自由に、長時間ギターを演奏するためには、左手がリラックスした状態であることが必須です。
脱力のコツは、独学で練習したとしても高いレベルまでは会得できません。
「左手で弦を押さえて弾く楽器」には、人の寿命と比べて遥かに長い伝統があり、ノウハウが蓄積されています。
これを使わない手はありません。
今回の記事では「ギター演奏における左手の脱力のコツ」をまとめます。
前提として「そもそも力を抜こうとしているか」
脱力のコツを掘り下げる前に「力をなるべく抜こうとしているかどうか」を確認しましょう。
これから紹介するコツは、「実践すれば力が抜ける」ものではありません。
「力を抜くためにコツを実践する」のです。
「力を抜く」という目的意識を持った上で、コツを実践していきましょう。
親指を反らせてはいけない
左手の親指は絶対に反らせてはいけません。
手のひらの付け根の筋肉が硬直します。
感覚として力は入っているのに、弦に力は伝わりません。
独り相撲になってしまいます。
左手の力を抜くコツ一覧
左手の力を抜くコツは以下の通りです。
出来る限り、時系列順に並べました。
① 弦の上で次の押さえを準備する
運指によって可能な範囲で、次の押さえの準備をします。
弦の上で指を待機させましょう。
音が消えないなら、弦に触れてしまって構いません。
「脱力と関係ないのでは」と思うかもしれません。
急な動きはミスや力みの原因になります。
早めの準備により難易度が下がり、力みに繋がる要因を減らすことが可能です。
簡単な運指の部分でも徹底しましょう。
② 弦に対して可能な限りソフトに着地する
脱力においてこれが最重要かもしれません。
これをやるだけで演奏がぐっと楽になります。
指は、弦に対して可能な限りソフトに着地しましょう。
詳細に説明します。
まず、指が弦に触れます。
そこから弦を押し込みます。
「弦に触れた瞬間」と「弦がフレットに当たる瞬間」の間を感じましょう。
③ フレットに近い位置を押さえる
弦を押さえる際は、フレットに近い位置で押さえましょう。
極端に近すぎなくても良いですが、遠いのは避けるべきです。
フレットの間で押さえる場所を変えてみて、どれぐらい力が変わるか実験してみましょう。
左手を見ないで弾く練習をしていると、フレットから遠い位置を押さえているときがあります。
「左手を見る」ことが重要なのではなく、指の位置を感じ取る感覚を磨きましょう。
④ 押さえなくてよい弦の力を抜く
セーハをする際は、押さえなくてもよい弦の力を音が出なくなる程度まで抜きましょう。
Fのコードであれば、⑥弦と①弦、②弦だけが押さえられていれば良いです。
上級者は、セーハした場合にどの弦を押さえるのかを完璧にコントロール出来ます。
⑤ 発音の際だけ力を強める
左手で弦を押さえるのに必要な力は一定ではありません。
発音の際、つまり右手で弦を弾く際にもっとも大きな力が必要になります。
それ以降はそれ程大きな力は不要です。
発音の瞬間だけ指を硬直させ大きな力を出すようにし、それ以降は力を抜きます。
タイミングごとに必要な力が意識出来ていないと、脱力したつもりになったとしても「発音時に必要な量の力」で弦を押さえ続けてしまいます。
⑥ 力が必要な際は指をロックする
どうしても押弦で力が必要な場合は、指をロック(固定)します。
これはちょっと分かりにくいです。
筋肉は動きが遅いときに最大の力を発揮します。
つまり、止まっているときが最も大きい力を出せます。
腕相撲のコツは、上半身(腕を含む)を完全に固定して体幹から力を加えることです。
腕から力を伝えようとすると弱い力しか出せません。
ギターに話を戻します。
指の力で弦を押し込み続ける意識は、手の疲れの原因です。
脱力出来ずに手が疲れてしまうと、演奏の継続が困難になります。
指を固定(力が最大)して、弦を押し込む方向の力は腕の重みを使いましょう。
すると、大きな力を弦に伝えているのに、指や手が疲れることが無くなります。
⑦ 押さえ終わった指の力を抜く
メロディとして動いている声部の音は、次の音を弾いた時点で力を抜きましょう。
スケールのような音型で全ての指に力が残っていたら、悲惨です。
「左手の力を抜くコツ7選」まとめ
左手の脱力のコツを7種類紹介致しました。
弦に着地する際は「力を抜き」
発音の際に一瞬「力を入れ」
発音後に「力を抜く」
という流れになります。
繰り返し練習して、意識せずとも自然に行われるようにしましょう。
最後までご覧いただき、誠に有難うございました。