演奏技術

演奏における「効率」の追求について。

演奏において「効率」を追求することは非常に重要です。
「頭でっかちな、お行儀の良い演奏をすべき」ということではありません。
「演奏によって曲の表現を伝えるにはどうすべきか」を追求することが、
効率の追求と同義と考えます。

演奏を改善したいのに「効率」を放棄することは、
ボーカルがボイストレーニングをせずに感情のままに叫ぶことと同義です。
幼い子供が泣きわめいた際、大人は仕方なく言うことを聞くのであって、
「子供の主張に心を動かされた」訳ではないのです。

「なぜ効率を求めるべきか」をこの記事で考えます。

感情を伝えるために

上の例で述べたように、
効率は感情表現を聴き手に伝えるために必要です。

楽器を始めて間もない頃、
大きな音を出そうとして(力んで)
曲の情感を伝えようと思っても、
思ったような音量や音色が出ない
というケースがあります。

これこそ、「演奏の効率」を追求していないがために起きている
エネルギーのロスです。

日頃から人間が使っている声であれば、
乱暴に感情を乗せてもある程度伝わるかもしれません。

しかし、楽器演奏では「楽器」という媒体を通して
思いを表さなくてはいけませんので
「楽器に対してどういった動きをすると、どんな音がなるのか」
を冷静に突き詰める必要があります。

感情だけではエモい演奏は出来ません。

疲れない、怪我をせずに演奏するために

エネルギーの効率を考えて演奏を見直すと、
「大きすぎる力は必要ないこと」
「大きな力が必要であったとしても、ほんの僅かな時間であること」
「力を抑えることも表現であること」
に気が付きます。

そうすると、最大限の効率で演奏出来るようになりますので、
疲れませんし、怪我もしにくくなります。
ギターの神様 アンドレアス・セゴビアのように
奏者として長く活躍できるでしょう。

曲の中で最も頑張らなくてはいけない部分に
充分余力を残しておくことが出来るようになります。

音の芯が大きく、明瞭になる

右手のタッチにおける効率化と言ったら、
「プランティング」(指を弦にセットし、弦をたわませてリリースする)
ではないでしょうか。
とはいえ、大袈裟なプランティングでなくても、
本人が意識していないような微細なプランティングで良いのです。

これが出来ていると、
音の芯が大きく太くなり、明瞭な音になります。

私自身、アマチュア奏者としてステージに上がった際に、
響きが良すぎて音が埋もれてしまいやすい会場を
いくつか目に(耳に)しています。
こういった響きすぎのホールでまともに音楽が届けられる奏者は
アマチュアの人口の中でも1割以下と感じています。
真剣に上達を目指すならこの問題を
「個性だから」「タッチが柔らかいから」
で片付けて良い問題ではありません。
これはタッチの効率化やそれを突き詰める頭を使った練習が出来ていないから
であって、プロの領域とアマチュアの大きな差です。
(そういった点を直すと1割に入れます)

本番で安定したパフォーマンスを実現する

本番の演奏では、緊張によって不確定要素が大きくなり
動作の乱れの幅が大きくなります。

そのため「練習で如何に無駄な動きを見直したか」によって
本番で想定内の振れ幅の中で落ち着いて演奏出来るかどうか
が決まります。

楽しいからといって、感情に任せた練習しかしなかった場合、
本番で良い結果を得ることは出来ません。

楽器とリンクする

無駄な動作を減らし、演奏を効率化していくと
「音に影響する動きが何なのか」を自然と理解します
そうすると、無駄な動きを減らし、
「音に影響する動き」だけを残すことが出来るので、
楽器とのシンクロ率が上がります。

今回の記事は以上となります。

楽器演奏をするにおいて、
「表現を他者に伝えること」が最も重要と思います。
私にとってそれを磨く手段は「効率化」である
という内容でした。

最後までご覧いただき、誠に有難うございました。