジナルの割合が高い程、価値が高い
エレキギターにおける中古・ビンテージの価値について、パーツがオリジナルであればある程、価値が高いです。
(当たり前ですが)
ナット・フレットに関してもオリジナルが好まれます。
ナットはクラシックギター程は頻繁に触ることがない印象です。
エレキギターは他に調整可能な部品が多いからかもしれません。
ピックアップや電気回路に関して、ネット上の情報を見る限りは、「劣化していくだけでは」と感じました。
しかし、詳しい楽器店の方に話を聴いてみたところ、電気系統も「古いものが良い」そうです。
(ネットよりも、信頼できる人の意見が大事)
ピックアップ等は音に直結する部分なので、取替してしまうと価値(価格)が大きく下がります。
とはいえ、クラシックギター程の音の違いはないのでは
色々な種類の音のエレキギターがあるとはいえ、楽器における最高の音を追求した際に、クラシックギター程の多様性は無いと思っています。
もちろん、エレキギターも音色や音のバランス・伸び等は個体によってかなり違います。
「スペイン」「ドイツ」「フランス」のように、国や枠組みが変わってしまう程の劇的な変化がないということです。
近年のインフレによって、クラシックギターの名器は過去の1.5倍くらいの値段になってしまったと感じています。
しかし、名器未満の楽器は価格が据え置かれていることも多いです。
円安が進んだ状況で、価格変動なしは実質の値下げです。
現時点で値段が上昇していない良質なクラシックギターを購入するのは、お得な買い物と言えます。
(評判に囚われず良い音を見つける耳が必要)
クラシックギターは、良い音を達成するために、良質な木材と製作の手間がかかっている楽器です。
最後までご覧いただき、誠に有難うございました。