この記事では、クラシックギターを弾く際の爪の削り方を紹介します。
(アコースティックギターでも使える方法と思います)
私のギター歴15年の研究結果を惜しみなくまとめています。
この方法が完璧とは思いません。
しかし、誰にでも適用可能であり、正解に近い方法です。
ギター演奏で爪の形が悪い場合のデメリット
私は「指の形に合わせて爪の形を整える」という方法を5年以上実践してきました。
「指の形に合わせた爪」も完全に間違いとは言えません。
演奏している実感として、ベストな爪の6割くらいの状態です。
初心者・中級者まではこういった「何となくの爪」でもそれなりに弾けます。
しかし、「爪の形が理想でないこと」により、下記のデメリットが上達を妨げます。
- 極限の「柔らかく太い音」が出せない
- トレモロの難易度が上がる
- アルペジオ、スケールで引っかかりスピードが出ない
- 弱音を出そうとしたときに引っかかる
- 和音のバランスが悪くなる
よく言われている「爪の形が悪いとプロにはなれない」という意見はあながち間違いではないと思います。
「難易度が高い曲を弾く」や「コンクールや発表会で人前で弾く」機会が多い人は、爪に思わぬ悪影響を受けている人もいるでしょう。
あまりに極端に爪の形状が変わると、右手の技術は学び直しになります。
特に初心者は爪に弦を引っ掛けて弾いています。
その場合は、爪が変わることにより弾き方が大きく変わってしまいます。
爪はどれくらいの長さ、どんな形が良い?
「爪の長さはどれ位が良いか」「形は丸なのか、直線なのか」といった疑問があります。
結論として、人それぞれです。
「形や長さ」には共通の答えはありません。
自分だけの正解を見つけるべきです。
(記事の後半に落としどころを書いています)
恐らく、プロのギタリストの先生に聞いても100点の答えは返ってこないと思います。
他人の爪を見て僅か数分の先生よりも、生まれてからずっと爪を見続けてきた自分の方が答えを出しやすい筈です
ギター演奏での理想の爪とは?
弦と爪が当たり、抜けていく際に抵抗がない爪が理想の爪です。
「抵抗がない」というのは、コンタクトからリリースの間で爪が直線であることです。
あくまで「弦からみて直線」なので、見た目の形が直線というわけではありません。
ある角度のタッチにとってのベストの爪は、また別の角度のタッチにとってはベストではないです。
レギュラーのタッチ(何も考えずに弾く状態)で最も抵抗がないように削るべきでしょう。
ギターを弾く爪の整え方(本編)
前置きが長くなりました。
爪の整え方を順に説明します。
弦に紙やすりをセットして爪を削る
極限まで抵抗が無い理想の爪を人が目視により仕上げるのは不可能だと私は思っています。
理由は以下の通りです。
- コンタクトからリリースの最中、指の角度が変化していくこと
- 爪の形状が3次元であること
そのため、弦から見た爪の抵抗ゼロを実現するには、弦に紙やすりをセットして削るしかありません。
この方法であれば、コンタクト→リリースの間に存在する抵抗(山)は削れて無くなります。
これにより、概ね正解に近い爪になります。
弦に紙やすりをセットする場合、私はギターのサウンドホールに削りカスが入るのが嫌です。
そのため、最近は下記の棒ヤスリを使っています。
ギターを構える際の弦と同じ角度に棒やすりを傾けて、ギター演奏と同じように指を動かします。
棒ヤスリは弦を弾くのに近い感覚がありつつ、曲がったり折れたりすることのない3mmの太さがベストです。
角度を変えながら、爪と弦が長めに当たるイメージで爪を削ります。
爪の弦に対するコンタクトとリリースのポイントを追加で調整
「紙やすり+弦」又は「棒やすり」で爪を削り終えたら、コンタクトとリリースの部分を追加で調整します。
写真の赤の部分(コンタクトとその前)は、棒やすりで削られていない部分です。
タッチを変えた際や、緊張で手が震えて精度が落ちた際にこの部分に弦が当たる可能性があります。
そのため、追加で赤丸の部分を削ります。
(人によっては全く削らなくても良いかもしれません)
赤の部分をあまり削り過ぎてしまうと、せっかく作った「抵抗のない直線が消える」ことになってしまいます。
写真の緑の部分(リリースポイントとその後)も削ります。
棒やすりで削られた最後の部分は、棒ヤスリに当たってはいるが、当たりはじめ程は強く当たっていない部分です。
そこには僅かに抵抗が残っている可能性があります。
緑の部分(リリースポイントとその後)は少しで良いので、削り落とした方が良いと思います。
タッチによって音を変えたい奏者は、あえてこの部分を残して引っ掛けることもあるかもしれません。
親指に関しても、緑の部分(リリースポイントとその後)は削り落とします。
形を整えた爪の仕上げ
目の細かいやすりや、表面磨き用のやすりで爪の断面を仕上げます。
これも、爪が弦と当たる角度を意識して磨くと良いでしょう。
爪の削り終わり(完成)の判断のタイミング
完成の判断は、以下の2点により行います。
実際に弦を弾いてみて抵抗なく弦が抜けること
弦を弾いてみて、引っかかりがなく爪に対して弦が抜けていくことを確認します。
この抵抗はタッチの調整(角度や抜き方)でコントロール出来てしまいます。
そのため、トレモロで確認するのが良いでしょう。
トレモロのような高速の動きであれば、タッチを調整する余地が少なくなります。
最も自然な状態でのタッチの抵抗をチェック出来ます。
「指の曲がり具合」と「爪の硬さや形」によって、抵抗が無い状態の爪の長さは異なります。
私は割と短めの爪です。
(長いと引っかかるタイプ)
各指の弦に対する抵抗が均一であること
爪が完成したかどうかは、人差し指、中指、薬指のそれぞれの指で弦を弾く際の抵抗が均一であることを確認します。
これもトレモロで確認すべきです。
(タッチの調整による誤魔化しが効かないので)
爪の形は指によって違いますので、完全には抵抗を均一にすることは出来ません。
可能な限りで爪の抵抗を揃えます。
「引っかかりやすい指は多めに削る」などの工夫が必要になるでしょう。
爪の削り方まとめ
爪の削り方に関してはまだ研究中ですが、今回紹介した内容からは大きく変わらないと予想しています。
80点~90点の爪の削り方ではないでしょうか。
ツボサンの棒やすりは最近導入しましたが、紙やすりを弦に巻くよりも早く仕上がり、ギターも汚れません。
職場用にもう1本購入しようかと検討しています。
最後までご覧頂き、誠にありがとうございました。