「大西達朗」氏のギターは素晴らしいです。

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大西達朗のガダニーニモデルギター

国内・国外を問わず、私が最も気になっているギター製作家が「大西達朗」氏です。本音を言えば、お金があるなら直接オーダーしたいと思っています。

弦楽器フェアなどのイベントに大西達朗氏の楽器は出展されているため、楽器を弾いたことがある人であれば、魅力は既にご存知でしょう。

しかし、大変優れた楽器を作っているがゆえに、大西達朗氏の楽器はあまり中古市場に出回りません。所有者がなかなか手放さないのです。まだ大西達朗氏のギターを弾いたことがない方も多いのではと思います。

今回の記事では、以下の内容をまとめています。

  • 大西達朗氏の楽器の魅力とは?
  • 私が弾いたことのある大西達朗氏の楽器のレビュー
  • 私が弾いたことのない大西達朗氏の楽器の想像レビュー

結論から言いますと、大西達朗氏のギターはほぼ「ハズレ」を見たことがありません。直接オーダーして間違いのない製作家です。

ハズレが無いとはいえ、中古で出回るギターは「手放す理由があったもの」になります。中古の方が値段が安いですが、大西達朗氏の場合は「新品」が良いでしょう。

この記事でわかること

大西達朗氏の楽器の魅力

コピー元の魅力を完璧に捉えて再現する「耳と製作技術」

私が思う大西達朗氏の楽器の一番の魅力は、「コピー元の楽器の魅力を捉え、高い技術で再現している」点です。
トーレスモデル、ラコートモデル、シュタウファーモデルなど、オリジナルが持つ魅力を忠実に捉えた上で現代的な機能を持たせているのが大西達朗氏のギターです。

並の製作家がコピーモデルを作ると、「日本人が思うサントス」「日本人が思うハウザー」のようなギターが出来上がります。それはそれで使いやすかったりするのですが、7割~8割くらいの魅力に落ちてしまうことも多いです。

オリジナルのイメージを捉えるのが上手いギター製作家として、大西達朗氏は日本で3本の指に入るでしょう。
オーダーしたいですね。

様々なタッチの人に愛される、飽きない音質

ギタリストがギターに求める要素は様々です。

私はハウザーやブーシェ、ロマニリョスやルビオのような味付けが濃い楽器が好みです。
クラシカルな音とも言われますが、人によってはどうやっても同じ倍音の成分がつきまとうのが押し付けがましく感じるようです。
スパニッシュに目覚めると ークラシックギターマニア おうどん

大西達朗氏の楽器は、クラシカルな音が好きな人からも、芯のある無駄がない音が好きな人からも、どちらからも愛されています。

大西達朗氏の楽器の特徴をひとことで言うなら、「木質的+コピー元の音色の特徴」です。それでいて、全く薄味には感じません。

いつまでも飽きずに弾ける音質でありながら、19世紀ギターのような明るく抜ける音を持っています。
雑音の多い会場でもよく音が抜ける印象ですし、私以外にもそう感じた方は多いようです。
オーダーしたいですね。

製作・加工技術が高く、オリジナルを大事にする

大西達朗氏は高い木工技術を持っており、オリジナルを尊重した楽器製作を行っています。

大西達朗氏のブログやサイトを見ると、ハウザーモデルのロゼッタペネオスを忠実に再現した製作の様子が掲載されています。

木工技術が高く、楽器自体は小綺麗であっても、音の再現が下手な製作家も沢山います。
その中で、大西達朗氏の楽器は「目で楽しめるギターの美観」と「音色の特徴の再現」を合わせ持っています。

大西達朗氏は木工技術に優れるだけでなく、ペグの製作まで行っています。
19世紀ギターへの誘(いざな)い
「ものづくりの総合力」が極めて高い方です。
オーダーしたいですね。

「ハズレ」の個体を見たことがない(少なくとも私は)

私はこれまで大西達朗氏の楽器を8本以上見たことがあります。(個人所有のものを含む)
私が見た中では大西達朗氏に「ハズレ」の楽器はありませんでした。

並の製作家が50点~80点の作品が多い中で、大西達朗氏の楽器は75点~85点が多い印象です。
私が弾いたことのない個体の中に90点超えの楽器もあるでしょう。

良い楽器はすぐに製作家の元を離れていきます。
私が弾いた楽器は大西達朗氏が長年持っていたものが多いため、もっと良い個体を持っているオーナーがいることでしょう。
オーダーしたいですね。

私が弾いた大西達朗氏のギターのレビュー

表面板と12フレット以降が接していないオリジナルモデル

大西達朗氏のオリジナルモデル
大西達朗氏のオリジナルモデル

私が最初に弾いた大西達朗氏のギターは表面板と12フレット以降が接していないオリジナルモデルでした。
モダンギターを少し19世紀ギターよりにシフトしたような印象です。

音の抜けがとても良く、騒がしい展示会でも音が遠くまで飛んでいるのがわかりました。
音の分離も良く、バッハなどのポリフォニーの音楽に最適なギターです。

新品なので、霊感のような音楽性はありませんでしたが、弾き込みによる変化が楽しみな個体でした。
私の中で選択肢から消えていないモデルです。

シュタウファーモデル

大西達朗氏のシュタウファーモデル
大西達朗氏のシュタウファーモデル

大西達朗氏が長くサンプルとして持っていた(る?)のがシュタウファーモデルです。
シュタウファーのポンポンと弾むような太い音を忠実に再現しています。

大西達朗氏のシュタウファーモデルは、海外の高名な19世紀ギターの製作家に引けを取りません。

私が弾いた中では、ゲイリー・サウスウェル氏やベルンハルト・クレッセ氏の楽器よりも大西達朗氏の楽器の方が好きです。

ただし、両者の19世紀ギターは1本ずつしか弾いたことがないため、断言できる訳ではありません。
とはいえ、大西達朗氏の19世紀ギターを大幅に上回るのは並大抵では不可能です。

ガダニーニモデル

大西達朗のガダニーニモデルギター
大西達朗氏のガダニーニモデル

私が購入直前まで悩んだのが「ガダニーニモデル」です。
横・裏板が梨(ペア)の楽器でした。

ガダニーニモデルは19世紀ギターらしい古風な音色を持っていながら、パワフルで機能的なのが特徴です。
1900年以前に作曲された曲であれば、モダンギターよりも遥かにマッチします。

19世紀ギターでバッハを弾くと機能的な物足りなさを感じることが多いのですが、この楽器は19世紀ギターのマイナス面を感じさせません。

フレットやチューナー(ペグ)の作りなど、全てが19世紀ギターの再現だったため、その点で購入を見送りました。
私の周囲でもこの楽器は大変講評でして、音の面で全く不満がない楽器でした。
欲しいです。

ラコートモデル

多くのギター弾きにとって、19世紀ギターといえば「ラコートモデル」です。
サイトに掲載されている中でどれを弾いたかが曖昧なのですが、大西達朗氏のラコートモデルは大変素晴らしいです。

小ぶりで楽器が振動しているのが良く分かる、19世紀ギター(古楽器)よりの鳴り方です。
もしオーダーするのであれば、やはり「軽さ」にこだわりたいモデルです。

私は8弦のラコートモデルが欲しいのですが、多弦にするとラコートモデルでは重量の増加による悪影響が大きいのではと悩みます。

トーレスモデル

大西達朗氏のトーレスモデル
大西達朗氏のトーレスモデル

大西達朗氏のトーレスモデルは、トーレスらしい弾む音と19世紀ギターの明るさ、クラシカルさの全てのバランスが良いギターです。

ある意味「究極のギター」かもしれません。
初心者の1本目にも最適で、上級者が1日中弾き続けるのにも最高です。

全く飽きない音なのに、音はしっかりと立っています。これは「19世紀ギターが得意な製作家ならでは」かもしれません。

トルナボス付きのトーレスモデルも弾いたことがあります。音を考えると明らかに値段は安く、トルナボスの癖を愛せるなら非常に良いギターでした。

大西達朗氏のギターは、欲しいモデルが多すぎて選べません。

パノルモモデル

大西達朗氏のパノルモモデル
大西達朗氏のパノルモモデル

大西達朗氏のパノルモモデルは、弾いたかどうか少々記憶が曖昧です。
ご自宅で弾かせてもらったか、弾いたと思いこんでいるだけかもしれません。

パノルモモデルらしい、太く暖かみのある音の出方をします。

私はあまりパノルモモデルが好きではないです。
モダンと19世紀ギターのどっちつかずの音の出方をするからです。

優れたパノルモは、ぬるめの音の出方をしているのに、良く音が響く印象です。
この現象は、私はあまり腹落ちしていません。明るい音・しなって抜ける音が響くのは直感的に分かるのですが。

【追記】ステージでの生演奏でオリジナルのパノルモを聴く機会がありました。柔らかく太い素晴らしい音だったのですが、演奏の途中まで完全にモダンギターだと思っていました。オーダーする場合、モダンよりも太い音を求める方にはおすすめです。

19世紀 スタイル (スレンダーボディー)

このギターは大西達朗氏の自宅で弾かせてもらった19世紀ギターに近いトーレスモデルです。
(これをトーレスモデルとするなら、トーレスモデルだけで3本弾いています)

この小ぶりなファンブレースのギターも非常に良かったです。大西達朗氏のサイトの説明文を引用します。

弦長629㎜でボディーも細身で小ぶりな為、大変弾き易く音量も通常サイズのギターと遜色はありません。それどころか、音の遠達性はバツグンです!
また、指頭奏法の方にも弾き易く、はっきりと音が出てくれます。
低音域の音の分離は非常に良くバッハ等の対位法的な曲等は非常にきれいに響きます。バッハ好きの方にはもってこいのギターです。

19世紀 スタイル (スレンダーボディー)より引用

このギターの印象によって、私のギターに対する考え方は狂いました。
トーレス以下のボディサイズの方が、良いギターを作りやすいのでは」と思うようになってしまいました。
音量があって音も分離するので、弾きにくくてテンションが高い大型のギターは必要ないのではという考え方です。

3万円~5万円の弦長620mmのギターにおいても素晴らしいものがあるので、小型の高級ギターはもっと増えて欲しいです。

私が弾いていない大西達朗氏のギターの想像レビュー

ハウザーモデル

大西達朗氏のハウザーモデル
大西達朗氏のハウザーモデル

私が弾いていない大西達朗氏のギターの中で、非常に気になる存在がハウザーモデルです。

ハウザー1世はウインナモデルなどの19世紀ギターを作っており、モダンのハウザー1世モデルもシュタウファーのような明るい音の成分を持っているように感じます。

シュタウファーモデルを良い出来で作れる大西達朗氏が、シュタウファーの音の成分を持つハウザーモデルを上手く作れない訳がないです。

大西達朗氏に限らず日本人が製作するハウザーモデルは非常に品質が高いです。海外製作家よりも木質的な音が残っていて、扱いやすさがあります。
私もハウザーモデル探しに疲れたら、大西達朗氏のハウザーモデルをオーダーする予定です。

ボディが小ぶりであれば横・裏板の影響も高まるため、小柄なボディのハウザーモデルが良いなと妄想しています。

「大西達朗氏のギター」まとめ

大西達朗氏のギターの特徴は以下の通りです。

  • 明るく、木質的、良く通る・抜ける音
  • コピー元の魅力を最大限に再現する
  • マイナス側へのばらつきが非常に少ない
  • 飽きが来ない音なのに、パワフル

大西達朗氏のギターの唯一のデメリットは、「どのモデルも良すぎて決められない」ことです。
「自分が弾いていないモデルの方が良いんじゃないか。良いから手元にないんじゃないか。」と疑心暗鬼になり、決断できません。

私もどうして良いか分かりません。大西達朗氏のギターが欲しいという一心です。

今回の記事は以上となります。
最後までご覧いただき、誠に有難うございました。

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