福山雅治さん所有のクラシックギターのメーカーについて書く。

PR〈景品表示法に基づく表記〉

別記事「石田ゆり子さん使用のクラシックギターを考える」に引き続き、映画「マチネの終わりに」で主人公のクラシックギタリストを演じた福山雅治さんが所有しているクラシックギターのメーカーについて書きます。

どんなギターで曲を奏でているのか」を知ることで、また違った音楽の楽しみ方が生まれると思います。

それではどうぞお付き合い下さいませ。

この記事でわかること

福山雅治さんのクラシックギター

福山雅治さんのクラシックギターは以下の5本のようです。
下に行くに連れ、値段が高くなってきます。

  1. アランフェス716
  2. アランフェス725
  3. イグナシオ・フレタ 1968年
  4. ヘルマン・ハウザー1世 1928年
  5. ロベール・ブーシェ 1959年

ちょっと下品な例えかもしれませんが、お寿司に例えると、上の2本のアランフェスが回転寿司の一番高いネタ、下の3本が高級店で時価で並ぶ寿司ネタのようなものかもしれません。

私もアランフェス、ハウザー、ブーシェ以外に知らなかった情報もあり、記事を書くにあたり、以下のサイトを参考にさせてもらいました。
映画「マチネの終わり」で福山雅治が使っているギターはイグナシオ・フレタ?現代ギターの表紙が宣伝で福山雅治に
映画「マチネの終わりに」で福山雅治が弾くアランフェスギター展示中!
福山雅治 福のラジオ

それぞれのギターを順番に解説します。

アランフェス716&725

まずは、比較的安価なギター(それでも高い)から紹介します。
「高級なギターだけ知りたい!」という方はこの部分はスルーして下さい。

クラシックギターには大きく分けて、個人製作家が製作する手工品と呼ばれるギター(新品30万円以上)と複数人の工房で作られる量産ギター(新品3~25万円程度)の2種類があります。
(量産ギターでも沢山の手作業の工程があります)

アランフェス716&725は量産ギターの中ではかなり上位に位置づけられたギターです。
(私が初めて買ったギターもアランフェス725でした)

現在はどちらも廃番となっているため、後継のモデルを載せております。

このギターを福山雅治さんが選んだ理由を考察

高級すぎない、気軽に手に取れる楽器が欲しいから

福山雅治さんが持っているクラシックギターの中で、アランフェスのギター以外のギターは、クラシックギター界にとっての財産とも呼べるほど貴重なギターです。

(ヴァイオリンならストラディバリウス)
壊れたら替えが効くものではなく、どんなに複製の技術が進んだとしても同じ楽器は作れません。

そのため、普段気軽に爪弾く楽器としてアランフェスのギターを選んだのかもしれません。
福山雅治さんはスチール弦のアコースティックギターにおいて楽器を熟知している筈ですので、古い楽器の希少性も理解していると思われます。

また、福山雅治さんがライブを行う会場は相当なサイズですので、高級で繊細すぎる音の楽器を使っても魅力や違いを伝えきれません。
運搬時、機材にぶつけたりすることもあるでしょう。
気負わずに使えるセカンドギターなのかもしれません。
(誰でも何とか手が届く範囲の楽器で、マネしやすいようにしてくれているのかも)
映画「マチネの終わりに」の中でも使われていますので、ぜひチェックしてみましょう。

イグナシオ・フレタ 1968年

ここからは泣く子も黙る高級ギターの話に入ります。
私の筆も進みます。
下記の動画は福山雅治さんと1年違いのフレタの音です。
(演奏に魅了されて筆が進みません)

イグナシオ・フレタはギターの本場、スペインの製作家で、1897年に生まれ、バルセロナでギターを製作した人物です。
元々はチェロやヴァイオリン、古楽器等を製作していましたが、クラシックギターの神様と呼ばれる「アンドレアス・セゴビア」の演奏を聴き、本格的にクラシックギター製作にのめり込んでいます。
1977年に亡くなっていますが、1962年から息子達との共作が行われていますので、
彼が亡くなってからも彼のギター製作の魂は受け継がれています。
現在の取引価格は350~500万円程度でしょうか。

音の特徴は「チェロを思わせるような豪快で太い、ステージで存在感のある音」です。
ステージに頻繁に上がるコンサートギタリスト達からイグナシオ・フレタの楽器は絶大な信頼を築いていました。

聴けばすぐに「フレタだ!」と分かるような強烈な個性を持っていて、チェロのように低音が歌います。
これぞまさにクラシックギターの音と思わせてくれる楽器です。

スペインの楽器であるフレタには、ギターの神様であるセゴビアが愛用したオーガスチンの弦がマッチします。
音楽が持つ光と影を良く表現してくれる弦です。

映画「マチネの終わりに」の写真で福山雅治さんがイグナシオ・フレタを抱えているのを見て、ギタリストの福田進一さんから借りたのだろうと思ったのですが、実際に購入していたようです。
芸能人はスケールが違います。
http://www.billboard-japan.com/d_news/image/76792/1

ヘルマン・ハウザー1世 1928世

次に紹介するのはドイツのヘルマン・ハウザー1世です。
下記の動画はyoutubeで聴ける試奏動画の中でもトップクラスにギターの魅力を伝えていると思います。

ヘルマン・ハウザー1世は最も神格化されているギター製作家であり、
彼が1937年に製作した楽器はギターの神様「アンドレアス・セゴヴィア」に
「これこそ世界一のギターだ。これ以上のものは作らなくてもいい」と言わしめた程です。

イグナシオ・フレタに比べると音が細いのですが、その分、音色に躍動感や野性味、ドライブ感があり、その密度は比類無いほど強靭で、ドイツ的な気品や高貴さを持った音色が聴くものを魅了します。
気品があるエッジの聴いた音から太く甘い音まで幅広いパレットを持っており、上の動画のように最高の奏者が使用することにより天上の音楽を奏でます。

ドイツの楽器には、同じくドイツで作られているハナバッハの弦がマッチします。
実直で品のある高貴な音を体感出来ます。

福山雅治さんは裏板・横板がメープル材のヘルマン・ハウザーを所有しているようです。
500~800万円程と推測します。
福山雅治福のラジオではフラメンコギターとして紹介されておりますが、メープル材のギター=フラメンコギターではありません。
(シープレス、糸杉はフラメンコギターの材料ですが)
この年代にヘルマン・ハウザーがフラメンコギターを作った可能性は極めて低いと思います。
しかし、福山雅治さんがお持ちのギターの中では細くて強靭、スパニッシュな音が出ますので、フラメンコ的、スペイン的な曲に使用したというのは非常に音楽的な判断と思います。

以下はメープル材のギターの参考写真です。

ロベール・ブーシェ 1959年

最後に紹介するのはフランス人であり、画家でもあったロベール・ブーシェのギターです。
彼は生涯で154本しかギターを作っておりません。
この年代であればハウザー1世よりブーシェの方が値段が高いかなと思いこの順番にしています。
700万円~1200万円程ではないでしょうか。
しかし、ブーシェの1.5倍の価格のハウザー1世もあります。

ブーシェの音色は、中々動画では伝わりません。
フランス語の発音にあるような独特の余韻が空間を包みます。
ブーシェの特徴は、スペインとフランスの個性がクロスオーバーした音色です。
(年代によって大きく個性が異なります)
霞がかったような倍音が聴こえながらも、楽器自体が持つ音の芯は太く、芳醇です。
(イグナシオ・フレタの太さを凌ぐ個体もあります)

フランスの楽器であるブーシェには、楽器の音を素直に表現するプロアルテがマッチします。
プロアルテの優しい粘りがブーシェのみずみずしい弾力と良く合うでしょう。

今回の記事は以上となります。

記事を書いていて、これだけの内容のギターを選んだ福山雅治さんの感性、音楽性、財力に震えました。

最後までご覧いただき、誠に有難うございました。

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