楽器

山野楽器 銀座本店4Fのクラシックギターの内部写真(力木、ブレーシング)が参考になります。

少し前から「山野楽器 銀座本店4F」では販売しているクラシックギターの内部写真を掲載するようになりました。

撮影するお店としては手間や苦労があると思うのですが、購入する側としては大変嬉しいポイントだと思います。
「動画を使った分かりやすさ」を目指す店舗が多い中で、「ギターの内部写真」は楽器の購入において重要な資料になります。

今回の記事ではギターの内部写真のメリットについてまとめます。
この記事で登場する写真は山野楽器銀座本店様より引用しております。

音が分からなくてもギターの種類が分かる

楽器を試奏する際は音により種類(モデル)を判別します。(私は)
トーレス、ハウザー、サントス、エステソ、ブーシェ、バルベロ等です。
このカテゴリーが理解出来るようになるとギターの試奏は面白くなります。

しかし、ギター内面写真によりブレーシング(力木)の配置が分かれば視覚によりギターを区別できます。
音が分からなくても大丈夫なのです。(一見それっぽい写真ですが、裏板に貼り付けたバスバーの縁にタイトボンドを塗ることがあるのでしょうか)

音を理解するのには経験が必要

「この音はこのモデル!」とすぐ言えるような知識を有するには、豊富な経験が必要です。

「イタリア人が作ったハウザーモデル」でハウザーの音を覚えている場合、「イタリア的な」要素はハウザーとは無関係のため、正確なハウザーモデルの印象にはなりません。

また、オリジナルのトーレスやブーシェを弾けばそれが正確という訳でもありません。
「構造の特徴」と「製作家本人の個性」は別です。
ブーシェやトーレスが持っている霊感は、楽器の構造的な特徴とは無関係なものです。
この場合、むしろコピーモデルを弾いたほうが「構造的な特徴」は理解しやすいです。

私も間違ってます

私が過去に投稿したレビューでも、このギターは〇〇モデルと表記したものが間違っているものがあります。
ブログを書く身としては間違いは宜しくないのですが、私は音で楽器を判別してしまうことが多いです。
力木を見ることができれば、「音だけ」のような間違った推測は無くなります。

力木(ブレーシング)のチェックポイント

ブレーシングをチェックする際は下記のポイントを確認します。
基準はトーレスモデル(画像左上)なので、これだけは覚えておきましょう。
他は、同じ製作家でも個体毎に変わるのであまり当てになりません。

  • 力木が扇状(ファンブレース)かそうでないか
  • 力木の高さがどれくらいか
  • ファンブレースの下の三角状の力木があるか
    (セゴビアがハウザーに外すよう頼んだと伝えられる部分)
  • ファンブレースの本数
  • ファンブレースを配置する箇所が斜めに仕切られているか
    (左から1番め、上から2番めのフレタ、左から3番め、上から3番めのラミレス、その他アグアドも)
  • サウンドホール下の力木(ハーモニックバー)がトンネルになっているか
    (左から4番め、上から1番めのブーシェ、トーレスが最初に採用した)
  • ブリッジ下の力木があるかどうか
    (左から2番め、上から2番めのフレドリッシュ、ハウザーが採用したとされる)

A Brief History of the Classical Guitar – Custom Handmade Guitarsより引用

違いによる音の変化は製作家のみぞ知る?

力木の配置により、大雑把にギターがどういった方向性のモデルなのかを判断することができます。

しかし、このひとつひとつの力木の配置によるはっきりした音の違いは製作家でないと分からないところかと思います。

「補強や剛性の確保」「振動しやすい・あえて振動を止めている」「高音向け・低音向け」等は言えますが、あくまで推測の域を出ません。

余談:桜井ギター パリコンORモデルの内部

こちらの写真、桜井ギターのカスタムモデルの内部です。
河野ギターの時代からのマス目のような力木が使われています。
(これをラティスとみなしてはダメなのでしょうか)
また、音の調整(ウルフトーン?)に使用しているパッチが目を弾きます。

個人的に驚いたのは、写真左上の穴(くり抜き)です。
どのような補強材の重ね方になっているのでしょうか。
(サウンドホールの円周の高音側のみ3枚の材が重なっている?)
重厚に補強しつつも振動の余地を残したかったのでしょうか。
(一般論としての推測)
他の上級モデルにもこのくり抜きがありましたが、以前のパリコンには無いようです。

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購入する前に健康診断の結果を見ることが出来る

ギターの内部の修理は難しく、表では綺麗に見えてもずさんな修理がされている可能性もあります。
(割れにパッチが重なっていない等)
ヴァイオリン等と違い、簡単に裏板を外せるようになっていないため、治具が届きにくい場所があるのです。

内部の写真があれば、割れの有無や修理の様子を肉眼でチェックすることができます。
購入する側が納得して買うことが出来るでしょう。
嫌な修理がある場合に購入を避けることも出来ます。
(私は音が良ければ修理歴は気にしません)

是非今後も続けて欲しいです

山野楽器銀座本店様には是非今後もこの写真の掲載を続けて欲しいです。
商品の紹介写真として掲載出来るレベルで撮影するのはかなり大変と思います。
また、売上に直結するかどうかも難しい部分です。

ネット上の知識だけで音を語るよりも、構造から音を推測するのはオーセンティックなギターの楽しみ方だと思います。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。