最近、本番に向けて演奏を仕上げる練習が辛く苦しいです。
大袈裟に騒ぐ程の大変さではありません。
しかし、自分の完成度の低さに会場へ向かう足は重くなり、気分も憂鬱です。
しかし、「辛い・苦しい」というのは練習を続ける上で障害になります。
気が付いたら練習量が減ったり、嫌な練習方法をやめている状態に陥るのです。
上達する練習を続けるための「辛さ・苦しさ」に対する考え方をまとめます。
音楽への愛とはまた別のお話
「音楽を楽しむ心」があれば、「練習は辛くない、いくらでも練習出来る」と思うかもしれません。
より高いレベルを目指す練習の場合、これは恐らく間違いです。
上達のためには、自分の「出来ないこと・苦手なこと・成功の確率が低いこと」を改善しなくてはなりません。
己の嫌な部分に目を向ける必要があるので、「楽しい演奏・練習」とは性質が異なります。
音楽の表現を深める段階では、音楽の魅力にクローズアップするので「楽しさ」を感じると思います。
ドーパミンとノルアドレナリン
人は何かを求める時、ドーパミンが出ます。
「この練習をすれば上手くなる」や「ギャンブルに勝てそう」な状況です。
欲求のホルモンであり、特徴は以下の通りです。
- 意識した情報のみに集中する
- 記憶や集中力が高まる
- 快を得られやすい
嫌なことをやるときは、ノルアドレナリンが出ます。
「気がすすまない仕事」や「苦手な練習」が該当します。
闘争・逃走のホルモンであり、特徴は以下の通りです。
- あらゆる方向に注意力が向く
- ストレスがあり、嫌々やっている状態
- ストレスにより逃避したくなる
ノルアドレナリンはマイナスのように思いますが、理想の集中はこの2つが共に働いている状態です。
ノルアドレナリンの注意力を使わなければ、良い集中には到達出来ません。
とはいえ、「練習する気が起きない」も「本番の演奏中に関係ないことが気になる」もドーパミン不足によるものです。
無知の知を超えて
新しいことを始める段階で「私にも出来るかも!」と期待がある状態では、ドーパミンが出ています。
この無知で分泌されているドーパミンにより人は突き動かされます。
しかし、実際に何か(楽器演奏なら練習)を始め、現実が見え、期待が薄れるとドーパミンの効力は無くなります。
「上達の停滞」や「自身の欠点」が明らかになってくると、ドーパミンに変わってノルアドレナリンが分泌します。
ノルアドレナリンは注意力を増す作用がありますので、新しい要素に気付くことを助けてくれます。
(ノルアドレナリンによる注意力はあらゆる方向に向く)
ただし、ノルアドレナリンはストレスホルモンであるコルチゾールを増やします。
無知の知とは、学習の初期段階の「私にも出来るかも!(ドーパミン優位)」が終わり、現実が見え始めて「ストレス」と「注意力」が高まっている状態です。
無知は良くないことと思いがちですが、とりあえず挑戦してみることは大事です。
ノルアドレナリンがもたらした「コルチゾールによるストレスにどう対処するか」が有意義な練習を継続する鍵になります。
食事・睡眠は重要
人間はより根源的な欲求が優先されるように出来ています。
「眠い・お腹が空いた」状態では、「ギターを弾こう」とは思わないのです。
「嫌だけれど上達出来る練習」をするためには、体調が万全である必要があります。
ただし、空腹の状態では食事を期待してドーパミンが分泌されます。
食事に対して分泌されているドーパミンのベクトルを楽器練習に向けて、練習の効率を上げることは可能です。
心理的安全も重要
食事・や睡眠の欲求が満足している場合、心理的な安全を求めるようになります。
人間関係が良好であり、危害が加えられる可能性が無いことです。
ギターの音を聴いて家族が怒鳴り込んでくるような条件では、安心して練習出来ません。
ドーパミンを分泌する
ドーパミンが分泌されると、ノルアドレナリンによるコルチゾールのストレスを乗り越えて挑戦が出来るようになります。
ネガティブな注意力を活かしつつも、報酬を求めるのが勝る状態です。
ドーパミンを出す方法を並べてみます。
上達への期待
練習で得られる成果を意識することで、ドーパミンは分泌されます。
つまり、上達の気配を感じることが重要です。
そのためには、目的意識を持って練習することが重要です。
出来ること・出来るようになったことを大事にする
人は生き延びるために「出来なかったこと」に目が向くように出来ています。
しかし、それだけでは練習・努力が辛すぎます。
テストで90点だった際に、10点をミスしたショックを受けて勉強をやめてはいけません。
練習でも、時折出来ること・出来るようになったことを確認して自分を褒めましょう。
自分の魅力を知っていないと、他人に伝えることが難しくなります。
困難を楽しむ
人生を変えるような変化・成長は、「辛さ・苦しさ」のある行動によりもたらされる場合が多いです。
ストレスを感じるような新しい挑戦をしなければ、大きな変化は起きないからです。
困難や挑戦によるストレスを大きな変化が起きる予兆と捉えて楽しむことが出来れば、ドーパミンにより「辛さからの回避」を乗り越えることが出来ます。
自分で何をするか決める
人は自分でやると決めたことの方が意欲的に取り組むことが出来ます。
自分にも他人にも、「やらされている」を感じさせないようにしましょう。
魅力のある先生に習う
魅力や説得力のある先生に習うことも、練習を継続するには重要です。
先生に魅力があることで、「この人が教えてくれる内容なら信頼出来る」という期待を持つことが出来るからです。
これにより、先生に重要なのは教えてくれる内容だけでないことが分かります。
ルーティンや物語のセリフ
努力や覚悟、決意のために好きな物語のセリフやルーティンを活用するのも良いです。
のめり込みやすい人程、効果が高そうです。
仲間の存在を意識する
同じ楽器を練習する仲間や、楽器演奏を応援してくれる人(家族や先生)が誰しも一人はいると思います。
練習は孤独で長い挑戦です。
「集団への帰属の意識(一人ではないこと)」、「環境への感謝」を持つことで辛い練習を乗り越えることが出来るでしょう。
また、楽器演奏は製作家の方々がいてこそですので、敬意と感謝を忘れないようにしています。
まとめ
能力も努力出来るかどうかも、生まれつき決まっている部分が大きいことが分かっているようです。
しかし、「能力は生まれつきではなく、固定されたものではない」と思う人の方が成長出来ることも分かっています。
辛いこともありますが、皆で乗り切っていきましょう。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。