練習方法

トレモロのコツ、練習方法を考える。

トレモロ奏法を使用したF.タレガの「アルハンブラの思い出」は
クラシックギター奏者であれば誰しも一度は弾いてみたいと
思うのではないでしょうか。

私も大学生だった頃に「アルハンブラの思い出」に挑戦し、
家族からも「その曲は良いね」と好評を頂きました。
(他の曲はどうなんでしょうか)
「アルハンブラの思い出」以前にも、ギターを始めて3ヶ月目で
トレモロが含まれている曲を人前で弾くことに決め、
非常に難儀しながら練習した記憶があります。

トレモロはクラシックギター初心者向けの奏法ではないですが、
正しい方法でアプローチすることで確実に上達出来ます。
また、トレモロが出来ること(力みがなく音の粒が揃っている)は
右手の基本が出来ていることの逆説的な証明にもなるでしょう。
(普通は右手の基本を先に身に付けてからトレモロをするべきですが)

最短で怪我無く上達出来るよう、トレモロのコツや練習方法を紹介致します。

トレモロのコツ

まずは爪が重要

トレモロを弾く際は余計な引っかかりがない爪であることが非常に重要だと思います。
トレモロや速いスケール、アルペジオ以外であれば、
ベストの爪の状態に対して長さや形が違っていてもそれなりに弾けます。
しかし、トレモロは爪の妥協が出来ないので、
普段はトレモロが弾ける爪を基準にしています。

爪の削り方はこちらを参照下さい。
少なくとも私はこの方法で削らなければトレモロが出来ません。
「弦に紙やすりをセットして爪を削る」方法を考察する。

右手の基本を確認する

手の平の付け根の関節から指を動かすのが右手の基本です。
詳細は別記事にて紹介しております。
弦を引っかきあげる動きでは速いトレモロは出来ません。

私は、大学生の時は力みが残っている状態でトレモロしていましたが、
今思えば基本が疎かになっていたと思います。

動きを小さくする

トレモロ奏法は最終的にはかなりの速度を求められますので、
右手の動きは自然な範囲で小さくしましょう。
(無理に小さくしようとすると逆に力みます)
音量は指の動きの大きさではなく、弦を押し込んだ量で決定します。
特にp(親指)の動きが大きくなりがちです。
ima(人差し指、中指、薬指)も2弦で弾いた際に
1弦に当たらない動きが求められます。

プランティング若しくはそれに近い動きが出来ていれば、
1弦に当たる程大きく指を振ることはありません。

力を抜く

力が入っていると速度は上がりませんし、手も故障してしまうでしょう。
頑張って練習しているのに改善しないという状況になってしまうので
注意したいところです。

初心者がトレモロを行う場合は、どうしても力が入りますので、
多少の強引な練習も致し方ないと思います。
人間が持つ学習機能で少しずつスムーズに出来るようになりますが、
本当に危ない状態になる前に休みましょう。
身体の状態を感じる能力は上達に必須です。
どんな方法で練習しても上達する初期の段階を脱出したら、
力を抜くこと(どうして力が入るか考える)を意識して練習しましょう。
力が入っていることを感じているのにそのまま練習を続けるのは、
力むための練習をしているのと同じです。

追記:音量を求めない

そもそも、トレモロとは連続して発音されることにより
ヴァイオリンやチェロのように音が持続して聴こえる
効果を狙った奏法です。

短い時間であっても、
音量が大きくなれば音を出した後の減衰は目立ちますので
スピードをあまり上げられないうちは
小さめの音量で弾いたほうが良いと思います。

クラシックギターのデメリットである音の小ささは
連続して発音できるトレモロ奏法により
あまり気になりません。

追記:タッチの深さを一定にする

慣れてくると自然に出来てくることですが、
トレモロ中はタッチの深さを一定に保つべきです。

引っかからずにトレモロをするには以下の方法があると思います。

  1. タッチを深くして、弦の引っかかりは指のしなりで逃がす
  2. タッチを浅くして、弦を捉える際は指をロックして力を伝える

筋肉のメカニズムを学んだ結果、後者の
「タッチは浅く、指を硬めて力が逃げない弾き方」
の方が合理的に弾くことができると考えています。

トレモロの練習法

小さい音で弾く

「動きを小さくすること」「力を抜くこと」の両方がこの練習方法で達成出来ます。
普段と違う条件で練習したとしても、音の粒を揃えることを大事にしましょう。

この練習方法でしたら、トレモロを始めたばかりの方も怪我もしにくいでしょう。

テンポを落として弾く

動作の点検を目的としてテンポを半分位に落として練習します。
右手だけでなく左手の記憶の強化にも良いでしょう。
暗譜前の状態にも効果的です。
また、「速度をリニアに変えられること」が非常に重要です。
遅い速度(トレモロでないと感じる位)と
速い速度(指が勝手に走る状態)の境目を無くすことで
どのような状態でもタッチをコントロール出来るようになります。

プランティングを意識してスタッカートで弾く

「指が弦を的確に捕まえられているか」をチェックすることが出来ます。
弦を深く捉えすぎて引っかかったりする方はこの練習が効果を発揮するでしょう。
「動きを小さくすること」に対しても非常に有効です。
プランティングを意識することで右手の基本の奏法を身に付けられるので、
右手が不安定な方は必須の練習方法です。

付点のリズムに変更して弾く

トレモロを始めたばかりの頃は、それぞれの音の間隔が均等でなく、団子状態になっています。
指の都合によって、間隔が詰まる部分と間がある部分があるわけです。
amiの部分が団子になりやすいと思いますので、
下記の2パターンの練習をしてみましょう。


苦手な部分は正しいテンポで弾くことが出来ずに以下の状態になります。

  1. 指がもたついて間隔が空いてしまう
  2. 指が走る、滑ることで音の長さを保てない

pを弾く部分に音を入れてみる

拍の頭のpでバスを弾く部分では上の声部は弾かないのですが、
ここをあえて弾いてみる練習です。

始めはかなり混乱すると思います。
また、amiがズレていくので、各指毎の音質が違う人であれば
音の聴こえ方にも違和感があるでしょう。
この練習方法で音質を揃えられるレベルを目指したいところです。

amiではなくimaにしてみる

セオリーとは反対の向きで右手の運指を使ってみます。

右手の基本の見直しには良いのですが、トレモロの上達という面では
必須の練習方法ではないかもしれません。
imaは弦を跨いだアルペジオで多用するので、
同一弦で行うトレモロで練習しなくても良いかなと思っています。
ただ、別の曲で登場したときに備えて
この練習もやっておくべきです。

いずれかの音にアクセントを付ける

1拍の4つの音のうち、いずれかにアクセントを付けて練習してみます。
「p」や「a」は簡単ですので、「m」と「i」のどちらかが良いでしょう。
苦手な音をはっきり弾くことでタッチを改善することが出来ます。

 

以上でトレモロのコツ、練習方法の解説を終わります。

かなり難しい練習方法もあるかと思うのですが、
私が出会ったプロの方々は出来ていました。
私も上達するにつれて少しずつ出来るようになった練習方法もあり、
始めから真面目にやっておけばもっと上手くなれたのではと
思うばかりです。

本記事がトレモロの効率の良い上達の助けになれば幸いです。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。