J.ロドリーゴ作曲のサパテアードの高速スケールの弾き方を考える。

PR〈景品表示法に基づく表記〉

J.ロドリーゴ作曲のスペイン風の3つの小品は
クラシックギターのレパートリーの中でも最も輝かしく難易度が高いものの1つです。
コンクールやコンペティションの場面においても最強の曲だと思いますし、
腕に自信のあるプレイヤーが選曲しているのを見かけます。

スペイン風3つの小品の中でも
サパテアードに登場する高速スケールは非常に難易度が高く
良くも悪くも奏者をふるいにかけるチェックポイントになっています。
(難所でミスしないかどうか聴いてやろうというのは
あまり褒められた鑑賞の仕方ではないですが)
下の動画でテンポ140~155くらいでしょうか。

ブログで様々な技術を分解して追求してきた結果、
完全に弾けないフレーズはほぼ無いと思っています。
(頑張ってもプロの70〜90%しか速度が出ないことがありますが
とりあえず弾けるようにはなります。)

今回の記事はサパテアードの高速スケールをどう処理するかを考えます。

この記事でわかること

右手

pmiを使う(単弦でアルペジオのように)

右手の運指はpmiとフィゲタ(スラーの箇所)を使えばどうにかなるのではと思います。
ほとんど練習しなくてもかなりのスピードが出るはずです。

amiは難しいかも

2005年GFA優勝のジェローム・ドゥシャームが推奨していた
amiを使う方法もありますが、
私レベルの器用さですと、amiでは
リズムが滑る
音の間隔が均等にならない
3つ単位で団子になってしまう
という不具合が起きやすく
習得までにかなり時間が掛かりそうと思いました。

あるコンサートを聴きに行った際、
J.アルカス作曲の「椿姫の主題による変奏曲」の
終盤に登場するスケールで
とある有名ギタリストはamiを使うという前情報があり、
私もその曲をレパートリーにしていたので、注意して聴いていました。
その方は力んで突っ込んでミスしたり、
amiの単位で団子になっていましたので、
「プロでこのレベルなら私には使えないかも」と思ってしまいました。

注意「音楽が全てである」

上で「amiは上手くいかない」と書きましたが、
ハマる人もいるかもしれません。

私はレッスンで
「このやり方だとこれ以上速度は上がらないですかね?」とか
「このやり方で練習して最終的に出来るようになりますかね?」と
安易に答えを求めていましたが、その度に先生から
「音楽としてどう聴こえるのかが重要で、
方法はあくまで手段、弾き方が正しいかどうかを決めることは出来ない」
と言われてきました。

スケールに対するプライドは捨てる

運指imでシンプルに、ガチンコで弾こうという方もいらっしゃるかもしれません。
腕に自身があって、純粋な技術力で乗り切れたら最高と思います。
しかし、imそのものの動きの速さだったり、
逆指を避けた運指だったりと
晩学者にとっては習得までの壁が高すぎるように思います。

そもそも極端に速いスケールは登場頻度が低いくせに
クラシックギターにとっては演奏効果が薄い奏法です。
スケールに練習時間の大部分を割くのはコストパフォーマンスが悪いので
とにかく簡単に弾ける方法を選んだほうが良いと思います。

左手

上の方法によって、
右手はどうかなるのではと思います。
「右手と左手をシンクロさせる」ことが難しいです。

私は下記の運指を使おうと思います。
2小節目、右手の運指が抜けている箇所はスラーで弾きます。
ポジション移動は最初の1拍で済ませますが、
すぐに2弦に降りたときと同じようなアクセントになるように注意します。
開放弦を混ぜるとかえって混乱するかもしれません。

コツ

頑張らない

一番大事です。
「難しい部分が来た!気合を入れていくぞ!」とすると、
スピードを出しやすい右手が加速しすぎたり、
左手が力んで感覚を失ったりします。

このスケールを弾けることは「普通のこと」と思うようにしましょう。
(普通じゃないんですが)
そう思えるテンポから練習しましょう。

1音ずつ追加して弾ける範囲を広げる

どこで自分がミスをするのかを特定し、
弾ける範囲で1音ずつ音を追加してみましょう。
当然ですが、
ポジション移動や弦を跨ぐ箇所、右手のパターンが変わる箇所で
失敗しやすいです。

初めのうちは、左手が用意出来るのを、右手で待つ
のも良いと思います。
がむしゃらに弾いて感覚が身に付かないのが良くないです。

拍やアクセントの区切りを変えてみる

6連符の区切りを4連符等に変えて弾いてみます。
また、付点のリズムで弾くのも良いと思います。
出来ないからつまらないかもしれないですが、
良薬は口に苦しです。

弱音で練習

音量を上げると、その分押さえを強くする必要があるので、
左手で感じる情報量が落ちます。

弱音から初めて、感覚を身体に染み込ませましょう。

この速度で弾く場合、
「指先で情報を感じてから弾く」のではなく、
「予め用意している動きを実行する」ことになります。
(脳の処理速度が追いつかないので)
それでも、高速の音の並びの中で
「指先にどのタイミングで振動の情報が入っているか」
一連の記憶として定着していると思います。

今回の記事は以上となります。

何年も「こんなの弾けない」と思っていたフレーズですが、
冷静に分解してみると弾けそうな気がします。
本番で弾けるレベルまで持っていくには半年~1年かかりそうですが、
練習で成功させるには1ヶ月位でなんとかなりそうです。
裏を返すと、「なんだかできそう」とすぐに思えないのであれば
練習の仕方が間違っていると思われます。

最後までご覧いただき、誠に有難うございました。

この記事を貼る・送る際はこちら
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事でわかること