楽器

過去に使用していたギター「アントニオ・マリン エスペシャル」について。

私は過去にスペインのグラナダの製作家「アントニオ・マリン エスペシャル」を使用していました。
過去から現代まで、大変人気のある製作家です。

この記事では私が持っていた「アントニオ・マリン エスペシャル」の特徴・メリット・デメリットをまとめます。

「アントニオ・マリン エスペシャル」の特徴

音の骨格・バランスはブーシェっぽい
(ブーシェモデルではないが)

アントニオ・マリン氏はブーシェモデルのモデルBとオリジナルモデルのモデルE(エスペシャル)の2種類の楽器を製作しています。

ロベール・ブーシェと出会うことでギター製作に多大な影響があったようで、オリジナルモデルのモデルEにおいてもブーシェ風の音造りを感じます。
ブーシェ風の骨格の上に、スペインのグラナダの製作家であるアントニオ・マリン氏本人らしい明るさ・爽やかさが加えられた楽器となっています。

モデルB 音が太く、張りが強い、やや鈍い
モデルE より明るく伸びる音、コントロール性が良い、機能的

抜群の音量と伸び

アントニオ・マリン氏のギターは、抜群の音量と伸びを誇っています。
(どちらのモデルも)

スプルースの楽器では音の伸び・躍動感を感じるものがありますが、これ程の伸びはアントニオ・マリン氏の楽器でしか感じられません。

私が自宅で弾いていて唯一苦情を受けたギターです。
(夜中に弾いていた時期でもあったのですが)
冗談はさておき、本当に壁を貫通するかのような伸びがあります。

伝統的な構造による爽やかで明るい音質

これ程の音量がありながらも、アントニオ・マリン氏の楽器はあくまで伝統的な構造・製法により作られています。
アントニオ・マリン氏が長であるグラナダ系ギターの爽やかで明るい音質で、音量が大きいのに不快さを感じさせません。
その音質はスペインの空や風を思わせます。

全ては本人の感性だと思いますが、どうやったらこのような楽器が出来るのか不思議です。
アントニオ・マリン氏の指導を受けた三浦隆志氏の楽器も、同様の伸びを持ちながらまとまった更に音質を持っています。

岡本拓也氏の印象

私がこの楽器を購入した頃は、岡本拓也氏がアントニオ・マリンを弾いている印象がとても強かったです。
ステージでのアピール度も抜群で、繊細な音楽は聴く人を魅了していました。
Youtubeを見ると下記の楽器を使っているようです。

  • アントニオ・マリン モデルE
  • ヒデオ サトー
  • ダニエル・フレドリッシュ

フレドリッシュ以外の楽器は明るめな音です。
音質が明るい楽器を緻密にコントロールする音楽の完成度の高さが岡本拓也氏の特徴と思います。

手放した理由

諸々の理由があり、このギターは手放しました。
私が手放した個体を店頭で弾いて、「あの楽器のどこが悪かったのですか?」と聞かれたことがあります。

アントニオ・マリンは欠点の無いオールラウンドな楽器と評価されていますが、強い長所には相反する面もあると思います。
私の力量ではコントロールしきれない部分がありました。
(岡本拓也氏のようには弾けませんでした・・・)

音のコントロールで常に気を使う必要があった

音が明るく伸びるので、コントロールには気を使いました。
私のタッチはスプルース系の楽器の伸びを強調しすぎるタイプだったため、音楽をまとめられませんでした。
(言い訳です)

テンポの速い楽曲では特に苦労しました。
普通の楽器では何も考えずに弾けるところを、押さえ込んで弾かねばならなかったからです。

弱音の出し方が難しかった

ある一定の音量以上では、弦の弾力が弾けて伸びる感覚があります。
しかし、それを下回る音量では「どのように音が届いているか」がイメージしにくかったです。

実際はちゃんと弱音が弱音として機能している筈なのですが、「指先の感覚」と「客席に届く音」をリンクさせにくいと感じました。

音が伸びることは武器でもありますが、音色や音量のコントロールでは扱いにくさにもなります。

音質はあくまで平均以上

アントニオ・マリンは音質も良いのですが、いわゆる銘器と呼ばれる楽器程ではありません。
人が弾いているのを聴く分には良いのですが、自分では音色を活かすのが難しかったです。

今は高齢で制作本数も少ないですが、昔は数多く出回っており各楽器店に1本はあったような印象です。
「珍しくて音質の良い銘器」というよりは「高い機能性を持ちながら、音質を保った実用的なギター」です。
(ラティス等と比べると圧倒的に音質は良いですが)

音の伸びは魅力的だったのですが、コントロールの難しさと音質が楽器を手放す要因となりました。

「アントニオ・マリン エスペシャル」のまとめ

私の実力不足により、制御しきれなかったためこの楽器は手放しました。
コントロールと音質を優先する場合、同じグラナダではジョン・レイの方が私に合っていました。
ジョン・レイ(サントスモデル)を弾きました。|クラシックギターの世界

アントニオ・マリンは弾きこなせる方にとっては大変魅力的な楽器になると思います。
下記の方におすすめです。

  • 伸びや少し軽さのある明るさがある楽器が好きな方
  • 音量のある楽器をコントロール出来る方
  • 機能的な楽器が必要な方

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。