私はよく鏡を見てクラシックギターを弾く練習をしていました。
明確な目的があった訳ではないのですが、鏡を使ったことにより、
意外なことが出来るようになりました。
また、これまで活用出来ていなかった練習のチェックポイントにも気が付きました。
この記事では、「鏡」を使った楽器練習のメリットをまとめます。
①フォームの確認が出来る
鏡を見ることで、自分のフォームを確認することが出来ます。
「これから自分のフォームを完成させる方」や「フォームを修正したい方」には
鏡を見て練習することが特に有効です。
「美しいフォーム、動き」を魅力的に感じるのは、
より能力のある遺伝子を残したいという人間の種としての本能のようです。
必ずしも「正しいフォーム」=「美しいフォーム」ではないのですが、
ある程度の相関性があります。
(ただそこに決めつけや思い込みが生じると、「正しさ」から離れるように思います)
②力みにくくなる、怪我しにくくなる
フォームの崩れを鏡で確認し即座に修正することで、
力みにくく、結果として怪我しにくくなります。
この記事を書くまで、私は「視覚情報」よりも「身体感覚」の方が
素早く「力み」や「フォームの崩れ」を感じ取れると思っていました。
しかし、緊張や音楽への集中がある中では「視覚情報」が有効な場合があります。
人は極度の緊張下に置かれた際、「闘争・逃走反応」を起こし、
戦いに備えて筋肉を強張らせてしまいます。
音楽において、それは有効ではありません。
緊張した際、自分の身体を触ったり、腕を組んだり、手を強く握りしめたり
したことは無いでしょうか。
人間は特定の条件下では、不要な力(狩りをしなくて良い現代では特に)を
入れた方が安心するように出来ています。
演奏中に力んでしまったことを「身体感覚」として感じにくいのは、
それが本能によるもので、その方が落ち着くからと思います。
「右手でギターを押さえる」「左手でネックを引っ張る」「足に力を入れてギターを挟む」
は演奏中に無意識にやってしまいがちです。
完全に正しいフォームであれば、力もうとしても中々力みにくいものです。
過剰な力みが生まれる際には僅かでもフォームが乱れます。
つまり、「視覚情報」から瞬時に「力みの芽」を摘むことができます。
初心者にはフォームの乱れを瞬時に判断することが難しいので、
様々な分野の達人の動きを見て学ぶべきです。
追記)
余計な力が入りにくいフォーム(体勢、状態)はやはり存在します。
そういったフォームは手や足のような身体の先端が頑張るのではなく、
体幹に近い筋肉から大きな力を発揮します。
ギターなら「安定感があり、重心低め」が良さそうです。
③脳内の動きのイメージと動作を一致させる
鏡を見ることで、「脳内でイメージした動き」と「実際の動作」を一致させる
ことが出来ます。
「頭で考えた動きを実際に行う」のは当たり前では、と思うかもしれませんが、
ほとんどの人は自分の理想通り動くことが出来ません。
もしそれが可能なのであれば、
筋肉や関節等の身体の制限がなければ、誰でもプロの動きを再現出来る
ことになってしまいます。
「普段から自分の指(特に左手)を見て弾くこと」と「鏡を見ること」の違いは、
「指を動かすために目で確認する」のでなく
「動作の結果が合っているかどうかを鏡で見る」
という点です。
指そのものの細かい動きを見る訳ではなく、
「左手の指が楽器の指板から離れすぎている(イメージよりも)」
「右手の指や甲が動きすぎている(イメージよりも)」
という点をチェックすると良いでしょう。
④譜面を見ながら演奏出来るようになる
③の脳内のイメージと実際の動作を一致させることが出来ると、
身体を動かす際に目で見て確認する必要がありません。
目を他のことに使えるので、結果として譜面を見ながら演奏できるようになります。
巷では、譜面を見ながら演奏するコツが紹介されていますが、
視覚情報に頼らず弾くことが最も重要と思います。
目を閉じたり、目隠しをすることでも身体の感覚を研ぎ澄ませて練習出来ますが、
鏡を見るとリアルタイムでのイメージと動作の答え合わせが出来るので、
2つを並行して行うと良いでしょう。
今回の記事は以上となります。
自分のフォームも試行錯誤の結果、方向性が決まってきたと思い込んでいましたが、
曲にのめり込んだり、緊張したり、難所に差し掛かったりすると、
首が前に出て、猫背になり、巻き肩のようになります。
これらを鏡を使って発生した瞬間に直すことで、良い本番の対策になりそうです。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。