演奏技術

なぜ足台を使い続けるのか。

先日、アマチュアギターコンクールに参加してきました。

本選参加者の10名のうち、足台を使っていたのは2名だけで、残り8名は何らかの支持具を使っていました。

足台は以下のデメリットがあると言われています。

  • 不自然な姿勢であるため腰痛になる
  • 身体と接する面積が大きので響きを止める

しかし、私は以下のように考えています。

  • 人によっては足台でなく支持具を使ったほうが腰痛になる可能性がある
  • 重い支持具を使うとはっきりと音が悪くなる

深く考えず新しいものに飛びつき、
良い結果に繋がっていない人を沢山見てきました。

これだけ足台以外のギター支持具が主流になる中、
私が足台をやめられない理由をご説明したいと思います。
これらの理由の事情が解消されるなら、私も足台をやめます。

理由その1 ギターの位置と身体のひねり

足台が合うか、その他のギター支持具が合うかは、
それぞれの理想のフォームに合うかどうかにより決定すると思います。

結局、「その人に合うかどうか」であり「どちらが良いか悪いか」ではないのです。

足台の方が合う人は、ギターを低く構えたい人だと思います。

私は身長が低く、なおかつギターの位置は身体に対して低めが好きです。
右腕は ①脇があまり開かず ②前腕が少し垂れ下がった状態の方が
個人的に落ち着くのです。

以下、フリー(素材)のアナ・ヴィドヴィチさんです。
足台を使えばこういったフォームになると思います。
(書き手の誇張により右肩が上がってますが、それは無視しましょう)

支持具にも色々ありますが、ギターの位置が少し高くなりやすいものが多いので、
画像よりは右腕の位置が上がりやすいです。
私はその状態が好きではないです。

それなら、「ギターの位置を低く出来る支持具を使えば良い」という話に
なるのですが、それも中々うまくいきません。

支持具を使ったとき、足台を使用したときと同じ位置に
ギターを持ってこようとすると右足が邪魔になります。

右足をどかす場合は、「右足を後ろに下げる」か
「上から見て下半身を時計回りに少し回転させる」ような動き
になる
と思うのですが、
私はこの状態は足台を使うよりも不自然な状態だと思います。

左手を前に出し、どちらかというとネックを見て弾き、右足を弾くと
下記のバレエのポーズのような向きの身体の捻りが発生します。
この向きの捻りは自然な状態とは思いません。
(道路で何をしているのでしょうか)
足台を使用している状態は、「歩くときに左足を一歩前に踏み出した形」と同じ
だと思っており、自然な状態だと思っています。

支持具を使った場合でも両足の間にギターを持ってくれば良いのでは
と思うかもしれませんが、ギターの位置が通常より左になります。
そうすると、指板を見て演奏しようとした時に
上半身の捻り(右足を引くのと同じ方向)が生じます

楽器の位置に関する不満は、吸盤で裏板に透明な板を貼るタイプなら
解消出来る気がしますが、この支持具の不満は
次の理由その2にひっかかります。

指板(身体に対して左)を見て演奏するなら、
足台を使って左足を上げるというのは合理性があると思います。
(あまり足台の高さがあるとしんどいのですが)
支持具を使う場合は、やや右側を向いたほうが自然な姿勢になります。
そのため指板を覗き込む動きが大きくなった時点で支持具の優位性は崩壊すると考えています。

長々と書きましたが、姿勢の不自然さが「支持具>足台」となるのは、
ギターを低くしたい人だけのケースかもしれません。
また、上背がある人は、支持具を使ってもギターを
充分低い位置に置くことが出来るでしょう。

理由その2 音への影響(ギターにものを付けたくない)

ギターに支持具を付ける方法は、吸盤や保護された金具、マグネット等が
あると思います。
個人的に、既存の方法ではどれであってもギターに他のものを付けたくはありません。
ギターと身体が接していることにより振動を止めるという主張も分かりますが、
重量物がギターにくっついている方が音に悪影響があります。
(そうでないギターもあります)
単に「接している」のと「くっついている」ことは大きな違いなのです。

振動への影響

極端な例として19世紀ギターの場合を考えると、
モダンギターよりも横板、裏板の振動が期待されております。
実際、モダンギターよりも使用する材料の種類による音への影響が大きいと感じます。
そのため、楽器全体が振動する19世紀ギターで、
吸盤を付ける、若しくはマグネットで挟むタイプの支持具を使うことは
避けたほうが良いでしょう。

何かに乗せるのは、実際に当時トリポーデや机を使っていたわけですし、
問題ないと思います。(むしろ推奨される?)

トリポーデを使用するアグアド

机にギターを乗せて弾く図

私は、モダンギターであってもいわゆる名器と呼ばれる楽器に対しては、
支持具をつけることによる音への影響が大きい
と感じました。
仰々しいものでなければ支持具の影響は殆どないのでしょうが、
少しでも音に影響があるなら別に使わなくても良いと私は思います。

重さの影響

支持具を付けることで楽器が重くなると、ウルフトーンが上がります。
この変化もあまり好きではないです。
重さとウルフトーンの詳しい理屈は、スペースの都合上割愛させてください。

私はマグネットの重い支持具を試したのですが、
倍音成分が減り、音の伸びが無くなって均一でつまらない音になってしまいました。
「人によっては気が付かないor支持具の音の方が鈍くて好み」かもしれませんが、
伝統的な良い音を理想とすれば支持具がもたらす影響はマイナスです。

上で書いたアグアドのトリポーデも、固定して楽器と一体化しているのでなく、
置いているだけなのかもしれません。
若しくは、19世紀ギターをモダンギターとリュートの間の音とするのなら、
アグアドはよりモダンギター的な音を求めたのかもしれません。

理由その3 身体に違和感があれば改善する

ギターを始めて1~2年目のとき、股の関節が痛くなったことがあります。
その理由は、足に力を入れてギターを支えようとしていたからでした。

これは足台が悪いのではなくて、結局は演奏中の身体の状態を
把握しているかどうかが重要だと思います。
身体の痛みも、上達へのフィードバックのひとつです。

「演奏にのめり込むと姿勢が崩れるから足台は良くない」というのは
乱暴な主張と思います。
姿勢が崩れないような技術、姿勢を身につけることが重要です。
リュートはギターよりも構えにくいですが、優れた奏者は問題なく演奏しています。

私の場合脱力を意識してからは、特に身体に不具合は感じません。
足が太いからか、ほとんど足台の一番下の高さで何とかなるのも
負荷が無い要因だと思っています。

女性の方で足台が高めの方は、男性よりも腰への負担が大きいかもしれません。

追記 理由その4 身体の力の伝え方が異なる

理由その1に似ていますが、
支持具を使った状態は、身体の捻りによる力を伝えられません。
身体の捻りによる力を伝えるように構えた場合は、
足台を使った方が効率が良いです。
詳細は以下の記事を参照下さい。
3つのギターのフォームを考える。(足台と支持具)

 

以上が、私が足台を使い続ける理由です。
冒頭に書いたとおり、これらに変化があれば足台をやめる可能性は高いです。
おすすめの支持具があれば是非情報頂けると有り難いです。

最後までご覧頂き、誠に有難うございました。