演奏技術

右手の指が弦をリリースする速度について。その2

以前、以下の記事を投稿しました
右手の指が弦をリリースする速度について。|クラシックギターの世界

記事に書いたように、右手の指がリリースする速度の重要性については重々承知していたつもりでした。
しかし、「頭で分かっているだけ、実践出来ていない」状態になっていました。

改めて右手の指が弦をリリースする速度の重要性を補足します。
プロ奏者に一度も指摘されたことがない内容ですが、私のギター人生の中で癌となっていた右手の重大な欠点を克服するポイントになりそうです。

最高の右手のタッチを持つ方からのアドバイス

昨日、演奏会に参加しました。
その際、私がこれまで出会ったアマチュアギタリストの中で最高の右手のタッチを持つ方と久々にお話する機会がありました。

私は演奏会前の練習で楽器を弾き潰してしまうことに毎回悩んでいました。
「練習で使い過ぎてちょっとヘタってますが、私の楽器を試奏して下さい。」
ということでその方に私の楽器を弾いて頂きました。
(10分程)

すると、明らかに楽器の音が完全回復していました。
柔らかく、太く、倍音がリッチに鳴るようになっています。

右手の指が「ゆっくりのリリース」を多用する

酷使した楽器が一瞬で復活したのを見て、原因を尋ねました。
「弦をリリースする速度が遅いタッチを標準にしている」とのことです。

リリース速度を遅くすることで、その方は大きい音でも柔らかい音質をキープしていました。
ある時期に左手の不調(演奏によるものではない)があり、徹底的に右手のタッチを見直したとのことです。
「左手が使えなくても、音を出すことがとにかく楽しかった」と仰っておりました。

このやり取りで「楽器をヘタらせてしまうこと」に関する長年の疑問が氷解しました。
これがなければ、死ぬまで私のタッチは変わらなかった可能性があります。

明瞭な音の使い過ぎ

私個人の話をしますが、「会場の音響に合わせて自分の演奏を変えてしまうタイプ」です。
「練習で用意してきたことをそのまま行う」ことが良くも悪くも出来ません。
エアコン等の音がうるさい場合や、会場が大きくて音が伝わっているか不安になった場合にリリース速度の速い「明瞭な音」を多用しすぎる傾向があります。

「明瞭な音を多用する」ことで上手くいっている面もあるのですが、演奏の表情の幅を狭めていることは確実です。
広くても音が良く通る会場なら、音が届いているかを心配する必要は無いです。

練習の時点でも、大きな音を出す際は右手の指のリリース速度が速すぎたのだと思います。
(プランティングは行っており、あくまでリリース速度の話)

リリース速度を分ける

大雑把に分けると、下記のリリース速度があります。

  • 速度が速い→弦に対して指を振り抜く
    (野球でボールを打った後もバットを振り切るイメージ)
  • 速度が標準→弦をリリースした瞬間から直ちに力を抜く
  • 速度が遅い→意図的にリリースの瞬間を長くする

「速度が速い」場合、せっかくプランティングしても思うよりは音が太くなりません。

指先でリリース速度を感じる

リリースの瞬間は一瞬なので、指の速度そのものを変えようとしても難しいです。

「指先で最後のリリースのコンタクトの時間が長くなっているのを感じる。」ようにしましょう。
(そうアドバイスを頂きました)

音量が大きいときも、速度が速いときであっても、リリースが遅いタッチを使えるようにしたいところです。

力を抜く

力を入れることで、指先が弦から離れる際に勢いが付いてしまうことは防げます。

「力を入れてリリースをゆっくり」を試してみました。
楽器は鳴るようになりましたが、硬さが残ったままになります。

「力を入れてリリースをゆっくり」もタッチの種類として使えますが、レギュラーで使うタッチは「力を抜いてリリースをゆっくり」が良さそうです。
特に親指pが重要と思います。

パソコンのキーボード入力も、極力ゆっくりキーを押し込もうと思いました。
普段の動作は演奏にも出ると思います。
(入力スピードは落とさず、押し込みはゆっくり)

一音入魂

ギタリストの新井伴典先生はプランティングの重要性を繰り返し強調しています。
「イメージした音・狙った音を確実に出す」という点です。
この内容にはリリース速度のコントロールも含まれているように思います。

ザビエル・ジャラ氏も太い音を出す際はリリース速度を精緻にコントロールしています。
(動画、音ズレが気になります)

 

ギターにおいて最も重要な右手のタッチを磨き抜く必要性を感じました。
松本大洋氏の漫画「ピンポン」においても、主人公のペコが「なあオババ。もう1回、握り方から教えてくれろ」と言っています。
基本に立ち返って練習することが大事です。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。