今回の記事は、速弾き練習をする際のアプローチ方法です。
「丁寧で段階的に速度を上げて上達する人」と
「初めは乱暴でスピード違反だけれど次第に細部を整える人」の
どちらの上達が早いか、考えたことはあるでしょうか。
結論として、どちらの上達が早いかはどうでもよいのですが、
人生は短いので、両方のアプローチを同時に行い、
最速で上達するべきです。
(「丁寧で少しずつ」が偉いわけではないのです)
「初めは乱暴だけれど次第に細部を整える人」になるための
アルペジオ感覚の利用をこの記事で考えてみます。
追記
アルペジオが全て速い訳ではないので、このネーミングはセンスが無いと思い直しました。
今後、「トレモロ感覚」にします。
アルペジオ感覚とは
「アルペジオ感覚」は私がそう呼んでいるだけなので、
「そういった概念がそもそもあるのか」「それに正しい名前があるのか」は
知りません。
例として、小指を除く右手の指4本をセットして、
和音をアルペジオにして弾くことにより
誰でもかなりの速度で4音を連続して出すことができます。
初心者であれば、音の間隔や音量を揃えることは出来ず、
指が滑っているだけで、あまり自分の意志でコントロールしている
感触は得られないかもしれません。
また、トレモロ奏法を行う際に感じたことがあると思いますが、
遅いテンポでは指を独立してコントロールしている感覚で弾き、
ある一定の速さを超えると「ami」が勝手に回るような感覚に変わります。
(表現は正確ではないかもしれません)
この、自分で細部までコントロール出来ている実感は薄いけれど、
短時間に指を速く動かしている状態の感覚を
「アルペジオ感覚」としました。
「徐々に速く」だけでは習得が難しい
車のギアを例として考えてみると、
「テンポ0-140で使うギア」と「テンポ120ー240で使うギア」があると仮定します。
「テンポ0-140で使うギア」でテンポ130~140で弾くと、
スピードを出すのがかなり苦しい状態です。
「テンポ120ー240で使うギア」を使って弾くと、
指が暴走して音が団子になってしまいます。
両方のギアをシームレスに繋げられるべきであり、
遅い速度のギアの最大値を上げ、速い速度のギアでの音の細部を整える
ことが重要となります。
歌の場合でも、ミックスボイスという声の出し方があります。
練習によって、いわゆる地声と裏声の両方に芯がある状態になることで
地声と裏声がシームレスに使えるようになります。
地声の音域だけを拡大しても、ミックスボイスには到達できません。
クラシックギターのトレモロ奏法は、短時間に出す音の数を考えると
難易度は相当高いはずですが、実際は中級者レベルから演奏可能です。
これは「ami」のアルペジオ感覚を使っているから出来ることです。
アルペジオ感覚を使わずに速度を段階的に上げる練習だけでは、
ある程度の速度で「上達のスピード」と「技術の劣化のスピード」が拮抗して
中々上達を感じにくくなります。
その結果、「この技術は毎日練習しているプロにしか出来ない」という
思い込みを抱えてしまいます。
トレモロが中級者レベルからでも出来るように、
アルペジオ感覚は速弾きに対するハードルを下げてくれます。
アルペジオ感覚の使い方
右手の速度が求められるパッセージに対して、
アルペジオを当てはめられる部分を探します。
最小単位の同じアルペジオの連続(トレモロならami)であったり、
最小単位のアルペジオに1~2音が加わったもの(ima+m、ami+m等)
である場合があります。
アルペジオ化することでかなりの速度で弾くことが出来るので、
後はトレモロ奏法を習得した際と同じ要領で音量や音質、音の感覚を
整えていきます。
音が消えることを気にせずにプランティングして
アルペジオとして弾くのも良いです。
目標のテンポに近づけてから、後から指を置かずに出来るようにすれば
上達は早いです。
以前投稿したこの記事の練習方法の正体も、
考えてみるとアルペジオ感覚を使ったものでした。
速弾きの練習方法(ウォーミングアップや初心者にも有効)を解説する。(最小単位のim)
今回の記事は以上となります。
ある程度のギター経験を積んだ方が、
半年~1年経っても克服できない技術があるのなら、
そのまま劇的な改善をしなければ、
習得に膨大な時間がかかるか、死ぬまで弾けない可能性があります。
「アルペジオ感覚」の利用は、技術的な停滞の打破に使えますので
是非意識して練習してみましょう。
最後までご覧頂き、誠に有難うございました。