曲紹介

映画化された小説「マチネの終わりに」で使われているギター曲を紹介(前半)

小説「マチネの終わりに」がこの度映画化され、11月に公開されることとなりました。
クラシックギタリストである主人公・蒔野聡史を福山雅治さん、主人公と恋に落ちるジャーナリスト・小峰洋子を石田ゆり子さんが演じます。

映画の公開に向けて、小説で使用されている曲を振り返ってみます!

 

蒔野聡史、デビュー20周年記念リサイタル

サントリーホールにて行われた主人公・蒔野聡史のリサイタルで物語は幕を開けます。
リサイタルの後、蒔野聡史と小峰洋子は出会い、お互いに惹かれ合うこととなります。

リサイタルにて演奏されたのが以下の曲です。

  1. アランフェス協奏曲/J.ロドリーゴ
  2. セイス・ポル・デレーチョ/A.ラウロ
  3. 間奏曲第2番イ長調/J.ブラームス
  4. イエスタディ/ビートルズ(武満徹編)

アランフェス協奏曲/J.ロドリーゴ

盲目の作曲家ホアキン・ロドリーゴが作曲したギター協奏曲です。
ご紹介するのは、最も有名な第2楽章です。
ジョン・ウィリアムス、山下和仁、リカルド・ガジェン等、たくさんの素晴らしい奏者が演奏しており、どれを選ぶか非常に悩みました。
ナルシソ・イエペスの濃密な演奏でお聞きください。

セイス・ポル・デレーチョ/A.ラウロ

ベネズエラの作曲家、アントニオ・ラウロによる軽快な楽曲。
ラウロと関係の深い演奏家、アリリオ・ディアスによる演奏です。
これぞギターの音というべき輝かしい音を聴くことが出来ます。

間奏曲第2番イ長調/J.ブラームス

アンスガー・クラウゼ編の二重奏です。
ピアノやオーケストラに留まらず、ギターにおいてもブラームスらしさを聴くことができます。
ブラームスは明るさの中に切なさ、寂しさを感じますね。

イエスタデイ/ビートルズ(武満徹編曲)

日本が誇る作曲家、武満徹の編曲によるビートルズの楽曲です。
ハーモニクスを交えて始まるイントロは切ない物語の始まりを予感させ、取り返しのつかない昨日への後悔が演奏により語られます。
曲の終わりは、終わった恋から再び歩きだすような希望を感じさせます。

 

セゴビアの没後20年記念フェスティバルにて

ギター協奏曲ニ長調/マリオカステルヌオーヴォテデスコ

マドリッドにて開催された、フェスティバルにて蒔野聡史がオーケストラと共演した曲です。
いつになく緊張し、気が立っていた蒔野ですが、無事に演奏を終えます。
しかし、周囲の反応はあっさりしたものでした。

演奏は、2006年にGFA国際ギターコンクールで優勝したトーマ・ヴィロトーです。
「マチネの終わりに」に登場した楽器、グレッグ・スモールマンを使用しています。
マリオカステルヌオーヴォテデスコによる劇的な作品です。

 

マドリッドのフェスティバルにて、
ポーランド人ギタリストの演奏

満足いく反応の得られなかった蒔野聡史の演奏に対し、ポーランド人のギタリストが
蒔野を含めた聴衆の心を掴みました。
このギタリストのモデルは、マルシン・ディラではないかと思います。
ポーランド・ホジュフ出身、2007年にGFA国際ギターコンクールで優勝しています。
福田進一さんの招集により日本でもコンサートを行っています。

スクリャービンの主題による変奏曲/A.タンスマン

スクリャービン的な憂いのある主題を用いた神秘的な曲です。
この演奏は、マルシン・ディラがコンクールを総なめにしていたころの野性味が残った
演奏と、現在の円熟の演奏の中間のような表現に感じます。

 

フェスティバル後、パリでの演奏

フェスティバルのあと、蒔野はパリのサル・コルトーにて演奏会を行います。
最後の大聖堂を除けば「虫眼鏡で見ても疵一つ見つからないほどの見事な演奏」でした。

リサイタルにて演奏されたのが以下の曲です。

  1. プレリュードとフーガ/N.コシュキン
  2. ソナタ・ジョコーサ/J.ロドリーゴ
  3. ソナタ/バークリー
  4. 大聖堂/A.バリオス

ソナタ・ジョコーサ/J.ロドリーゴ

ジョコーサ(=ジョーク)の名に反してとても難しい曲です。
2005年GFAでのマルシン・ディラの演奏です。
細部までコントロールされ、信じられないほど滑らかな右手のタッチで弾いています。

ソナチネ/L.バークリー

作中ではソナタとなっておりますが、正しくはソナチネではないかと思います。
古典的な形式の中に近代の要素を感じます。
均整が取れた中にギター的な美しさを兼ね備えた名演です。

大聖堂/A.バリオス

パラグアイの作曲家、アグスティン・バリオス=マンゴレによる作品です。
ミサを終えて協会から溢れ出してきた群衆から着想を得ています。
名手デニス・アザバジッチにより、難曲がいとも容易く奏でられています。
作中で蒔野の演奏は止まってしまい、舞台に空虚な静寂が訪れます。

 

前半は以上となります。
如何でしたでしょうか?

後半はパリでの演奏会のあと、小峰洋子のアパルトマンで演奏された曲を紹介いたします。
私が最も好きなギタリスト、ジュリアン・ブリームの演奏によるガヴォット・ショーロからです。

ぜひ後半もお付き合い下さい!!